マルチパーパスビークルの本来の意味は「多目的車」。 編集部では、ユーザーの「ライフスタイル」に寄り添い、生活の質を高めるクルマはすべて該当すると考えた。クルマ選びは、ボディタイプの中で検討するのではなく、ユーザー自身の生活スタイルとの関係性や幸福度をぜひ重視してほしい。そこで今回、4種のライフステージ別にベストモデルを考察した。
Families raising children/子育てファミリー
子どもの年代が幼児期はもちろん、小学生のうちは親と一緒に行動する機会が多いだろう。何らかのイベントなどでは、近所のお友達を乗せて移動するような使い方もするかもしれないし、祖父母と共に3世代でお出かけというケースも頻繁にあり得る。となると、必然的に3列シート車が浮上する。車種によって3列目の広さや使い勝手、装備面もかなり違うため、自分のニーズに最適な実用性を備えているかどうかのチェックは重要。走りについては、大人数を乗せてもストレスなくドライブできるよう、低速トルクに注目。最近の過給器付きのガソリンもいいが、ディーゼルやハイブリッドの方が燃費面で好都合だろう。
HONDA STEP WAGON
子育て層にとってミニバンは大本命モデル。その中でどれを選ぶかが重要。キラーポイントがひとつでもあれば乗る価値がある。新型の特徴は、このクラスで唯一、3列目シートの床下収納を実現している点。さらに新型は「子育てサポート」を前面に掲げて開発されている。2列目ロングスライドが可能になったほか、シート表皮に撥水撥油加工が施された。原点に立ち返ったシンプルでクリーンなデザインも魅力だ。
MITSUBISHI Delica D:5
ミニバンの四角くて広い室内空間と、SUVの走破性を求めるニーズに唯一きちんと応えている。オフロードも雪道もSUV並みに走れる。こうした頼もしい悪路走破性を備える一方で、舗装路でのドライバビリティも洗練されている。インテリアも高級感たっぷり。並のミニバンとは一線を画する力強いデザインも魅力だ。たとえオフロード性能を求めなくても、この雰囲気が好き、というだけでも選ぶ価値がある。
MAZDA CX-8
見た目よし、走りよし、使い勝手よし。CX-8は最強の実用車かもしれない。魂動デザインは伸びやかで美しい。そのうえ、このところ増えてきた3列シートSUVの中で、最も3列目のスペースが広い。走りは上質。3列シート車にふさわしくあえてジェントルに味付けされている。エンジンの選択肢は豊富で、実は4WD性能もかなり優秀。3列シート車が必要だが見た目も走りも譲りたくないユーザーにお勧め。
CITROEN BERLINGO
ミニバン風の実用車がほしいが、3列目シートは必要ない。それよりもデザインにこだわりたいというユーザーに最適。海外にはこんな個性的なMPVが存在する。スライドドアが電動でないのは残念だが、車内各部に配されたストレージは見た目にも面白く、使い勝手にも優れる。3名分のシートが対等に並ぶ後席は、親の両側に子供を座らせるようなときにも非常に重宝する。日本車にはない世界観を感じさせるクルマだ。
Audi Q3 Sportback
価格は少々高いが、オシャレな容姿と卓越した走りが手に入ると思えば納得だ。日常の買い物でも休日のドライブでもアウディらしい正確な操縦性とともにプチセレブ気分が味わえる。スポーツバックは美しいフォルムながら後席の居住性も高く、成人男性が座っても頭上には余裕がある。子供ならまさに広々だ。荷室も十分に広く、リアシートが3分割可倒式のため、アレンジ性に優れるのも魅力。
Mercedes-Benz GLB
3列シートの輸入SUVという個性的な存在。兄貴分のGクラスのイメージを投影したというデザインは適度にワイルド。メルセデスらしく巧みに仕上げている。ボディサイズのわりに車内空間は広く、2列目は広々していて、3列目もけっこう使える。フル乗車も問題ない。走りは多人数が乗って遠出することを前提に味付けされている。乗り心地も良好。経済的でトルクフルなディーゼルが選べるのも魅力だ。
(提供:CAR and DRIVER)