投資対象の選択およびリスク

資産管理で重要なことは、元本が保障されているリスクの少ない資産と、元本が保障されないリスクのある資産を効率的に配分することで安定的に運用益をあげることだ。そのため、リスクのある商品をどのような配分で保有するか、どのような商品を選択するかは最も難しいポイントとなる。

配分に関しては、各個人がリスク許容度にあった適切なポートフォリオを構成することが重要だ。リスク商品の選択については、主に投資信託の運用となるが、異なるアセットクラスの商品を購入することでリスクの分散を図る。アセットクラスとは、その投資信託がどのような種類の金融商品を投資対象としているかを表している。

例えば、国内株式型や国内債券型、外国株式型、外国債券型などを投資対象としている投資信託では、投資対象を分散させることで投資信託のなかでもリスク分散を図っている。

401kで商品を選ぶときのポイント

例えば、40代半ばで確定拠出年金の資産を500万円、そのほかに金融資産を1,000万円で合計1,500万円保有していた場合。総資産の半分をリスクのある商品で運用し、残りの半分をリスクの少ない方法で運用をしたと仮定してみよう。

年金資産の500万円は、全額リスクのある投資信託などの商品を積極的に選択、高利回りを狙う。また、他の金融資産のうち、250万円をリスクのある商品に投資し、残りの750万円を預貯金や個人向け国債等のリスクのない商品で運用。これにより、リスクのある資産とリスクの少ない資産はそれぞれ750万円ずつとなる。

一見したところ、年金資産のリスク分散ができていないと見えるかもしれない。しかし、資産のポートフォリオは年金資産だけではなく、すべての資産をトータルして考える。そのなかでも年金資産にリスクのある商品を選択した理由は以下2つ:

1 運用益が非課税となる現行制度を最大限に活用できる。特に投資信託では譲渡益や収益分配金に対して所得税が課されるが、年金資産で選択する資産の運用益については非課税となる。年金給付時に所得税は発生するが、年金受給時や退職所得として一時金で受取る場合も相応の所得控除があるため、運用益を非課税で積み立てられる効果のほうが大きくなる。

2 年金資産の運用は長期に渡るため、多少の価格変動があっても長い目で見れば平準化するケースが多い。確定拠出年金は60歳になるまで受取ることができないため、手元資金で有事に備えた資金を保有しつつ、年金資産で運用を図れることも大きなメリットとなる。

この資産運用はあくまで一例であり、住宅ローンがあるケースや60歳になるまでの期間が短い場合は異なる資産構成を選択することが考えられる。年金資産の商品を選ぶうえで最も重要なポイントは、ライフプランも考慮し、すべての資産について総合的なポートフォリオを構築すること。また、有効な税制を有効活用することで最大限の投資効果を引き出すこともできるので、自分に最適な商品選択を心掛けたい。