この記事は2022年5月19日に「月刊暗号資産」で公開された「米株式市場が大幅下落 ビットコインなど暗号資産にも影響」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン
(画像=PIXTA)

18日の米株式市場は全面安の展開となった。

S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均は約2年ぶりの大幅下落。S&P500は前日比4%安の3,923.68で終了した。インフレ継続への懸念で消費関連銘柄が大きく売られた格好だ。

また、ナスダック100指数は5.1%安。アップルやアマゾン・ドット・コムなどグロース関連のテクノロジー株が急落した。小売業の全面安を発端として悲観的な見方が広がり、期待成長率の高いハイテク株まで売られる負のスパイラルに陥った。

下落を牽引したのは、米大手ディスカウントチェーンのターゲット(Target)だ。同社の株価は一時25%超の急落を見せた。人件費や輸送費などインフレによるコスト増を理由に、通期利益予想の下方修正を行ったことで、投資家の嫌気を誘い失望売りに発展した。同社の第1四半期の調整後利益は、1株当たり2.19ドルに減少した。

また、前日に利益見通しを下げた米ウォルマート(Walmart)、メーシーズ(Macy's)も追随して下落。低調な企業決算が株式市場に売り圧力をもたらしたと言える。

11日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)は前年比8.3%上昇したが、3月の8.5%と比べれば上昇率は低くなった。しかし、小売企業は投入コスト増加に対応できず、物価高騰に伴う消費低迷への不安および景気後退への懸念が株式市場に影響を及ぼしている。

米株式市場の影響を受け、東京株式市場も急落。一時700円超の値下がりとなった。

日本でも急激なインフレが懸念されており、物価高は顧客の購買力低下につながり、業績に悪影響を及ぼす可能性がある。

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)が3%ほど下落。節目の価格帯である3万ドル(約384万円)を下抜けし、2万8,000ドル(約358万円)台まで下落した。記事執筆時点では2万9,000ドル(約371万円)台まで戻している。

アルトコインでは、イーサリアム(ETH)が24時間で4%ほど下落。また、ソラナ(SOL)が7%、ディセントラランド(MANA)が10%下落するなど、暗号資産市場にも株価下落の波が押し寄せている。

暗号資産市場ではステーブルコイン・Terra USD(UST)の価格崩壊に伴うネガティブなイメージが依然として払拭しきれていない。こうした状況に加え、インフレによる景気鈍化への懸念も広がっていることから、引き続き暗号資産市場も不安定な市場推移を見せる可能性がある。(提供:月刊暗号資産