空飛ぶクルマビジネスに参画している分野や企業

空飛ぶクルマの実用化を目指し、さまざまな分野の企業が参画している。

大手自動車メーカーのトヨタ自動車は、空飛ぶクルマを手掛ける米国企業ジョビー・アビエーションに3億9,400万ドルを出資した。ホンダは2030年代の実用化を目指しており、スズキは国内で先行して開発・製造を進めているSkyDriveと提携している。SkyDriveは2018年に設立され、伊藤忠商事やENEOSなどが資金提供している企業だ。

大阪・関西万博での空飛ぶクルマの実用化に向けては、航空会社であるANAや日本航空が運航に参画する予定だ。また、離着陸のための発着場は、駐車場「タイムズ」の展開で知られるパーク24が整備を手掛ける。事故対応などの分野では、あいおいニッセイ同和損害保険とも連携する。

製造用機械メーカーのジーエス・ユアサコーポレーションは、従来の2倍の蓄電量を持つリチウム硫黄電池を、空飛ぶクルマでの実用化に向けて開発を進めている。

官民協議会では自動車会社や航空会社の他、保険会社やメーカー、総合商社などもプレゼンテーションを重ねている。構成員には、宅急便のヤマトホールディングスやUber Eatsを手掛けるUber Japanなども含まれており、サービス関連でも幅広い分野の民間企業が空飛ぶクルマビジネスに参入を目指している。

空飛ぶクルマが当たり前の移動手段になる?

空飛ぶクルマの市場は各方面から注目されており、今後急速に拡大しそうだ。米モルガン・スタンレーの予想では、2040年には現在の200倍以上となる200兆円弱の規模になるという。

官民協議会が「空の移動革命」と名付けるほど、空飛ぶクルマの開発と実用化は今後の社会や経済に大きな変革をもたらしそうだ。

機体や周辺設備の製造・開発に関わる分野はもちろん、空飛ぶクルマを利用したサービスや、新たな事業での利用も考えられる。未来の乗り物だと思われていた空飛ぶクルマは近い将来、当たり前の移動手段になるかもしれない。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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