この記事は2022年4月13日に日本実業出版社から発売された「『株投資で着実に儲け続ける! 「大循環ストキャス」短期トレード入門』」(小次郎講師 著)の一部を抜粋して編集、転載したものです。

株投資で着実に儲け続ける! 「大循環ストキャス」短期トレード入門
(画像=moxumbic/Adobe stock)

目次

  1. そのサイン、本当は「買われすぎ」じゃないのです
  2. そもそも、ストキャスの線は何を示しているのか
  3. ストキャスティクスの正しい解釈

そのサイン、本当は「買われすぎ」じゃないのです

国内の多くの投資家に「使いものにならない」という評価を下されがちな「ストキャスティクス(ストキャス)」。しかし、チャート分析の第一人者として知られる小次郎講師(本名:手塚宏二)氏は「ストキャスの『正しい使い方』を知っている人は少なく、それ故に使えないといわれているが、短期トレードにおいてこれほど使える指標はない」と言います。

その真の使い方を同氏の著書『「大循環ストキャス」短期トレード入門』からみてみる解説、後編のスタートです(前編はこちら)。

*本記事は、同書の内容を一部抜粋・編集したものです。

そもそも、ストキャスの線は何を示しているのか

それはストキャスティクスがどのようにして計算されているのか、きちんとその成り立ちを見さえすればすぐにわかります。

「大循環ストキャス」短期トレード入門
(画像=日本実業出版社)

ストキャスティクスの計算式は図表1-3 のとおりです。この計算式において、いちばん基本となる大切な数字は%Kです。そして、この%Kが何を表しているかを一言でいえば、「過去のある期間のなかで、現在の値段がどの高さにあるか」だといえます。

「大循環ストキャス」短期トレード入門
(画像=日本実業出版社)

%Kは図表1-4のように、ある期間のなかで、いちばん高い値段といちばん安い値段を出し、「現在の値段が下から何%の位置にあるのか」を示しています。なお、「ある期間」について、私は20日(1カ月の営業日と同じ)がいちばん適切であり、短すぎると使いにくいと考えていますが、日本では9日ぐらいが一般的です。

たとえば、過去20日間のいちばん高い値段が2,000円、いちばん安い値段が1,600円だとします。そして、いま現在の値段が1,700円だとします。この場合の%Kはいくらになるでしょうか。

(1,700-1,600)÷(2,000-1,600)=0.25 答えは25%となります。

同様に、次の図表1-5の場合の%Kがそれぞれいくらになるのか考えてみてください。

「大循環ストキャス」短期トレード入門
(画像=日本実業出版社)

答えは(1)の%Kが0%、(2)の%Kが50%、(3)の%Kが100%です。計算式がどのようなものかを理解していれば、むずかしくないと思います。

ここでは過去5日間の100~200という値段のあいだで現在価格がどの値位置になるかを見ているので、(1)は過去5日の安値(100)と同額なので0、(2)は高値と安値のちょうど真ん中(150)だから50、(3)は過去5日でいちばん高いところ(200)だから100ということになります。

そして、%Dはこれを3日間平均したもの、S%Dは%Dをさらに3日間平均したものとなります。したがって、たとえばいまが上昇トレンドの最中であり、現在の値段がいちばん高いとすれば、%Kは100%となることがわかります。

つまり、ストキャスティクスにおいて100%という数字は特別な数字ではなく、よくあることなのです。ということは、決して「買われすぎ」ではないのです。

ストキャスティクスの正しい解釈

このことからもわかるように、上昇トレンド中であれば、%K、%D、S%Dがともに80%を超えるのは普通のことなのです。ですから、これを「買われすぎ」と称して売ってしまえば、ことごとく外れて、損をするのは当たり前です。

下降トレンドについても上昇トレンドとまったく同じことがあてはまります。ストキャスティクスについて正しい解釈として覚えておくべきことは、

  • 50%が分かれ目であること
  • 50%より上であればあるほど買い方が強いということ
  • 50%より下であればあるほど売り方が強いということ
    です。

そして、上昇トレンドが続くあいだは数値が徐々に上がり、80%から100%のあいだでずっと推移し、下降トレンドが続くあいだは数値が徐々に下がり、20%から0%のあいだでずっと推移します。また、もみ合い相場になると、トップゾーンからボトムゾーンへ、ボトムゾーンからトップゾーンへという動きを繰り返すようになります。

以上のことを図表1-6にまとめるとともに、実際のローソク足チャートとストキャスティクスの動きがよくわかるチャート(図表1-7)を掲載しておきますので、まずは、このことをしっかりと覚えておいてください。

「大循環ストキャス」短期トレード入門
(画像=日本実業出版社)
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ストキャスティクスを正しく使う基本の解説は以上となります。本書では、ストキャスティクスを使って短期トレンドを上手にとる「大循環ストキャス」という独自のトレード手法について解説しています。興味のある方はぜひ、手に取ってみてください。


著者プロフィール

小次郎講師(こじろうこうし)
本名・手塚宏二。1954年生まれ。早稲田大学政経学部中退。金融会社からIT会社へ転身し、チャートソフトの開発や投資家教育に取り組む。2015年に独立。タートルズのトレード手法をベースとした小次郎講師流の手法で、これまでに教えた2000人を超える門下生からは専業トレーダーも多数輩出。

ラジオNIKKEI「小次郎講師のトレードラジオ講座」にレギュラー出演するほか、「マーケット・トレンド」「夜トレ」「キラメキの発想」などでも活躍中。著書に『真・トレーダーズバイブル』(パンローリング社)、『稼げるチャート分析の授業』(総合法令出版)、『ZAiが作った商品先物取引入門』(ダイヤモンド社)などがある。
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