一昔前なら疑問符つきで語られるしかなかった「若返り」。しかし医療技術が急速な発展を遂げるなか、老化現象を引き起こす原因が解明されつつある。その鍵となる物質が「NMN」(Nicotinamide MoNoncleotide:ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)だ。一体どのような物質であり、どのような効能/効果が期待できるのか。国内NMN市場のパイオニアであるノルデステの代表取締役社長 阿部朋孝氏に、抗老化の最前線を聞いた。

ノルデステ 代表取締役社長 阿部朋孝氏
ノルデステ 代表取締役社長 阿部朋孝氏

ビジネス、ライフスタイル、趣味を今以上に充実させるには

連日夜遅くまで働き、そのあとは取引先と会食。そして週末は得意先とゴルフへ……。仕事での成功をつかむため、あるいは成し遂げたい夢のため、日夜を問わずハードワークを続けてきた方はZUU Online 読者にも多いだろう。

しかし、肉体を酷使する働き方を長年続けることは容易ではない。20〜30代の頃だったら、多少の無理は若さと気合いで乗り切れたかもしれない。ただ、40代を過ぎ、50代、60代となると……。ハードな一日を過ごした翌日、眠気に襲われ集中が続かなくなるなど、100%のパフォーマンスを発揮する難しさを感じる方もまた、多いのではないだろうか。

エイジングケアの鍵となるビタミン性物質「NMN」を用いたサプリメントを提供する、株式会社ノルデステの創業10代目社長・阿部朋孝氏は、ハードワーカーがこうした身体的な衰えを訴えるのを間近で見てきたという。

「たとえば経営者や医師、弁護士など社会的な成功をつかんできた方は、相対的にほかの人よりバイタリティに溢れている方が多いです。ただ、50、60代になってから、昔と比べて圧倒的に踏ん張りが効かなくなった……という声をよく聞きます。夜寝る時間が遅くなってしまうだけで回復に時間がかかり、20年前と比べてずいぶん衰えたと自覚する場面がどうしても多くなっていくんです」

同社は老化現象と深く関係する体内物質「NMN」に当初から着目し、国内のNMN市場を牽引してきたパイオニアだ。現在では高級車メーカーのランボルギーニ、大手エンタテイメント企業・エイベックスなどもNMN市場に参入し、実業家の堀江貴文氏も愛用。また、米国ではハーバート大学やワシントン大学、国内では東京大学、慶應義塾大学など、世界各国の主要大学でも若返りに関係する物質としてNMNの研究が進んでおり、その成分への注目が高まっている。

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世界各国の主要大学でも若返りに関係する物質としてNMNの研究が進んでいる(出典:ノルデステ)

なぜNMNが抗老化につながるのか

NMNの正式名称は「ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド」という。NMNは酵母や酵素の研究から発見されたビタミンに近い物質。人間の体内でも自然に生成されているが、NMNが減少することによって老化現象が始まり、身体機能や認知機能の低下が進行すると考えられている。

NMNを摂取することによる、具体的なメリットは以下のとおりだ。まず、NMNは体内に吸収されたのち、補酵素(NAD+)に変換される。補酵素は人間の体内で代謝機能を担っており、生み出せるエネルギー量に大きく関係するが、前述のとおり補酵素は加齢とともに減少する。

補酵素の減少表現
補酵素は加齢とともに減少する(出典:ノルデステ)

その上、補酵素自体を食物から取り入れようとしても、分子構造が大きいため、体内に吸収されにくい。そこで補酵素に変換されるNMNを補うことが、効率的な抗老化につながる。具体的には、NMNを体内に取り入れることで、若々しさの再生や体脂肪率の低下、代謝の向上、熟睡、肌質の改善、思考力・集中力の向上などの効果が期待できる。

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補酵素に変換されるNMNを補うことが、効率的な抗老化につながる(出典:ノルデステ)

「一昔前は『サプリメントで若返り』といえば、どことなく胡散臭いイメージがつきまといました。しかし近年の研究成果には目覚ましいものがあり、NMNのヒトでの臨床試験も進んでいます。また、2010年代になって生物学的年齢を定量化する技術として、DNAのメチル化も確立してきました。定量化ができれば、今度は生物学的な年齢を保つための積極的介入も可能になります。若返りの手法が科学的に実証されてきている段階で、今後そういった手法はますます普及していくと思いますね」(阿部氏)

1731年の創業から追求し続けた原材料の品質

NMNを含んだサプリメントや美容液の商品開発で市場をリードするノルデステは創業1731年という長い歴史を持つ。初代は松平家に勤めた江戸時代の漢方医・阿部養庵。幕末には5代目が緒方洪庵に師事し、当時としては画期的な医療法であった天然痘ワクチンの普及に努めた過去もある。

その後、時を経て、1984年に9代目の阿部和重氏がサプリメント原材料商社/メーカーとして有限会社ノルデステを設立。10代目の阿部朋孝氏は父から2017年に代表の座を引き継ぎ、現在に至る。

阿部家は原材料を扱ってきた歴史が長く、ノルデステと屋号を掲げる現在も、問屋として海外からNMNなどの材料を輸入し、販売を行っている。原材料を熟知する立場から見て、阿部氏はNMN市場に大きな危機感を抱いているという。

「2015〜6年頃に初めてNMNを海外から取り寄せて調査を行ったのですが、当時からかなり偽物が多いという印象があったんです。ましてやNMNブームが起こっている現在、原材料の質については昔よりもさらに状況が悪くなっているのではと危惧しています」

そして、阿部氏はこう続ける。

「米国の食品成分企業ChromaDex社による調査では、Amazonで販売されているトップ22のNMNサプリメントのうち、約86%の商品で、表示されている分量よりもNMNが少ないか、もしくはまったく含まれていない……という結果が出ています(「Fake, Fraudulent NMN Products on Amazon Exposed」 – ProHealth)。サプリメント業界には残念ながら「商品が売れさえすればいい」と考える、倫理観が非常に低い業者もいます。そんな中でNMNの効能を疑う消費者が増えてしまい、健全な市場の発展が阻害されることを憂慮しています」

ノルデステでは、取り扱うNMNに対して徹底的に品質の追求を行っている。たとえば同社では独自の特殊製法を用い、点滴製剤レベルの基準をクリアした安全性の高い国産NMNのみを配合。さらに、熱に弱いNMNが分解しないよう、常温でもNMN含有量がほぼ減少しない製法を使用。原料真正テストも実施し、NMN含有量も厳しくチェックしているという。

なぜノルデステはNMNにこだわるのか。その思いを阿部氏は次のように話した。

「論語に『七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず(のりをこえず)』という言葉がありますが、70代になると、欲望に従って自分がやりたいことを行っても、誰にも迷惑をかけないという境地を指しています。本田宗一郎氏や松下幸之助氏など、経済界に大きな功績を残した方々も、若い頃は自分の成功のために多くの力を使っていました」

「非常に力のある方々が、ようやく社会に価値を還元し始めるときには、すでに60代や70代。そろそろ引退の時期だというイメージになってしまうのは非常にもったいないと思うんです。だから私たちは、何歳になっても夢を追いかけたいというパッションを持っている方々が、できるだけ長く活躍できるよう応援したい。日本の未来を明るいものにするために、抗老化技術は非常に重要だと考えています」

NMNは健康寿命を延ばす「将来への投資」

ノルデステはフラッグシップ・モデルであるNMNサプリメント「NMN Sirtuin(サーチュイン)」を始め、NMN配合美容液「NMN13 Serum(セラム)」や、ペット向けのサプリメント「agene(エイジーン)」も提供。複数の方法でNMNを摂取できる商品を展開している。

「最初にサプリメントを販売し、その後美容液を展開しました。サプリメントによる効能/効果は最初に体の中から効き始め、体の一番外側である皮膚に効果が現れるまでには一定の時間がかかります。特に女性は若々しさを肌に見出す方も多い。NMNの受容器官は体のあらゆる細胞に存在するため、美容液によって肌に直接NMNを与えることで、手早く若返り効果を得ることができます」

阿部氏は、NMNを摂取することは「将来の健康への投資になる」と話す。どういうことだろうか。

ノルデステ 代表取締役社長 阿部朋孝氏
「『自分の若さ』への投資にこそ、大きな価値があると私は考えています」(阿部氏)

「株式や債権等への投資活動をしている方は多いと思いますが、そうではなく『自分の若さ』への投資にこそ、大きな価値があると私は考えています。つまり、自分が元気に活躍できる時間がもし10年伸びれば、その期間で生み出す価値によって、簡単に元本を回収できてしまう。健康への投資は今後、日本でもよりスタンダードになっていくと思います」

時には健康を損ねながらも仕事に体力を注ぎ込み、夢の実現に向かって突き進んでいくのが従来の成功者のステレオタイプ。しかし現在の最前線の医療では、若返りや抗老化技術が当たり前になってきている。将来的な健康への投資を積極的に行うことで、若々しさを自然な形で保ち、歳を重ねても昔と変わらないアウトプットを出し続ける……。健康寿命を延ばすための投資として、NMN成分の活用は切り札になるだろう。