シェアサイクルの市場規模
国内外で拡大が続くという予測
シェアサイクル市場は近年拡大が続く。2021年7月にReport Oceanが発表したレポートでは、世界のシェアサイクル市場は2019年に34億3,000万ドルであり、2020年から2027年には14.0%の年平均成長率で69億8,000万ドルに至ると分析している。
また、シェアリングエコノミー協会などによる「日本のシェアリングサービスに関する市場調査」では、カーシェアやシェアサイクルなど「移動」分野での2020年度の市場規模は2,313億円だった。2025年度には5,130億円規模に拡大すると予測する。シェアリングサービス市場全体も、同様に好調なペースで成長する見込みだ。
市場成長の理由
このような市場成長の背景には、シェアサイクルがSDGsの取り組みや交通システムの課題解決手段として評価が高いことが挙げられる。
民間企業による多様なサービスだけでなく、地方自治体がシェアサイクルを運営するケースも増加している。例えば、岡山市の「ももちゃり」や金沢市の「まちのり」などだ。本格導入に向けて実証実験を進めている自治体も多い。
自動車などに比べて場所をとらず、ポートの設置に大掛かりな工事が不要であることから、店舗や自宅敷地の空きスペースを有効活用して収益化を図ることができるため、参画しやすい。コロナ禍で公共交通機関の利用を控える人が増加したことも、シェアサイクルのユーザーが増える一因となった。
国土交通省もシェアサイクルの普及を促進している。2021年度の税制改正において、市町村自転車活用推進計画に記載されたシェアサイクル事業を対象に、ポート設置にかかる固定資産税の特例措置が創設された。
シェアサイクルの課題
メリットの多いシェアサイクルだが、運営側にとっては採算が取りにくいという課題もあるようだ。利用者のマナーの問題や自転車の再配置が間に合わないという運営上の問題も生じている。これらの課題にはポート設備の改善やシェアサイクルを推進している国や自治体も一体となって利用状況を改善していくことが必要だ。
シェアサイクルに関するQ&A
Q1.自転車シェアリングの課題は?
現状では、都市部以外では普及が進んでいない地域がある。利用者のマナーの問題や運営側にとっては採算が取りにくいなどの課題がある。
Q2.シェア自転車のデメリットは?
借りたい場所にポートがなかったり、ユーザーの集中や再配置の人員不足のために自転車が利用できなかったりすることも考えられる。サービスによっては長時間や広エリアでの利用を前提としていない料金体系となっている場合もある。
Q3.シェアサイクルの利用理由や用途は?
シェアサイクルに関する実態調査では、近距離の移動や他の交通手段の代替としての用途が多いことがわかっている。利用理由では、自分で自転車を所有する手間やコストが削減できることや24時間いつでも手軽に借りられる利便性が挙げられた。
Q4.シェアサイクルの特徴は?
アプリなどを使って手軽にポートを検索したり、レンタルしたりすることができる。エリア内であれば借りた場所と異なるポートでの返却が可能で、24時間いつでも利用できるサービスも多いため、利便性が高い。特に、短時間で短距離の移動に適している。
Q5.シェアサイクルの利点や魅力は?
環境問題や渋滞など交通システムの課題の解決策として注目されている。自転車はエコな移動手段であり、SDGs推進の面からも評価される。ユーザーにとっては利用が手軽で、公共交通機関の混雑や遅延を避けられる点がメリットだ。自分で自転車を持つと必要になる購入費や維持費の節約にもなる。