企業が知っておきたいグリーンウォッシュ対策
グリーンウォッシュはあくまで外部が判断する行為であるため、情報発信をする企業は対策を考えておく必要がある。ここからは、中小経営者が知っておきたい2つの対策を紹介する。
透明性のある広告・表示を意識する
グリーンウォッシュを防ぐ上で、「透明性」は重要なキーワードである。例えば、ふりかけなどを扱う三島食品は、原材料の変更に伴って商品パッケージの色も新調した。
売上に影響しづらい小さな要素であったとしても、消費者の誤解を招くような広告・表示は望ましくない。誰が見ても情報が正しく伝わるように、透明性のある言葉やイメージを使うことが重要だ。
エビデンスの記載を徹底する
情報がありふれた現代において、エビデンス(根拠)の記載は必須とも言える。特にデータを表示する際には、「正しいかもしれない」ではなく誰もが信頼できる情報源を記載するべきだ。
データはビジュアル的に見やすいため、多くの企業が自社サイトや広告で活用している。SNSや動画マーケティングでもよく見られるが、参照元の信用性が低いグラフや、十分な検証材料がないデータは表示すべきではない。
調査機関から指摘されるだけではなく、虚偽のデータを見つけた消費者が拡散してしまうリスクもあるため、エビデンスの記載は徹底することを心がけよう。
グリーンウォッシュに関するQ&A
ここまでの内容を含めて、以下ではグリーンウォッシュに関するQ&Aをまとめた。グリーンウォッシュはさまざまな業界に影響を及ぼすため、基本的な知識からしっかりと押さえていこう。
Q1.グリーンウォッシュの由来や歴史は?
グリーンウォッシュは、「Green(環境にやさしい)」と「Whitewashing(うわべ、ごまかし)」を組み合わせた造語である。1980年代に欧米の活動家によって誕生した用語であり、「グリーンウォッシュ企業」や「グリーンウォッシュ商品」のように使われることもある。
SDGsやESG経営が注目されている影響で、近年ではグリーンウォッシュへの警戒感が強まりつつある。
Q2.グリーンウォッシュは何が問題?
グリーンウォッシュは消費者を欺く行為であり、虚偽広告などに騙された消費者は不利益を被るケースが多い。また、関連企業のイメージやブランドの低下、環境破壊なども軽視できない問題点である。
なお、広告発信をする企業にその意思がなくても、広告内容が事実に反している場合はグリーンウォッシュとみなされる場合がある。
Q3.グリーンウォッシュの見分け方は?
グリーンウォッシュを見分けるには、以下の観点から広告・宣伝などを確認する必要がある。
・キャッチフレーズや主張の誇大表現
・根拠のない主張
・実態を表さないイメージ図
・専門用語などを使った独自の表現
・矛盾表現
・データなどの捏造や偽造
いずれも消費者・投資家を欺く行為であるため、広告発信をする企業は十分に注意したい。
Q4.グリーンウォッシュの罰則や規制は?
アメリカではグリーンウォッシュを取り締まった例として、SEC(米国証券取引委員会)による罰金がある。実態を伴わない投資商品を取り扱った運用会社に対して、150万ドルの罰金が科された。
ほかの欧米諸国でも罰則化が進んでいるものの、日本においては明確なペナルティが存在しない(※2022年10月時点)。SDGsやESG投資を浸透させるには、規制などの整備が必要になるだろう。
Q5.グリーンウォッシュの有名な事例を知りたい
グリーンウォッシュの事例としては、実態を伴わない「100%リサイクル」や「カーボンニュートラルの実現」が挙げられる。例えば、脱炭素社会の実現を掲げていた国内銀行は、石炭火力発電所への融資を継続していたことで一部から批判を浴びた。
また、アパレル業界や飲食業界の大企業にも、グリーンウォッシュとみなされた例が存在する。