IFAは、Independent Financial Advisorの略で、日本では独立系ファイナンシャル・アドバイザーとも呼ばれる。日本のIFAは、複数の証券会社や銀行と業務提携しているため、特定の金融機関の商品に縛られないアドバイスを行えることが特徴である。本記事ではIFAの種類や、IFAを利用する際にかかる手数料などについて解説する。
IFAへの相談に手数料はかかるのか?
IFAに相談すると、どのような手数料がかかるのだろうか。日本のIFAでは、IFAが所属するIFA法人にもよるが、原則として相談自体は無料で行っているところがほとんどである。
株式の購入時などに手数料が発生する
では、IFAはどこから報酬を得ているか。多くの場合、顧客が金融商品を購入した時に支払う取引手数料からだ。 IFAの顧客は、資産運用のアドバイスを実行する際、IFAが業務提携をしている証券会社に口座を作り、金融商品を購入する。証券会社で取引を行うと取引手数料が発生し、その手数料の一部がIFAに支払われるのだ。このように報酬を得るIFAは「コミッション型」と呼ばれる。
一方、売買手数料から収入を得るのでなく、運用に対する対価として運用資産に対する運用報酬をもらう「フィー型」のIFAもいる。
日本のIFAの大半はコミッション型である。それは日本に運用報酬を払うというカルチャーがまだ普及していないからだ。ただ、コミッション型には大きな問題点がある。手数料が発生しないとIFAの収入にならないことである。
たとえば、下げ相場やボラティリティの大きい相場など、本来は売買しない方がいいと思われる環境があったとする。しかし、IFAは顧客が商品の売買をしないと収入が入らない。顧客の利益より自分の収入のために、売買を推奨する可能性があるわけだ。また相場が悪いときに限らず、証券会社やIFAの収入増となるような、手数料の高い商品ばかり扱うケースもあり得る。
そういった問題点を解決するのが、フィー型の手数料だ。この場合IFAは顧客の預かり資産に応じた報酬を受け取るため「相場環境の悪いときに無理矢理取引をする」「手数料の高い金融商品を積極的に扱う」といった問題は解決される。
一部のIFAはコンサルティング料がかかる場合も
ここまで紹介したとおり、大半のIFAは顧客と証券会社を結ぶ仲介者として資産運用のアドバイスを行い、金融商品を販売することで手数料を得ているため、相談自体は無料で行える。しかし、中には金融商品の販売に重点を置いておらず、「コンサルティング料」として相談自体にフィーを設定するIFAもある。
IFA利用時にかかる手数料の具体例
実際にIFAを利用すると、どの程度の手数料がかかるだろうか。ここでは日本のIFAの大半を占める「コミッション型」に加え、「フィー型」についても報酬体系と具体的な手数料を紹介する。
コミッション型
顧客がIFAに直接報酬を払うのではなく、顧客が株や投資信託などの金融商品を購入する際に発生する取引手数料からIFAに手数料が支払われる報酬体系を、「コミッション型」または「コミッションベース型」という。日本のIFAの大半はこの「コミッション型」だといわれている。
顧客が自身ですべての投資判断を行う取引、たとえばインターネットでの売買などに比べ、IFAを利用した取引では取引手数料が高くなる。つまりこの取引手数料の差が、IFAを利用することによる手数料といえる。
ここでは、具体的なIFAとして、SBI証券と楽天証券のIFAコースの手数料を紹介する。
まず、SBI証券と提携しているIFAに相談する場合、「IFAコース」と「IFAコース(プランA)」の2種類のコースが用意されている。
▽SBI証券と提携するIFAに相談する際利用できるコース
IFAコース | SBI証券と提携するIFAで、電話等による投資相談が受けられるコース。 |
---|---|
IFAコース(プランA) | 顧客1人ひとりにIFAの担当者がつき、投資スタイルに合わせて担当者からの電話、訪問によるアドバイスや投資情報の提供を受けながら取引ができるコース。 |
上記を見てもわかるように、IFAコース(プランA)の方が、IFAからより細かなサービスを受けることができる。現物株式の取引手数料を例に、それぞれのコースの手数料を比較したのが以下である。
▽SBI証券の現物株式取引手数料の比較
約定代金 | インターネットコース | IFAコース(インターネット手数料) | IFAコース(プランA) |
---|---|---|---|
〜5万円 | 55円 | 484円 | 約定代金の1.265% (最低手数料2,750円) |
〜10万円 | 99円 | ||
〜20万円 | 115円 | ||
〜50万円 | 275円 | ||
〜100万円 | 535円 | 870円 | |
〜150万円 | 640円 | 1,090円 | 約定代金の0.99% +2,750円 |
〜500万円 | 1,013円 | 1,640円 | |
〜1,000万円 | 約定代金の0.77% +1万3,750円 | ||
〜3,000万円 | 約定代金の0.6325% +2万7,500円 | ||
〜5,000万円 | 1,070円 | 1,650円 | 約定代金の0.4125% +9万3,500円 |
〜1億円 | 29万9,750円 | ||
〜3億円 | 約定代金の0.176% +16万2,800円 | ||
〜5億円 | 約定代金の0.11% +36万800円 | ||
〜10億円 | 約定代金の0.088% +47万800円 | ||
10億円〜 | 約定代金の0.066% +69万800円 |
アドバイスをまったく受けられないインターネットコースに比べると、IFAと電話相談ができるIFAコースでは取引手数料が高く、個別に担当者が付くIFAコース(プランA)ではさらに高額になっていることがわかる。つまり、これらの差額がIFAを利用することによる手数料といえるだろう。
次に、楽天証券と提携しているIFAを利用する際の手数料を見てみよう。楽天証券ではIFAコースAとIFAコースBが提供されている。なお表中の超割コースとは、IFAによるアドバイスが受けられないコースである。
▽楽天証券の現物株式取引手数料の比較
約定代金 | 超割コース IFAコースB | IFAコースA |
---|---|---|
〜5万円 | 55円 | 2,750円 (最低手数料) |
〜10万円 | 99円 | |
〜20万円 | 115円 | |
〜25万円 | 275円 | |
〜50万円 | 約定代金の1.1% | |
〜100万円 | 535円 | |
〜150万円 | 640円 | 約定代金の0.9625%+2,200円 |
〜200万円 | 1,013円 | |
〜300万円 | 約定代金の0.88%+3,850円 | |
〜400万円 | 約定代金の0.8250%+5,500円 | |
〜500万円 | 約定代金の0.77%+7,700円 | |
〜1,000万円 | 約定代金の0.66%+1万3,200円 | |
〜2,000万円 | 約定代金の0.605%+1万8,700円 | |
〜3,000万円 | 約定代金の0.55%+2万9,700円 | |
〜5,000万円 | 1,070円 | 約定代金の0.33%+9万5,700円 |
〜1億円 | 27万5,000円 | |
1億円〜 | 約定代金の0.11%+17万7,100円 |
楽天証券では、IFAによるアドバイスが受けられない超割コースと同等の取引手数料で取引が行える「IFAコースB」が提供されている。ただし、楽天証券の手数料コースは、IFA側がAとBどちらを採用しているかによって決まるため、SBI証券と違って顧客がコースを選ぶことはできない。
IFAコースBを採用しているIFAの方が取引手数料は低いが、相談料などが別途かかる場合もあるので、事前に確認しておこう。
フィー型
金融商品を販売することで報酬を得る「コミッション型」に対し、顧客の預かり資産残高に連動した形で手数料を受け取る報酬体系を、「フィー型」または「フィーベース型」という。
フィー型で提供される代表的なサービスに「ファンドラップ」がある。ファンドラップとは、顧客の資産運用に対する考え方やリスク許容度などをもとに、複数のファンド(投資信託)を組み合わせた資産配分を提案し、それに基づき証券会社が運用、管理を行うサービスだ。
資産を預けていれば専門家が運用を行うが、運用の方向性は顧客自身が決めるうえ、運用報告が定期的に行われるため運用状況もしっかりと把握することができる。
顧客自身が複数の投資信託の運用、管理を行う場合、購入時手数料や信託報酬といった手数料が発生するが、ファンドラップを利用した場合さらに「投資顧問料」がかかる。
SBI証券あるいは楽天証券では、提携しているIFAを通してファンドラップを利用することができる。具体的な手数料は次の通りだ。
▽SBI証券と楽天証券のファンドラップにかかる手数料
証券会社 | サービス名 | 手数料 |
---|---|---|
SBI証券 | ゴールベースラップ | 年率1.43% |
楽天証券 | 楽天IFAラップ | 【固定報酬】最大年率1.265% または 【固定報酬】最大年率1.155% +【成功報酬】運用益の5.5% |
また楽天証券は2019年より、IFA向けに顧客の預かり資産に連動して報酬が増減するフィー型の「管理口座コース」を開始している。
売買手数料を従来よりも安く(もしくは 0 円)とする代わりに、顧客の預かり資産残高に一定の率を乗じた額の管理口座料を徴収し、管理口座料から IFA へ報酬を支払うコースだ。たとえば、顧客の預かり資産が1億円で1%のフィーが還元される場合、IFAには100万円が報酬として支払われる。
参考:対面型証券の手数料
証券会社の中には、実際に店舗で相談しながら金融商品を販売することに力を入れている「総合証券」と呼ばれる会社もある。顧客としては、実際に対面で相談することで、不明点を確認できるほか、購入間違いを防ぐことができるため安心感がある。
代表的な総合証券会社の対面での取引手数料は以下のようになっている。
▽総合証券会社の現物株式対面販売にかかる手数料
約定代金 | 野村證券 (店舗取引) | 大和証券 (支店担当者) | みずほ証券 (対面取引)[NM1] |
---|---|---|---|
〜50万円 | 1.43% (最低手数料2,860円) | 1.265% (最低手数料2,750円) | 1.155% (最低手数料2,750円) |
〜70万円 | 1.1%+1,650円 | ||
〜100万円 | 0.946%+2,728円 | ||
〜300万円 | 0.880%+3,388円 | 0.968%+2,970円 | 0.88%+2,750円 |
〜500万円 | 0.847%+4,378円 | 0.825%+4,400円 | |
〜1,000万円 | 0.704%+1万1,528円 | 0.715%+1万5,620円 | 0.693%+1万1,000円 |
〜3,000万円 | 0.572%+2万4,728円 | 0.5775%+2万9,370円 | 0.561%+2万4,200円 |
〜5,000万円 | 0.264%+11万7,128円 | 0.33%+10万3,620円 | 0.253%+11万6,600円 |
〜1億円 | 0.110%+19万4,128円 | 26万8,620円 | 0.011%+23万7,600円 |
〜5億円 | 29万8,320円 | 28万1,600円 | |
〜10億円 | 33万1,320円 以降5億円ごとに +3万3,000円 |
先に紹介したIFAを介した取引の手数料は、総合証券会社の対面での取引手数料と同程度の水準といえる。
手数料体系に応じたIFAの選び方
IFAは、報酬体系に応じ、IFAを通して金融商品を購入する際に取引手数料がかかる「コミッション型」と、運用を任せた資産額に応じて運用・管理手数料がかかる「フィー型」に大きく分かれる。
これらの報酬体系の違いによるIFAのメリットとデメリットを押さえておこう。
コミッション型のメリット/デメリット
コミッション型のメリットは、IFAという資産運用の専門家が金融商品に関する情報や分析を行い、顧客に商品を提案することにある。
投資には情報収集と分析が不可欠だが、普段仕事がある現役世代にとって、複数の会社や金融商品に関して常に情報を収集し、詳細な分析を行うことは時間的にも難しい。IFAを介することで、情報の収集や分析に費やす時間を省くことができる。
ただし、金融商品を売ることで手数料を得るコミッション型にはデメリットもある。
顧客が利益を得るのは運用がうまくいった場合、つまり商品が値上がりした時であるのに対し、IFAが利益を得るのは商品を売ったタイミングで、運用結果がどうあれ利益は変わらない。そのため、IFA側にだけメリットがあり、顧客にはデメリットとなる「利益相反」の取引を推奨される可能性がないとは言い切れない。
コミッション型の報酬体系で活動するIFAを利用する際は、この利益相反になる可能性があることはしっかりと認識しておきたい。
フィー型のメリット/デメリット
フィー型のIFAの報酬体系は、顧客の預かり資産残高に応じて手数料を受け取る。たとえばIFAが預かり資産の1%を報酬としていれば、資産5,000万円を預けた場合、年間50万円が報酬となる。
フィー型のIFAのメリットは、IFAと顧客の目標が同じ方向を向いていることである。顧客側としては、当然自分の資産を増やしたいと思うだろう。一方、IFA側としても、顧客の資産が増えることで、自分が受け取れる報酬も上がる。つまり、IFAと顧客にwin-winの関係が成立するのだ。
デメリットとしては、コミッション型のIFAに比べ、短期的な成果が見えにくい点が挙げられる。フィー型のIFAは、顧客の目的に沿った資産運用を継続的に行っていくため、リターンが期待できる(=リスクがある)商品を単一で提案するのではなく、さまざまな商品を組み合わせて提案する必要がある。提案された商品で儲かったなど、わかりやすい結果が期待できないため、顧客としてはIFAの能力を判断するのが難しくなる。
そもそもIFAとは?
IFAを利用する際の手数料を紹介したが、そもそもIFAと他のお金の専門家の違いは何だろうか。
IFAが報酬を受け取る仕組み
日本のすべてのIFAは、証券会社や銀行などの「金融商品仲介業者」と業務提携を結び、株や投資信託の売買の仲介を行っている。業務提携を結ぶ金融商品仲介業者の数に制限はないため、複数の証券会社と業務委託契約を結ぶIFAもいる。
IFAが証券会社に所属するアドバイザーと異なるのは、証券会社と業務提携して報酬を受け取っているものの、証券会社から販売方針などの指示をされることがない点である。このため、証券会社が今販売したい商品にこだわることがなく、またノルマなどにより顧客の利益と相反する金融商品を販売する危険も軽減される。証券会社から独立性を保って顧客にアドバイスができるため、「独立系ファイナンシャル・アドバイザー」と呼ばれるのだ。
まとめ
IFAがどのような専門家なのかということと、IFAを利用する際の手数料について紹介してきた。せっかく手数料を払うからには、なるべく自分に適した専門家を見つけたいところだろう。そのためにはそれぞれの専門家がどういう立場で、どのようなことを得意としているのかなどをよく知っておく必要がある。「ZUU Advisors」を利用すれば、複数の厳選されたアドバイザーから提案が届き、その中から自分が納得できる専門家を選ぶことができるため、まずはこういったサービスを利用してみるのもいいだろう。
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