本記事は、中野信子氏の著書『世界の「頭のいい人」がやっていることを1冊にまとめてみた』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

グローバル,意見
(画像=Studio Romantic/stock.adobe.com)

空気は読まない。
── 自分が好きなことと得意なことを貫く

苦手なことはきっぱりと断る

ちょっと前に、「KY(空気が読めない)」なんて言葉が流行っていたことがありましたよね。周りと歩調を合わせるのを美徳とする、日本らしい風潮かもしれません。

確かに、他人を気遣うのは素晴らしいこと。でも、世界で活躍している人には、実はKYの人が多いのも事実です。

私の先輩に、Sさんという日本人の研究者がいます。Sさんは日本だけでなく、ヨーロッパでも高い評価を得ていますが、「空気を読まない」ことで己を貫いています。

一方、Sさんと同じ研究所には、Hさんという日本人の研究者もいました。Hさんは皆を気遣って、自分の希望しない研究にも手を貸していました。しかし、評価はいまひとつ……。

SさんもHさんも研究熱心で、優れた論文を書いていました。なのに、周囲からの評価は明らかに違う。あまりにも不公平な気もしますが……、この違いは一体、どのようにして生まれたのでしょうか?

「自分の得意なものが何なのかをよく知っており、自分が苦手なことはやらない」つまり、「周囲に自分を合わせるのではなく、周囲が自分に合わせるようにする」これがSさんの最大の特徴でした。

Sさんは人の意向に自分を合わせるということを、まったくしませんでした。

「苦手なものは苦手」と言って譲りません。またSさんは、苦手なところを克服するために時間や労力を使うのではなく、自分の得意なところをブラッシュアップするために使うのに徹していました。

そして、「これはできそうもないな」という部分は、自分でやることを避けていました。得意な人を探してその人に任せるという方法で、苦手なところをカバーしていたのです。

抱え込んでしまってはいい結果は残せない

実はこの方法、良い結果を出すには、非常に理にかなっています。

まず、自分が苦手なところをフォローしてもらうためには、他の人を頼りにします。人は誰かに頼りにされると嬉しいものなので、基本的には喜んで引き受けてくれます。

一方、自分が得意なことには、自分の能力をフルに発揮します。

結果的に、自分にも、協力した人間にも、素晴らしい成果がついてきます。

これは、Sさんが自分の得意分野を、「誰にも真似できないレベル」にまで高めていたからこそできることでもありました。「どんな仕事でも60点レベルで、無難にこなせる」より、「この仕事を90点以上のハイレベルでできるのは自分だけ」というものを徹底的に活かすわけです。

そして、「自分では30点以下のレベルでしかできない」ことは、「90点以上のレベルでできる人」を探してきて、その人に任せればいいという考え方です。

この方法は、何でも1人でやろうとする「ゼネラリスト傾向」の強い日本人にはやや抵抗があるかもしれません。ですが、ちょっと思考法を変えるだけで、誰にでも実行できる方法でもあるのです。

そして、結果的に、自分も相手もいい思いができる。さらに、「あの人ってすごいね!」と高い評価を受けることにもなるのです。