この記事は2022年12月7日に「The Finance」で公開された「NFTとは?わかりやすく解説【2022年12月最新版】」を一部編集し、転載したものです。
昨今、ブロックチェーンから生まれた新たなしくみとして「NFT」が注目されています。NFTの基礎知識、購入販売方法から、国内外のNFTマーケットプレイス、注目のニュースを踏まえて解説します。
目次
NFTとは
(1)定義
NFTとは「Non-Fungible Token」の略称で、日本語では「代替不可能なトークン」を意味するものです。従来のデジタルデータは容易にコピーや改ざんができていたため、データそのものに希少価値はありませんでした。しかしNFTは「代替不可能なトークン」のため、唯一無二の価値を持っているという特徴があります。
こうした唯一無二の価値を持つデジタルトークンとして、NFTが発行されるようになった背景にはブロックチェーン技術が挙げられます。
ブロックチェーンとは、世界中にあるコンピューターにデータを分散することで、中央集権を置かずに破壊・改ざんが困難なネットワーク技術を作る技術のことです。つまり1つの場所にデータが置かれていないので、データのコピーや改ざんが難しいということです。
さらにNFTではブロックチェーン上に、著作権情報や所有権情報が記録されているため、デジタルデータの所有者が明確化されます。
そのためデジタルデータのコピーが仮にされてしまったとしても、NFTとの紐付けがされていないため、贋作であることが簡単に証明ができます。
ブロックチェーンについては、以下の記事に詳細が記載されているので、合わせてご確認ください。
* 参考:ブロックチェーンとは?金融業に革命を起こす新技術 入門編
NFTの登場によって、これまでデジタル上に多く存在していたアート作品、ゲームやマンガ。不動産分野なども、デジタルデータとしての希少価値を持たせることが可能になりました。
例えば先日、ツイッター社を買収したことで話題を集めたイーロン・マスク氏が出品したNFTはオークションで1億円以上の価値を付けています。
* 参照:イーロン・マスク氏のNFT作品、オークションで1億円突破
NFTによってデジタルデータを作成し販売している人にとっては、唯一無二の価値のあるものとして明確に認められるようになり、購入者にとっては、絶対的にオリジナルのものを確実に手にできることになります。
(2)暗号資産との違い
NFTと暗号資産の違いは、利用しているトークンが「代替性」のあるものか、「非代替性」であるかということです。暗号資産で利用されているトークンは、代替性のあるトークン(Fungible Token/代替可能トークン)です。つまり同じ価値のあるトークンがいくつも存在しているデジタルデータになります。
この代替性のあるトークンは、1万円分の価値のあるデジタルデータなどとして扱われ、他の暗号資産への交換や現実世界の現金にも変更が可能です。
一方でNFTは非代替性のトークンです。同じトークンは存在しないため、価値は相場ではなく、取引によって決まることが多くあります。前述したイーロン・マスク氏が出品したNFTも、イーロン・マスク氏が手がけた唯一無二の作品であるという希少性などから高値が付いたと考えられます。
他にもスポーツのチケットや不動産情報は、代替性がないものとして考えられます。
こうした他に代替性があるものかどうかの違いが、暗号資産とNFTの違いになります。
NFTが注目される理由
NFTの市場規模は近年急速な拡大を見せています。2019年、約300億円の市場規模だったものが、2021年には2兆円規模にまで拡大をしています。
* 参考:NFT市場が2年で300億円→2兆円に急拡大したワケ「保有する」だけではない、アート作品につけられた「価値」
こうしたNFTが注目された背景には、NFTの持つ特徴が考えられます。NFTには「非代替性」や「取引可能性」、「相互運用性」「プログラマビリティ」という特徴があります。
「非代替性」とは、NFTが唯一無二の価値を持つものであるという証明のことです。そのためデジタルアート作品などの場合、世界に一つだけのものとして証明して販売を行うことができました。結果として購入者としても価値のあるものを手にすることが可能です。
また「取引可能性」とは、データの所有者が自身の持っているNFTを自由に他者に売買できるというものです。例えばデジタルデータとして描かれたマンガのイラストを購入した人が、他の人に改めて所有権を移転するなどです。
加えて「相互運用性」とは、NFTの規格に沿って発行されたサービスであれば、どこでも取り扱うことが可能という意味です。つまり規格に遵守したマーケットプレイスであれば、取引が可能なため、デジタルアートの作者などは、規格に遵守していれば世界中の人に作品を見てもらうことが可能になりました。
最後に「プログラマビリティ」です。「プログラマビリティ」とは、NFTに付加機能をプログラムできることです。プログラマビリティを活用することで、NFTの作者が2次流通などの際に、購入代金の一部が作者に振り込まれるなどのプログラムを組むことが可能になります。
これまでのトークンでは実現できなかった希少性や、作者、購入者にそれぞれメリットがあること、アート作品にとどまらず、不動産の証明やスポーツチケットなどあらゆる分野にも活用できることから、NFTが注目を集めています。
NFTの歴史と有名事例
NFTが注目を集め始めたのは2021年の夏頃ですが、起源は2017年まで遡ります。
2017年:「クリプトキティ(Cryptkitties)」の登場
NFTの起源とされているのが、2017年にイーサリアムブロックチェーン上に誕生した「クリプトキティ(Cryptkitties)」というゲームです。
クリプトキティは、猫を交配させたり、売買させたりするゲームで、それぞれの猫がNFTの特徴である「非代替性」を持っていました。結果としてレアリティの高いデジタルキャットも誕生し、約1,700万円で取引されるなど盛り上がりを見せていました。
2018年:「ソラーレ(Sorare)」の登場
「ソラーレ(Sorare)」とは、現実世界のサッカーの試合結果が、ブロックチェーン上のスコアにも反映されるカードサッカーゲームのことです。
実在している選手のカードをデジタル上で購入してチームを作成、他のプレイヤーとカードの取引などを行います。ソラーレでは、NFTの技術を活用してレアリティの高い選手のカードの発行枚数を制限するなどをしています。結果として、ゲーム内において高値で取引されるようになり、人気を集めました。
ソラーレをきっかけに、スポーツ市場でもNFTが注目されるようになったともされています。
2021年:TwitterにてNFTのアイコン設定が可能に
Twitterのユーザーが設定できるアイコンをNFT化できるとして大きな話題になりました。通常のアイコンとは異なり、円形から六角形に表示されるような仕組みとなっています。
2021年3月、Twitter社のCEOであったジャック・ドーシー氏が、Twitter自体のツイート第1号とされる自身の初ツイートのNFTをオークションに出品したところ、291万5,835ドル(約3億1,640万円)で落札されました。
* 参考:TwitterのドーシーCEOの初ツイートNFT、3億円超で落札 全額寄付
実際に落札したハカン・エスタビ氏は、「これはただのツイートではない。数年後には、これに「モナ・リザ」と同じくらいの価値があることにみんなも気づくだろう」とツイートしたことで、金額と共に大きな話題となりました。
2021年:NFTアートが6,930万ドル(約75億円)で落札
NFTが大流行したきっかけとされているのが、2021年3月のNFTアートの高額落札です。
ビープル(Beeple)氏が作成したデジタルアート作品が、オークションにかけられ、6,930万ドル(約75億円)で落札されました。従来では見られなかった高額落札がされたことで、デジタルアート作品のNFTが急速に高い利益を生む創作分野として確立されていきました。
作品を手がけたビープルは、「アーティストたちはこの20年以上、ハードウエアとソフトウエアを駆使して作品を創り、インターネット上で配信してきたが、これを真に所有し収集する実際の方法はなかった。NFTによりこれが変わった」と述べており、今後はデジタルアートとしての価値がさらに高まると示唆しています。
* 参考:デジタルアート、75億円で落札 NFTで史上最高額
2022年:大手日本企業のNFT市場参入
NFTが注目を集めたことで、日本の大手企業でもNFT市場へ参入してきています。
メルカリや楽天、サイバーエージェントなどです。楽天ではすでにNFTの取引が行える「楽天NFT」というマーケットプレイスを運営しており、すでに構築されている1億を超える楽天経済圏を活用して、NFT市場の拡大に寄与したいとしています。
* 参考:楽天参入で”NFTの民主化”が加速する|誰でもNFTを持つ時代がやってくる!!
またサイバーエージェントでは、2022年5月にメタバース空間におけるファッションの研究・事業開発を目的にデジタルファッションに特化した専門組織「Meta Fashion Factory(メタファッションファクトリー)」を設立しています。
メタバース空間上で、NFTを活用したデジタルファッションの販売などを行うことで、自己を表現する新たな手法としての、これまでにはない新しいファッションの形をプロデュースしていきたいとしています。
* 参考:メタバース空間においてNFTを活用したデジタルファッションの研究・企画・制作・販売を行う「Meta Fashion Factory」を設立
NFTの購入方法
NFTを実際に購入するには、以下の手順で進めて行きます。
- 暗号資産取引所で口座を開設する
- 暗号資産取引所に日本円を入金する
- 暗号資産を購入する
- 任意のNFTマーケットプレイスにログインする
- NFTを購入する
NFTを購入する前提条件として、現金ではなく仮想通貨のイーサリアム(ETH)が必要になります。そのためまずは、「暗号資産取引所で口座を開設する」ことが必要です。
具体的には「Coincheck」のサイトやアプリから、アカウント作成、本人確認を行います。スマホからでもパソコンからでも可能になります。また本人確認書類には運転免許証などを用意しておくと良いでしょう。
アカウント開設後、自身のアカウントに日本円を入金します。Coincheckでは「銀行振込」「コンビニ入金」「クイック入金」の3種類から入金が可能です。
銀行入金の場合は、以下のような手順で進めていきます。
日本円の入金を行ったら、実際にイーサリアム(ETH)を購入していきます。イーサリアム(ETH)を購入する方法は、アプリから購入するか、取引所から購入するかの2つのパターンになります。
アプリでは「メニュー」からチャートを選択して、イーサリアム(ETH)を選び、購入ボタンを押すことで完了します。
取引所とはユーザー同士で直接取引を行い、売買をする方法です。取引所のリストの中からイーサリアム(ETH)を選択して、「レート」と「注文量」を入力して、問題がなければ購入を選択します。
イーサリアム(ETH)の購入完了後、任意のマーケットプレイスにログインを行います。どのマーケットプレイスが良いかは任意になるので、この後の「国内の大手NFTマーケットプレイス」の章にあるものから、まずは確認してみてください。
マーケットプレイスにログイン後、さまざまな商品を選択することが可能になります。実際に購入できるものは、左上に「出品中」と表示されているものになります。
出品可能なものから、自身が欲しいNFTを選択し、購入画面へ移動します。内容を確認し、問題がなければ「購入」を選択して完了です。
NFTの販売方法
NFTは誰でも自身の作品などの販売や購入した商品の出品などが可能です。実際に販売を進める手順は、以下の通りです。
- 仮想通貨ウォレットを作成する
- ウォレットに仮想通貨を入金する
- 販売を行いたいNFTマーケットプレイスとウォレットを連携させる
- 商品を出品して、販売形式を決める
NFTを販売するためには、まず仮想通貨ウォレットを作成する必要があります。なお仮想通貨ウォレットは、購入を行う場合にも利便性は高いため、いずれにしても作成しておくと良いでしょう。
具体的には、MetaMask(メタマスク)を無料インストールしていきます。MetaMaskはGoogle Chromeの拡張機能に追加するのみなので、簡単に利用を始めることが可能です。以下の手順で進めていきます。
【MetaMask(メタマスク)設定手順】
- MetaMaskをインストールして、Google Chromeの拡張機能に追加する
- ウォレットの作成に進み、パスワードを設定する
- パスワードを設定する
MetaMaskの作成後、ウォレットに仮想通貨を入金していきます。なお、仮想通貨を送金する理由は、出品時に手数料等がかかるためです。そのためコインチェック等でイーサリアム(ETH)を購入して、設定したウォレットへ送金していきます。
ウォレットへの入金が完了したら、自身が出品したいNFTマーケットプレイスにログインを行い、連携をしていきます。NFTマーケットプレイスに新規登録をする場合には、必要事項を入力していきます。画面に手順が表示されることがほとんどですので、画面の指示に従って進めてください。
最後に実際にNFTマーケットプレイスで出品を行っていきます。
実際の商品画像から、名前、カテゴリー、受け取りたい通貨などを設定して完了です。
国内の大手NFTマーケットプレイス
(1)Coincheck NFT(β版)
Coincheck NFT(β版)はコインチェック株式会社が運営している、国内初の暗号資産交換業者が運営するマーケットプレイスです。ガス代と呼ばれるネットワーク手数料が不要な点が最大のメリットになります。またCoincheckアプリ(Android)からの利用も可能なため、利便性も高いマーケットプレイスです。
名称 | Coincheck NFT(β版) |
---|---|
対象 | アート、ゲーム、トレーディングカード、ファッション等 |
利用可能な暗号資産 | BTC, ETH, MONA, LSK, XRP, XEM, LTC, BCH, XLM,QTUM, BAT, IOST, ENJ, OMG, PLT, SAND, DOT |
手数料 | 販売手数料:10% 出庫手数料:0.01〜0.16ETH |
URL | https://nft.coincheck.com/ |
(2)SBINFT Market
SBINFT Marketはプラットフォーム事業を行っているSBINFT 株式会社が運営しているマーケットプレイスです。SBINFT 株式会社は、金融商品のサービスや情報提供を行っているSBIグループの1つです。
SBINFTでは、公認アーティスト制を採用しており、出品には審査が必要なのが特徴です。そのため質の高いNFTが多く存在します。また暗号資産の他にも日本円(クレジットカード)でもNFTの購入ができるのも特徴です。
名称 | SBINFT Market |
---|---|
対象 | アート、ゲーム、音楽等 |
利用可能な暗号資産 | ETH, MATIC |
手数料 | 販売手数料:10% |
URL | https://sbinft.market/ |
(3)Adam by GMO
Adam by GMOは、GMOグループのGMOアダム株式会社が運営しているNFTマーケットプレイスです。アート作品等のコンテンツを扱っており、クレジットカードや銀行振込によるNFTの購入が可能です。そのためNFTを取り扱う利便性が高いと言えます。
また購入したNFTは二次流通することも可能で、クリエイターに一部のロイヤリティーが還元される仕組みになっています。
名称 | Adam by GMO |
---|---|
対象 | アート、イラスト、トレカ等 |
利用可能な暗号資産 | ETH |
手数料 | 販売手数料」:10% クレジットカード決済手数料:3% 振込手数料:300円(日本円取引) |
URL | https://adam.jp/ |
(4)楽天NFT
楽天NFTは、楽天グループが提供しているNFTマーケットプレイスです。楽天グループが運営しているため、楽天IDを持っていればすぐにNFTを利用することが可能です。
またMetaMaskを通じてETHによる決済が可能な他、日本円での決済や楽天ポイントでの決済も可能となっています。そのため楽天経済圏を活用している人は、活用しやすいNFTと言えます。
暗号資産などに縁がなかった場合でも、始めるのにハードルの低いNFTマーケットプレイスです。
名称 | 楽天NFT |
---|---|
対象 | スポーツ、アイドル、漫画・アニメ、ゲーム、アート等 |
利用可能な暗号資産 | ETH |
手数料 | 販売手数料:14% |
URL | https://nft.rakuten.co.jp/ |
海外の有名NFTマーケットプレイス
(1)OpenSea
OpenSeaは2017年から運営されているNFTマーケットプレイスです。取引量は世界最大級とされており、高額な商品からトレンドの商品まで幅広く抑えているのが特徴です。また出品者に審査などはなく、クリエイターは誰でも自由に出品することが可能です。そのためクリエイターとして活動を始めたばかりの人でも、すぐに出品ができるのがメリットになります。日本人でも村上隆氏の作品が出品されているため、認知度が高いNFTマーケットプレイスです。
名称 | OpenSea |
---|---|
対象 | アート、ゲーム、トレーディングカード、音楽等 |
利用可能な暗号資産 | ETH, MATIC, Klaytn |
手数料 | 出品手数料:約0.01ETH *日々の需要によって変動 販売手数料:2.5% |
URL | https://opensea.io/ |
(2)Rarible
Raribleは2020年からスタートしたNFTマーケットプレイスで、「RARI」と呼ばれている独自の通貨(ガバナンストークン)を発行しているのが特徴です。RARIを獲得することで、Rarible内で行われるコミュニティ投票に参加できるようになるなど、独自の要素を備えていることが人気を博しています。
名称 | Rarible |
---|---|
対象 | アート、ゲーム、音楽、フォトグラフ等 |
利用可能な暗号資産 | ETH |
手数料 | 販売手数料:2.5% |
URL | https://rarible.com/ |
(3)Foundation
Foundationは高額なNFTを取り扱っていることが特徴のマーケットプレイスです。Foundationの特徴は出品を行うクリエイターが招待制であるという点です。また承認にも事前審査が必要なため、誰でも気軽に出品ができるわけではありません。そのためクリエイターの質が担保されており、出品ができること自体がステータスにもなっています。
結果として高額なNFT商品として扱われることも多く、クリエイターにとってもメリットがあるマーケットプレイスです。
名称 | Foundation |
---|---|
対象 | デジタルアート |
利用可能な暗号資産 | ETH |
手数料 | 販売手数料:15% |
URL | https://foundation.app/ |
NFTの課題
NFTには当然ですが課題もあります。主な課題には以下の4点が挙げられます。
- 法整備の遅れ
- ハッキングリスクがある
- 価値の変動が大きい
- 消費電力が大きい
それぞれの課題について解説していきます。
(1)法整備の遅れ
NFTは急速に広がりを見せてきているため、対応する法整備が十分に追いついていないのが現状です。
例えば「所有権」や「著作権」の取り扱いがあげられます。所有権は物理的にあるものが対象であり、著作権は思想や感情を創作的に表現したものになりますが、NFT自体はブロックチェーン状に記録される「データ」にすぎず、基本的には著作権は発生しません。しかし、NFTに紐づいたデジタルコンテンツやデジタルアートは、著作物として著作権が発生する場合もあるため、その取り扱いの検討が必要です。
(2)ハッキングリスクがある
インターネットを活用するNFTではハッキングのリスクがあることも大きな課題です。NFTで活用しているブロックチェーン技術は、情報の破壊や改ざんは難しいとされていますが、実際には相当額の仮想通貨が盗まれているなどの事件が起きています。
例えばNFTゲーム「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」では、2022年3月に「Ronin Network」というブロックチェーンが外部からハッキングを受け、約6億2,500万ドル(約770億円)の被害に遭っています。
* 参考:約770億円のハッキング被害を補償──アクシー・インフィニティの運営会社
また暗号資産情報サイトの「Crypto Times」によれば、情報分析サイトComparitechのデータから、2020年4月から2022年8月にかけてのNFTの被害総額が現在価格換算で1,200億円以上であるとしています。
* 参考:2020~2022年のNFT盗難被害総額 = 1,200億円[調査レポート]
(3)価値の変動が大きい
NFTは価格の変動が大きいのも課題です。なぜならNFTは仮想通貨を基盤としている技術であるためです。仮想通貨は法定通貨と比較して、価格の変動が大きいことが知られています。仮想通貨の一つであるビットコイン(BTC)の価格が、乱高下しているニュースを見たことがある人は多いのではないでしょうか。
NFTも急激にある商品の値上がりが始まるなど、価値が急激に高騰する場合があります。そのため実際にNFTを購入する際には、現在の価値に見合ったものであるかを見極める必要があります。
(4)消費電力が大きい
NFTで取り扱う仮想通貨ETH(イーサリアム)は、取引の際に起こる消費電力が非常に大きく問題になっています。なぜならNFTを支えるETH(イーサリアム)の取引には、「PoW(Proof of Work)」と呼ばれる仕組みが利用されているからです。現状の環境では、この「PoW」を活用することで、大量の電力消費が行われ、環境負荷がかかっているとされています。
一説によるとETHでNFTが1度取引されると8.7メガワット時という電力が消費されており、この数値は英国の平均的な家庭の年間消費電力の2倍と推測されているのが現状です。
しかしイーサリアムが現在、エネルギー消費を抑えるシステムへ改修する動きもしており、消費量が減少する予測も出ています。こうした消費電力への懸念があるのも、NFTの課題と言えます。
* 参考:
ブロックチェーンによるエネルギーの大量消費を解消できるか:動き出したイーサリアムと「PoS」の潜在力
NFT盛況!多量の電力消費に学者たちはどう改善策を考える?
NFTに関するニュース[2022年12月更新]
(1)三菱UFJ銀行がNFT関連事業協業パートナーAnimoca Brands(アニモカ社)へ出資
三菱UFJ銀行は2022年8月に、NFT(非代替性トークン)関連事業で協業するAnimoca Brands(アニモカ社)へ2億2,500万米ドル(約308億円)の出資を実施したことを公表しました。
アニモカ社はNFTを活用したプラットフォーム構築サービスを提供している企業で、三菱UFJ銀行とは2022年3月からNFT市場の活性化および発展をさせるための協業を発表しています。
今後は次世代型インターネット概念である「Web3.0」の到来を見据え、NFTの環境を整備し、日本企業の競争力向上に発展していきたいとしています。
* 参考:
Animoca Brands 株式会社への出資について
Animoca Brands 株式会社との協業について
(2)三井住友銀行がNFTをはじめとするトークンビジネスにおける協業の検討をスタート
三井住友銀行は2022年7月、ブロックチェーン関連事業を行うHashPortグループと、NFTをはじめとするトークンビジネスにおける協業を開始する基本合意書に締結しています。
三井住友銀行でも「Web3.0」を推進に向けた環境整備へ向け、NFT領域におけるエコシステムの構築を目指しています。具体的にはHashPortグループと三井住友銀行のWeb3.0」に関する知見を組み合わせ、「トークンビジネスラボ」を設置。トークンビジネスを推進するための研究や実証実験を行なっていくとしています。
* 参考:「Web3.0」時代の到来に向けたNFTをはじめとするトークンビジネスにおける協業の検討について ~エコシステム構築に向けたトークンビジネスラボの設置~
(3)自民党がNFT戦略のホワイトペーパー第2弾の草案作成へ
自民党が2022年3月に発表していた「NFT(非代替性トークン)ホワイトペーパー」の第2弾の草案が年内にも取りまとめられる方針です。
「NFT(非代替性トークン)ホワイトペーパー」では、「Web3」を念頭に置いた「デジタル経済圏の新たなフロンティア」を定義しています。新たなフロンティアの育成のための鍵となるのが、NFTを含む暗号資産を活用した経済圏であり、国家戦略として定めるべきだと提言していました。この提言を受けた日本政府は、2022年6月に「Web3」の環境整備を本格化する方針を閣議決定しています。
第2弾では「暗号資産を巡る税制改革」などを中心に議論を深め、草案をまとめたうえで、政府に提言する計画だとしています。税制度の課題が払拭されれば、国内初のスタートアップ企業の設立や優秀な人材の海外流出に歯止めがかかると期待されています。
* 参考:
自民党がNFT戦略のホワイトペーパー第2弾の草案作成へ、年内にも
自民党Web3PT、NFTホワイトペーパー第2弾起草へ
NFTホワイトペーパー(案) Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略
まとめ
「NFTビジネス」の推進にあたり、政府が「Web3」に係る環境整備の強化へと動いております。
現在ではゲームやアートなど、限られた分野での活用になっていますが、今後は新たなビジネス展開が広がっていくことが予想されます。今後の動向に期待です。
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