本記事は、野呂エイシロウ氏の著書『副業は、自己PRがすべて。――「稼ぐ人」が実践する成功戦略』(プレジデント社)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネス,笑顔,契約
(画像=Jesse Bettencourt/peopleimages.com/stock.adobe.com)

「好かれる人」はスマート過ぎる自慢話をしない

もしかしたら、心根の優しい人にはなかなか伝わらないかもしれない話なのですが、「美し過ぎる話」や「スマート過ぎる成功談」というのは眉まゆ唾つばに感じてしまうし、嫌味に感じてしまうものです。

例えば、次のような話をブログやフェイスブックで見かけたら、みなさんはどう感じますか?

「今日、電車でおばあちゃんが立っているのに、誰も席を譲らないんです。ちょっとわたしの席からは遠かったけれど、『ここに座ってください!』といって席を譲りました。やっぱりいいことをするとすごく気持ちがいいです! わたしの仕事もたくさんの人に役立つことが目標です。日々の姿勢から役立つことをしていきたいですね!」

素晴らしいエピソードです。こういう話をして「素晴らしい!」「自分もそうありたい!」と共感してくれる読者は、とてもいい読者です。でも、そう思わない人もいるのが現実世界。要するに、いい人過ぎて「鼻につく」のです。「うさんくさいなあ」「自分に酔ってるの?」「これ本当の話?」と斜に構えて読む人もいるでしょう。

こういう話をどう感じるかは、その人のキャラクターによります。自己PRによって、「めちゃくちゃいい人」であることがすっかり浸透している人や、心のきれいさがライブや歌詞で裏付けられているアーティストだったら、こんなブログを書いても疑われないかもしれません。

でも、まだまだセルフブランディングできていない状態の人がこんな話を書いたら、「好かれたくて噓を書いてるんじゃないの?」と疑われてしまうこともあるわけです。そんな感想を持たれる原因は、エピソードを信用する根拠がなく、リアリティが感じられないからです。

「失敗」や「コンプレックス」に通じる話ですが、自分の「弱い部分を見せる」ことがリアリティや親近感につながります。

先の文章がこう変わったら、どんな印象を受けますか?

「今日、電車でおばあちゃんが立っていたんです。こういうとき、席を譲るのって勇気がいりますよね。しかも、わたしの席から微妙に距離が遠い……。でも、あきらめたら自己嫌悪に陥りそう。『ごちゃごちゃ考えるのはやめだ!』と、思いきって声をあげました。声が大き過ぎた気もしますが、すごくよろこんでもらえました。『挑戦するよろこび』ってこういうことなのかなと、自分自身が役に立てることを少しだけ感じ取れた1日でした」

だいぶ印象が変わるのではないでしょうか? 「いいことなのに葛藤する」「恥ずかしくて勇気が出ない」という、自分の弱みを晒すことで共感できる部分があると思うのです。自分と同じ葛藤を持つ人の成功談となり、素直に「いい人だな」ととらえることができます。

この心理は、仕事上の成功談でも、高い買い物をしたときでも、あらゆる「自慢話」になりかねない話題に触れる際に意識しておくといいと思います。

以前、ある売れっ子モデルさんがSNSで高級ブランドの靴を買った話を投稿していたのですが、やはりこうしたポイントを押さえた表現をしていました。

「ずっとほしかったこの靴、どうしようか迷った挙句……思いきって分割払いで買っちゃいました。しばらく節約生活に入ります……(泣)」

売れっ子のモデルさんですから、20万円するような靴でも一括で買えないわけがありません。海外セレブであれば、「この靴はわたしにこそふさわしい」くらいいっても嫌味なくキマると思いますが、親近感を大切にする日本人では、それが高慢こうまんさや金持ちの浪費といったネガティブな印象に映ります。

そのため彼女は、「高級品にためらう自分」を表現して親近感を保ちつつ、ファッションやトレンドへの感度を表現しているのです。

ブログでは、副業で実際に行った仕事や実績をどんどん報告していくべきだと思いますが、成功体験ばかりが書かれていると自慢話に映ってしまいます。

そこで、「なんでもできてしまうスーパーマン、スーパーウーマン」ではなく、成功するために「徹夜でプレゼンの準備をした」とか、「予測もしないトラブルに正直、戸惑った」など、葛藤や努力、困惑なども描き、読者と同じ人間であることを表現すると読者はあなたのことをますます好きになってくれるはずです。

副業は、自己PRがすべて。――「稼ぐ人」が実践する成功戦略
野呂エイシロウ
1967年、愛知県に生まれる。愛知工業大学在籍中に、学生起業家として活躍後、雑誌編集者に。
『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家としての活動を開始し、『ザ! 鉄腕! DASH!!』『特命リサーチ200X』『奇跡体験! アンビリバボー』『ズームイン!!SUPER』といった数々の人気番組を手掛ける。
30歳のとき、大手広告代理店に誘われたのがきっかけで戦略的PRコンサルタントヘ転身。TV番組をヒットさせるノウハウを企業PRに生かすなど独自の手腕を発揮。
これまでに、大手広告代理店をはじめ、150社以上と契約。自動車会社、家電メーカー、飲食チェーン店、飲料メーカー、学習塾、金融など、分野は多岐にわたる。
著書に、『考えなくてもうまくいく人の習慣』(ワニブックス)、『入社1年目から差がついていた! 行動が早い人の仕事と生活の習慣』(すばる舎)、『「話のおもしろい人」の法則』『心をつかむ話し方 無敵の法則』『先延ばしと挫折をなくす計画術 無敵の法則』(すべてアスコム)、『プレスリリースはラブレター テレビを完全攻略する戦略的PR術』(万来舎)などがある。

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