「脱・明るすぎる照明」で雰囲気演出も
オフィスの照明にかかる電気代も節約できる。電気代が安く、寿命も長いLED電球の導入は真っ先に取り組む方法だが、その先をいく節約術を紹介しよう。
近年、オフィスの照明が明るすぎると感じる傾向が強まっている。明るすぎる照明によって、目の疲れや頭痛など体調不良につながることもある。そこで、工夫して照度を落とす企業も増えてきている。
流行しつつあるタスク・アンビエント照明方式
最も代表的なのが、「タスク・アンビエント照明方式」だ。「タスク」は作業、「アンビエント」は周囲という意味である。
室内をほぼ均一の明るさで照らす「全般照明方式」を採用する企業が多いが、これとは異なり、部屋全体を照らすアンビエント照明に加えて、従業員の各デスクにタスク用の照明器具を設置する。天井にあるアンビエント照明を間引いて明るさを抑える一方で、従業員はそれぞれ自席の照明で明るさを調整する。
このタスク・アンビエント照明方式なら、離席者のタスク照明は消されるうえ、狭い範囲だけが明るく照らされることになり、全般照明方式に比べて消費エネルギーを大幅に低減できる。個人によって明るさを自由に変えられるので、仕事の効率や知的生産性がアップすると考えられている。
カフェ風のイメージで
天井の照明を間引いたり、明るさを落としたりしたうえで、従業員に暗くなったと感じさせない工夫が、オフィスをカフェにあるような落ち着いた雰囲気の壁紙に変えてしまうことだ。最近は、照明を落としておしゃれ感を演出しているカフェでの仕事がはかどる人も多い。同じような雰囲気のオフィスにし、従業員のモチベーションアップとコスト削減を両立させる一案だ。
クラウドソーシング活用で「脱固定費」
クラウドソーシングは、インターネットを通じて、さまざまな人材(クラウドワーカー)に直接、仕事を依頼できる仕組みだ。インターネットにつながる環境さえあれば、すぐにでも活用できる。
人件費の流動化で固定費を削減
クラウドソーシング活用によって、業務の多寡に合わせて柔軟に人材を確保できるようになり、固定人件費を流動化できる。一般社団法人「日本テレワーク協会」が公表しているクラウドソーシング活用事例には、以下のようにコスト削減に成功した中小企業の事例が紹介されている。
(1)不定期に発生する大量制作案件をクラウドソーシングへの発注に移行した。成果物の品質を確認しながら、1年間で業務を完全にクラウドソーシングに切り替えた。その結果、設備費、人件費など4割近くのコスト削減につながった。
(2)自社ECサイトの出品作業をクラウドソーシングに発注した。作業の分担化で大幅に社内の作業時間を短縮し、コスト削減につなぐことができた。それによって空いた時間を、事業の新規開発などノウハウとなる業務に有効活用した。
多様なニーズに対応が可能
単にコストを削減できるだけでなく、多様なスキルやノウハウを持ったクラウドワーカーに発注することで、自社にない経営資源を補完したり、質の高い成果物を期待できたりといったメリットもある。短期的な業務の依頼から、長期的に取り組む経営課題まで、ニーズに合わせて発注できるのがクラウドソーシングのメリットだ。
品質を管理するためのマネジメントが必要になるほか、社内にノウハウが蓄積されない、クラウドワーカーとのコミュニケーションが難しいことがあるといったデメリットもあるが、喫緊の課題を解決する策として、一考の価値はある。