正社員でIFA (独立系フィナンシャルアドバイザー)を揃えるIFA法人の適正規模とは? 大きすぎると大手金融機関との差別化が図れなくなるだろう。そもそも、独立系の資産運用アドバイザーとして存在する意味がない。株式会社バリューアドバイザーズの代表取締役 五十嵐修平氏は「100人程度が適正なのでは」と話す。
バリューアドバイザーズ流アクティブファンドの選び方
―― 「相続した資産をどうする? 50〜60代の運用アドバイスに強み ーー 株式会社バリューアドバイザーズ代表 五十嵐修平氏(前編)」で、御社ではアクティブファンドを中心にご提案されているとお伺いしましたが、読者に向けてアクティブファンドを選ぶコツなどを教えていただけないでしょうか。
最近は若い方を中心に「インデックス神話」のようなものがあると思っていますが、大前提として理解していただきたいのは、インデックスファンドもアクティブファンドも下がるときは下がるということです。「インデックスファンドなら安心」と考えている方が多いのかもしれませんが、どちらもリスクがある商品だと理解しておきましょう。
アクティブファンドを選ぶ際は、短期間の運用成績ばかりを参考にせず、長期間の運用成績を参考にすることが大切です。短期的に運用成績が伸びているファンドはその時のテーマに左右されやすい傾向があるため、数カ月から1年間といった短期視点ではなく、5年間くらいの長期視点で見て、インデックスファンドに勝っているようなファンドを選びましょう。モーニングスターなどのツールを利用して、運用実績順に並べてみるのもよいかもしれませんね。
あとは純資産総額が比較的多いファンドを選ぶことも大切です。純資産総額が30億円未満といった小さいファンドは償還になってしまうリスクがあります。
―― 債券ですとどのような銘柄が人気でしょうか? また、五十嵐さんとしては現在の債券市場をどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
債券ですと、普通社債、劣後債問わず、米ドル建ての金融系の銘柄をお持ちいただくことが多いですね。債券市場については、現在の金利水準であれば、しばらく保有していてもよいと思います。円高に振れるリスクはありますが、外貨建て保険に加入しているような方はすでに為替リスクを取っていますし、多少円高に振れても長期でみれば利息でカバーできると思っています。
IFA法人を経営してわかった「フルコミッション制」の功罪
―― 個人投資家の中には、これまでのように証券会社や銀行だけに資産運用のアドバイスを求めるのではなく、さまざまな独立系フィナンシャル・アドバイザー(IFA)への相談も視野に入れて、自分に合った資産アドバイザーを探していく流れが出てきていると思います。御社の場合、「ここは他社に負けない」「ここは自信がある」といったことはありますか?
お客様との付き合いが「密」という点は他社に負けないところですね。最近のエピソードですと、お客様がいらっしゃる屋久島に社員旅行で行きました。私の本を読んで当社のお客様になってくださった方で、その方に屋久島を案内していただいたり、一緒にランチをしたりしました。ここまでお客様との関係性を大事にしている会社は少ないと思いますね。
当社では「安心と豊かさをお届けするパートナー」をスローガンに掲げ、お金の不安や誰に相談したらよいのか分からないという不安を解消し、経済的/時間的な豊かさをご提供することを目標にしています。「お客様想い」という点では他社に負けない自信がありますね。
また当社は年に2回「運用報告会」といった形でお客様と会う機会を設けていますし、お客様全体をサポートするメルマガやLINEの体制も整えています。
―― 業務委託契約でアドバイザーを多数雇うIFAもありますが、全員が正社員というのは何かこだわりがあるのでしょうか?
元々当社はフルコミッション制で営業しており、アドバイザー数や店舗数を増やしていました。フルコミッション制のIFAが売上の半分以上を上げていたこともありますね。しかしアドバイザーのなかには短期的な回転売買を行う人も多く、お客様本位の営業ができていませんでした。証券会社の体制に疑問を感じて退職したにもかかわらず「これではあまり変わらないな」という気持ちがありましたね。
IFA業界では「歩合合戦」のようなものも起きていましたから、所属IFAのなかには「他社が〇〇%だから、うちも〇〇%まで上げて欲しい」といった声が上がることもありました。歩合を上げても短期的な回転売買をさらに助長する懸念がありましたし、歩合合戦に参戦すると、所属IFAがいなくなれば預かり資産も減ってしまうという悪循環もありました。それだと会社には何も残らないのではないかと思い、方針を変えるべきか悩んでいました。
そのようななか、とある研修を受けたことがきっかけで考え方が変わり、2019年から正社員型でいこうと決めました。体制を変えてからは預かり資産が大きく伸びましたね。将来の目標から逆算して資産運用を行う「ゴールベース運用」でのご提案を心掛けるようになったことも功を奏したのだと思います。当社のお客様は資産の7~8割を預けていただいている方も多く、信頼を得られているものと自負しております。
IFAの適正な規模とは? 個人か法人か、法人なら何人程度?
―― 創業時と比べて、IFA業界の認知度が向上した実感はありますか。
2013年に創業して今年で10期目となりますが、創業当初と比べてIFAへの認知度は圧倒的に高くなったと思います。当社としても色々なメディアに出演させていただくようになり、信頼度が増してきたという実感もありますね。創業当初よりも営業活動がやりやすくなりました。ただ、最近は地方にお住いのお客様と商談するケースも増えていますが、地方ではまだIFAを知らないという方が多い印象です。
IFA業者はかなり増えていますが、IFA同士で商談バッティングをすることは少ないですね。当社の場合、主な競合先は証券会社や銀行といった金融機関が多いですが、そもそもまったく投資を行っていなかったというお客さまもいらっしゃいます。
―― IFA業界の展望や未来についてどのように考えていますでしょうか。
今後、IFAはさらに増えていくと思いますし、業界としても拡大していくとは思っていますが、私は少し消極的な視点で見ています。IFAへの注目度が高まり、メディアなどで取り上げられることも増えてきましたが、必ずしもよい話ばかりではありません。
なかには仕組債のようなハイリスク商品で損失が拡大し、顧客離れにつながったというケースもありますよね。ビジネス系メディアの記者さんと話す機会もあるのですが、以前のようにIFAを肯定する雰囲気ではなくなった印象があります。
世の中の流れとしては、個人の資産形成について助言できる専門資格を新設するといった話もありますし、お客様がそちらに流れていく可能性も否定できません。IFAとしては、長期視点でライフプランに合わせたご提案をする必要があると思いますね。
―― IFAを個人で行う、あるいは組織として行う場合、それぞれどのようなメリットがあると考えていますか?
IFAとしては、お客様1人ひとりに寄り添い、次の世代までサポートしていくのが本来の在り方だと私は思っています。しかし、残念ながら、そのように考えているIFAは少ないと思います。
個人であれば、前職でお付き合いのあったお客様と継続してお付き合いをしていくことで短期的には稼げるかもしれませんが、そのお付き合いが長期的に続くかどうかは分かりません。そもそも個人の場合、「その人(IFA)に万が一のことがあったら担当するお客様はどうなるの?」と私は思いますね。当社の場合はお客様にご提案する内容を会社として統一しており、業務日誌も共有しています。どのアドバイザーになっても同じ提案を受けられるようにしているので、長期的にサポートできる体制が整っています。「早く行きたければ1人で進め、遠くへ行きたければみんなで進め」ということわざがありますが、まさにその通りだと思いますね。
―― IFAとして「顧客と長く寄り添う」ことを大切にするには、組織の規模が大きすぎないほうがよいのでしょうか?
それは難しい質問ですね。確かに組織の規模が大きくなってしまうと、収益を求めてお客様本位のご提案ができなくなる可能性もありますよね。そういった点ではある程度「少数精鋭」のような形のほうがよいのかもしれません。
最適解がどのくらいの規模なのかは分かりませんが、私自身は何千人、何万人といった大きな組織にすることは考えておらず、多くても100名くらいの人数で、より多くのお客様をカバーできる仕組みを考えています。
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