建設業はどこをカットできる? 業態別のコスト削減法

建設業でカットできるコストは、事業内容や業態によって異なる。以下では3つの業態に分けて、優先的に削減したいコストを解説しよう。

土木工事・公共工事──下請けからの脱却で営業利益率10%超を目指す

土木工事や公共工事を中心に引き受けている企業は、下請け体質からの脱却を目指したい。エンドクライアントとの間に大手ゼネコンなどが存在していると、営業利益率10%を超えるハードルが非常に高くなるためだ。

具体的な施策としては、ホームページやSNSを活用したローカル的な集客が挙げられる。建設業では、「東京 建設会社」のように地名で検索されるケースが多いため、その点を意識しながら情報発信をしていきたい。

また、土木工事・公共工事では、賠償責任保険の見直しもコスト削減につながる。物損事故や第三者にケガを負わせるリスクがあるため、保険の見直しには不安を感じるかもしれないが、ほぼ同じ保障内容でコストが安くなるケースは意外とある。

技術基準や設計方法など基本的な部分も改善しながら、上記の2つを中心にビジネスモデルを見直していこう。

住宅建設業──品質を維持しながら材料費を徹底して見直す

住宅建設業では、製品や部材の見直しが効果的になる。分かりやすい例としては、フローリング材やサッシ、ユニットバスの原価低減が挙げられるだろう。

住宅建設ではさまざまな製品・部材を使うため、これらを見直すだけで大きなコスト削減につながる。品番やメーカーを指定されていたとしても、交渉をすれば自由に仕入先を選べるかもしれない。

また、材料費を抑える方法としては、中間業者を省くことも有効だ。製造元から直接仕入れることができれば、余計な流通コストを抑えられるだけではなく、適切な発注ロットを設定しやすくなる。

ただし、材料費の削減に力を入れ過ぎると、品質低下を招くケースも見受けられる。顧客が減る対策は本末転倒であるため、品質維持やサービス向上を前提とした計画を考えよう。

不動産開発業──積極的なDX化・IT化で業務のムダをなくす

不動産開発のような大規模な事業では、デジタル技術の導入による省人化・業務効率化に取り組みたい。多くの労働力が必要だからこそ、身近な業務をDX化・IT化するだけで大きなコストカットを実現できる。

費用面に不安を感じるかもしれないが、工夫次第では少ないコストで大きな効果を得ることも可能だ。

○不動産業界のDX化やIT化の例
・SNSで有益な情報発信やお得なキャンペーンを行い、効率的に宣伝をする
・契約手続きの電子化ツールを導入し、形式的な業務コストを削減する
・情報やスケジュールの共有ツールを導入し、人材の再配置で業務のムダを削る

DX化やIT化を進める上では、リースまたはレンタルも選択肢になる。最終的な導入コストは増えるが、他社から設備・システムを借りる形であれば、中小企業がつまずきやすい初期費用を大きく抑えられる。