実は外注化もコスト削減に! 外注したい項目と税金の仕組み
さまざまなコストを削減するために、自社だけでこなす業務を増やしている企業も多いだろう。余計な支出を減らす努力は重要だが、建設業では外注がコスト削減に役立つことをご存じだろうか。
<建設業で外注できるもの>
・経理や会計などのデスクワーク
・設備やシステム、部品などの製造
・仮設工事(足場の組立や解体など)
・本設工事
・現場の警備
例えば、デスクワークや警備など付随的な作業を外注すると、コア事業に注力しやすくなる。つまり、人件費の削減と売上アップを同時に達成できる可能性があるため、外注はうまく活用することが重要だ。
また、建設業には「一人親方」と呼ばれる個人事業主が多いため、工事にあたる人材の外注化も考えたい。従業員に支払う給与を外注費に置き換えると、以下のコストを削減できる。
○人材の外注化によって削減できるコスト
社会保険料:従業員との折半分。通常は給与の約15%が会社負担分となる。
消費税:課税事業者への外注で、10%の仕入税額控除が適用される。
ただし、外注費はキャッシュフローを圧迫することもあるので、外注化するものは財務のバランスを見ながら都度判断しよう。
個人事業主への外注ではインボイス制度に注意!
2023年10月1日から、日本では「インボイス制度」が新たに施行される。この制度が始まると、免税事業者は仕入税額控除に必要なインボイス(適格請求書)を発行できなくなるため、外注が多い建設業者は大きなダメージを受ける恐れがある。
例えば、仮設工事を依頼した一人親方が免税事業者にあたる場合は、インボイスを請求しても発行してもらえないため、仕入税額控除の適用は受けられない。つまり、外注する度に「外注費×10%」のコストが積み重なってしまう。
長期で見ると大きな負担となるため、個人事業主に外注する場合は「課税事業者であること」を必ず確認したい。
建設業で削減できる固定費・変動費は?優先してカットしたいコストの一覧
事業内容や業態に関わらず、建設業では優先してカットすべきコストが多く存在する。以下では、固定費と変動費に分けて一覧を作成したため、一つずつチェックしながら削減すべきコストを見極めていこう。
優先的に削減努力をしたいのは、修繕維持費や通信費などの固定費だ。固定費は売上に関係なく発生するコストなので、一度削減をすればその効果が継続する。
変動費の中では、電気代の削減に取り組みたい。特にモデルルームを運営している場合は、電力会社や契約プランを見直すだけで大きなコストカットを実現できる。
コスト削減には多くの方法があるため、小さな労力で効果が大きいものを選ぶことが重要だ。各コストを削減した場合の「労力対効果」を比較し、高いものから優先的に取り組むようにしよう。