具体的なコスト削減方法
具体的にコスト削減に努める方法を見ていこう。すでに自社で実施していることもあるかもしれないが、まだ取り組めていないものがあればぜひ参考にして欲しい。
家賃
店舗の家賃は、売上にかかわらず毎月発生する固定費だ。立地や広さなどによっても相場は異なるが、金額的にも販管費に占める割合が特に大きく、高すぎる場合は経営を圧迫してしまう。家賃を抑えるために、まず取り組みたいのが減額交渉だ。コロナ禍で廃業を余儀なくされる飲食業者が増えているなか、家賃を理由に退去されることを避けたい貸主もいるはずだ。
そのため長期入居の意志を示しながら丁寧に交渉を試してみよう。自分で交渉するのが難しい場合は、家賃交渉を代行してくれる会社の利用を検討するのも選択肢の一つ。例えば不動産鑑定士などが相場を見定め交渉してくれる。店舗を移転しても構わなければ、テナントが空き始めているこの時期をチャンスと捉えて引っ越すのも一つの手だ。
今より安い家賃というだけでなく、しっかりとした立地選定を行うと良い。
水道光熱費
飲食店では、水道や電気、ガスの使用量が多くなりやすい。節水・節電・節ガスの心がけは大切だが、店舗規模や営業時間などを考慮しながら適する契約プランに見直すのが効率的だ。また冷蔵庫や冷凍庫、エアコンなどの設備が古い場合には、電源効率の良い新しい設備に変えるだけでも電気代の節約につながる。
設備投資は大きな支出を伴う。しかし店舗では、一般的に客の入りが少なくても空調設備を回転させる必要性を意識すると費用対効果も検討できるはずだ。水道料金は、自治体に減免制度がないか確認してみよう。例えば東京都では、パン製造小売業や日本そば・中華そば店、民生食堂・大衆食堂などいくつかの飲食事業者が申請できる下水道料金の減免制度を設けている。
各自治体では、それぞれに申請条件を設けているため自治体に確認してほしい。
仕入れ費
近年は、原材料費が上がっているが、飲食代金への転嫁や質の低下は客離れのリスクを伴うため、最後の手段に留めたい。まずは、質を落とすことなく仕入れ費を抑えることに注力するべきだろう。仕入れ費を削減するには、いくつかの方法がある。例えば複数の仕入れ業者で見積もりを取ることで、より条件の良い業者から仕入れることができる。
ただし相見積もりを嫌う業者もいるため、注意したい。仕入れの量によっては、自ら足を運んで買うと配送費を節約できる。インターネットで価格調査をしながら交渉できる商材をあぶり出し、業者にその金額よりも安くしてもらえないか交渉してみるのも良いだろう。そのほかメニュー数を絞るのも有効だ。ロス削減にもつながる。
メニュー内容を変更するなら季節限定メニューを作り、季節物の安い食材を仕入れるのもおすすめだ。
人件費
店舗の運営を円滑に進めたり、良いサービスを提供したりするには、スタッフの存在は大切だ。しかし顧客の入り状況に対してスタッフの数が多すぎるようだと無駄な人件費を払っていることになる。この場合、曜日や時間ごとの売上傾向を把握し、適切なシフトに組み直すことを考えよう。
また一部作業をアウトソーシングしたり、キャッシュレス決済を導入したりすることでスタッフの業務負担を減らす方法もある。働きに合わせた給与見直しが行いやすくなるため、人件費削減につなげることが期待できるだろう。キャッシュレス決済のデータは、売上傾向分析にも活用できるため、シフト組みや効果的な仕入れにも役立つ。
リース費ほか
調理器具や冷蔵冷凍庫、食洗器、店舗什器などのリースを利用している飲食事業者も多いだろう。リースは、購入時にまとまった資金が不要な点が大きなメリット。しかしリース費として毎月確実に支払いが発生するため、削減できれば売上高営業利益率を改善しやすくなる。例えばマットレス交換の期間の延長や調理器具などのリース契約を見直してみよう。
助成金を使ってこれまでリースしていた器具や什器を購入するのも良い。ほかにも有線契約を解約したりゴミ処理やクリーニングを自身で行ったりして費用を削減することも検討したい。