3.TOBを実施する理由
2022年のTOB買付目的は、完全子会社化が同8ポイント増の39%、連結子会社化・関連会社化が同7ポイント増の17%、MBOが同7ポイント減の20%、MBOを除く非公開化が4ポイント増の17%だった。
完全子会社化や連結子会社化・関連会社化のTOBは経営資源の最適配分やシナジー効果といった経営効率化のほか、子会社への出資比率を引き上げることで親会社の連結利益を引き上げる狙いがある。
一方、MBOやMBOを除く非公開化は経営における意思決定の迅速化に加えて、上場コストやガバナンス上の煩雑さや敵対的TOBを避けるなどの目的がある。
◆2022年に実施されたTOBの買付目的
4.TOBプレミアム
2022年第4四半期の総(買収)プレミアム平均(公表日前3カ月平均株価、以下同)は同12.59ポイント増の55.18%と、5年連続の増加。一方、ディスカウントを除いたポジティブプレミアム平均は同16.53ポイント増の64.39%と、3年連続で増加している。
同四半期で最もプレミアムが高かったのは、11月9日に米カーライル・グループが発表した東京特殊電線に対するTOBの155.65%。次いで11月10日に同グループが発表したユーザベースに対するTOBの114.9%、ノジマが12月23日に発表したコネクシオに対するTOBの62.92%の順。ディスカウントはセンコーグループホールディングスが11月15日に発表した中央化学に対するTOBの▲-36.89%だけだった。
2022年通期では総プレミアム平均が同5.98ポイント増の43.02%で2年ぶりの増加、ポジティブプレミアム平均が同1.20ポイント増の47.63%で5年連続の増加となった。同年で最もプレミアムが高かったのは、カーライル・グループが11月9日に発表した東京特殊電線に対するTOBの155.65%。
次いでマーキュリアホールディングスが5月23日に発表したミューチュアルに対するTOBの154.96%、11月10日にカーライル・グループが発表したユーザベースに対するTOBの114.9%の順。トップ3中2件がカーライル・グループで、第4四半期に集中した。
プレミアムの水準は高プレミアムになるほど増える単純比例型という珍しい分布となっている。最も多かったのは50%超で全体の3分の1以上を占めた。次いで40〜50%、30〜40%の順。2022年は高プレミアムのTOBが多かった1年だったと言える。
1◆TOBプレミアムの水準
【集計範囲と対象】
集計年度は毎年1月1日から12月31日を期間としている。基準日は公表日前日である。ただし自社株TOBは対象外とする。
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データ・文:M&A Online編集部