本記事は、豊嶋智明氏の著書『「働かないおじさん」を活かす適材適所の法則』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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「働かないおじさん予備軍」の3つの特徴

私は、これまで2,000社以上のクライアント企業の相談を受けてきましたが、まだ「働かないおじさん」には到達していないものの、もう少し時間が経つと「働かないおじさん」になる人たちを自分の目で見てきました。

そのような「働かないおじさん予備軍」には、3つの特徴があります。

まず、1つ目は「ダメ上司をもつ部下」です。この場合、やがて「働かないおじさん」になる可能性が非常に高く、危険信号だと思ってください。実際、過去にコンサルしたある会社で、上司の意見や方針に納得できずに否定ばかりしている部下のAさんがいました。Aさんは、ダメ上司の間違った評価基準により、正しく能力を評価してもらえませんでした。その結果、2年間もAさんにとって全くやりがいのない仕事を担当することになったのです。しかし、Aさんはダメ上司が会社を辞めた途端、本来の能力を発揮して、出世していきました。現在では、Aさんは経営企画室の役職という、会社の中核を担う人財になっています。

2つ目は「年功序列の組織」です。年功序列のデメリットは、優秀な人財が会社を離れやすいことだと言えるでしょう。つまり、大きな成果を出していなくても高い給料をもらっている上司や年配社員を見ると、能力の高い部下はモチベーションが下がります。次第に、自分がいくら努力しても、働かない上司の手柄になってしまう現実に嫌気が指してきます。優秀な部下は、やがて手抜きすることを覚えるのです。そして、「あと数年我慢すれば、上司のように楽なポジションに出世できる」と間違った意欲を持ちます。別の言い方をすると、ポジションに固執する、「しがみつき社員」に退化してしまいます。社内のボードに「直帰」と書いて外出してカフェで仕事をしているフリをしたり、社用車で居眠りをするなど、このような行動が多くなると、イエローカードです。

3つ目は「終身雇用の会社」の社員です。同族会社や家族経営では、社長の身内しか出世できない組織もたくさん存在します。つまり、社長の親族にゴマをすり、お伺いを立てる「イエスマン上司」ばかりになる組織です。その結果、部下にとっては、理不尽な指示を受けることも多くなります。また、同族会社では、家庭内の兄弟や親子のケンカが社内で頻発します。そうすると、社員はウンザリしてしまい、仕事の意義がわからなくなり、モチベーションが下がってしまいます。このような組織では、「働かないおじさん」が量産されてしまうのは、無理もありません。

以上、代表的な「働かないおじさん予備軍」の3つの特徴を紹介してきました。あなたの会社で、3つの特徴に当てはまる社員はいませんか? もし1つでも当てはまるようなら、「働かないおじさん」が増える可能性が高いと考えて、早急に手を打つのが得策でしょう。

「働かないおじさん」を活かす適材適所の法則
豊嶋智明
1954年東京生まれ。株式会社World One 取締役 能力開発事業部。
人財活性のコンサルティングと研修、企業における能力開発サポートを行い、35年超のコンサル業で企業2,000社以上、延べ10万人を超える実績を持つ。組織の人間関係を円滑に図る方法や、適材適所の人事構築などに定評がある。経営者から従業員に至るまで、その人の個性を活かして成果を生み出すための、具体的な戦略・戦術を伝えている。

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