本記事は、豊嶋智明氏の著書『「働かないおじさん」を活かす適材適所の法則』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

シニア男性
(画像=Kanazawa photo base/stock.adobe.com)

あなたの周りにも「働かないおじさん」はいませんか?

「働かないおじさん」と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべますか?

社内のA部長、B課長、C後輩……頭に思い浮かぶのは、1人や2人ではないかもしれません。きっとそれは、こんな人たちではないでしょうか。


  • 一見、パソコンで仕事をしているようで、実際には眺めているだけの上司
  • 仕事を頼むと、それほど仕事がないのに「なんで俺が?」と忙しいアピールをする同僚
  • 午後に電話がかかってくると、営業や打ち合わせを装って、カフェで時間を潰して直帰する上司
  • 朝早く来てデスクで新聞を読むだけのおじさん管理職
  • 業界誌をよく読んで知識はあるが、全く一般的な知識がない人
  • プライベートを詮索したがり、雑談の多い女性社員
  • 単純なパソコン操作や資料のコピーさえできず、エクセルやワードの入力を毎回部下に押し付ける年配の超アナログ上司
  • 自分やチームの成果が出せないと言い訳し、会社や上席への批判ばかり言うグチ社員
  • 言っている事とやっている事が違う、口だけの先輩社員
  • 腕を組んで考え込んでいるように演技する役職が高いだけの仕事のしない上司
なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?
(画像=なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?)

いかがでしょうか? きっと、あなたの会社にもこのような言動をする「働かないおじさん」が存在していると思います。「うんうん、自分の会社にもいる」と共感して頂けたかもしれません。

ただ、1つ注意点としてお伝えしたいことがあります。「働かないおじさん」とは、あくまで働かない社員の象徴としてわかりやすいので、使用しているということです。つまり、中年の男性だけを指すわけではありません。もちろん、働かない女性社員もいますし、20代から30代の若い世代でも働かない若手社員もいるでしょう。

つまり「働いているフリをする」「自分のことは棚にあげ、他人や会社への言い訳が多い」「威厳を保とうと必死」「仕事への意欲が感じられない」…このような人たちを総称して、「働かないおじさん」と呼びます。

一見すると、本人たちの個人的な問題のように見えますが、実は、個人だけの問題ではありません。しかし、残念なことに、多くの会社では、本人だけの問題ととらえ、諦めて放置している現状があります。「働かないおじさん」が生み出される根本原因を明らかにし、具体的な対策を示していきたいと思います。

「働かないおじさん」の5つの共通点とは?

私は、「働かないおじさん」には、次のような5つの共通点があると考えていますまず、1つ目のキーワードは「否定」です。「働かないおじさん」は、事あるごとに会社の方針や新しい事業、部署内、部下を否定する傾向があります。「そんなことを今更やってもムダだ」「会社は何もわかっていない」「やり方が良くない」など、否定的な発言をするのです。新しい取り組み、同僚の意見、会社の方針など、変化を受け入れることができません。

2つ目は「抵抗」です。「働かないおじさん」も、新しいスキルを身につけること、新しいシステムを理解する必要があることは、頭ではわかっています。しかし、これまで経験を積んで会社に貢献してきた自分自身のプライドが邪魔するのです。部下から教わったり、一緒に学んだりすることに、感情的に大きな抵抗があります。時代の変化に伴い、会社も変化すべきだということは理解していますが、自分自身を変えることを受け入れることができません。つまり、すべての変化に無意識に身体が抵抗してしまうのです。

3つ目は「依存」です。「働かないおじさん」は、否定や抵抗で新しい変化に対応できないと書きましたが、その割には定年退職まで会社に残ろうと必死です。「あと3年で退職金が出るから、何を言われても我慢しよう」と、心の中で思っています。たとえ、ネガティブな発言を言われても、会社にしがみつき、依存するのです。

4つ目は「見栄とプライド」です。つまり「これまで会社に貢献してきた」という自負が大きな見栄とプライドになり、新しいことを覚えたくても、今さら周りに質問ができません。その結果、新しい分野を切り開くことが出来なくなり、成長がストップしてしまうのです。

5つ目は「給料」です。いくら頑張っても給料が変わらないことが、若かりし頃の「働くお兄さん」のやる気を奪ったのです。逆に、頑張らなくてもある程度の給料がもらえたり、給料の天井が見えると、現状に甘えてしまいます。大企業ともなれば、部長や本部長になれる人も一握りです。その結果「今のポジションをいかに維持するか」にフォーカスし、守りの姿勢に入る傾向があります。

以上、「働かないおじさん」が生まれるメカニズムを、5つキーワードを使って紹介してきました。このような原因が複雑に合わさることで、働くモチベーションが下がり、いつの間にか「働かないおじさん」が“大量生産”されてしまうのです。

「働かないおじさん」を活かす適材適所の法則
豊嶋智明
1954年東京生まれ。株式会社World One 取締役 能力開発事業部。
人財活性のコンサルティングと研修、企業における能力開発サポートを行い、35年超のコンサル業で企業2,000社以上、延べ10万人を超える実績を持つ。組織の人間関係を円滑に図る方法や、適材適所の人事構築などに定評がある。経営者から従業員に至るまで、その人の個性を活かして成果を生み出すための、具体的な戦略・戦術を伝えている。

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