本記事は、上阪徹氏の著書『文章がすぐにうまく書ける技術』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=xyz+/stock.adobe.com)

ビジネス文章は、結論をとにかく早く

要するに何なのか、早く知りたい

第1回で、起承転結では結論が最後になってしまうから、ビジネスや仕事の文章には向かない、と書きましたが、これは私が採用広告の仕事で痛感したことでした。

当時掲載していたのは採用広告ばかりで1冊の情報誌が構成された紙の媒体でした。めくってもめくっても採用広告ですから、「読み手」はじっくりと1つ1つの広告など、見てくれないのです。

パッと見て、すぐに手を止めてもらえるかどうか。それができなければ、応募にはつながらないのです。「読み手」が一番知りたいことを最初に持ってくる。そうでなければ、絶対に読んでもらえなかったのです。

採用広告の場合は極端な例だと思いますが、ビジネスや仕事では、誰もが同じような考えで文章に接しているはずです。要するになんなのか、早く知りたいのです。

皆さんも文章を読むことになったら、そう思うはずです。

いったいこの文章は何が言いたいのか、いつまで経っても結論が出てこないのでは、イライラしてしまいます。

だから、最初に結論を書く。構文を意識する必要もありません。

私はいつも言うのですが、書くのもしゃべるのも、コミュニケーションのツールとしては同じ。もししゃべって伝えるなら、どんなふうに話すか。それは日常的に誰もがやっていることですから、同じことを書く上でもやればいいのです。

実際、私はそんなふうにして文章を書いています。起承転結のような構文を意識することはまずありません。

それよりも、常に意識してきたのは、一気通貫でした。書き出しから読み始めたら、ついつい最後まで一気に読んでしまう。そういう文章構成をこそ、強く意識してきました。

みんな忙しいのです。読んでいて途中で止まってしまうようなものは、最後まで読んではもらえない。私はいまもそう思っています。

最初に「タイトル」を考える

要するに何が言いたいのか、をイメージするとき、最初に「タイトル」を考えてしまうといいと思います。

この文章につけるとすれば、どんなタイトルなのか。

「目的」と「読み手」を意識して、考えてみる。

見出しでもキャッチフレーズでもいいのですが、その文章を象徴する内容を短く言い表した言葉です。

それが最初にできていると、「読み手」にも、そして書いている自分にも、「つまり、何が言いたいのか」がはっきり見えてきます。

タイトルを意識しながら書き進めていけば、ぶれることもなくなっていきます。

以上が「ステップ1」となります。

ここで大きくマインドチェンジしてほしいのは、「書けなくて当たり前」ということと、文章は「どう書くか」以上に「何を書くか」が重要だということです。

それこそ「何を書くか」が正しいものになっていれば、文章が荒削りでも、充分に通用すると私は思っています。そして何より、スラスラ書けるようになるのです。

メモする・選ぶ・並べ替える 文章がすぐにうまく書ける技術
上阪徹(うえさか・とおる)
ブックライター。1966年兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。雑誌や書籍、Webメディアなどで執筆やインタビューを手がける。著者に代わって本を書くブックライターとして、担当した書籍は100冊超。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。著書に『マインド・リセット』(三笠書房)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)など多数。またインタビュー集に、累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズ(徳間書店)などがある。ブックライターを育てる「上阪徹のブックライター塾」を主宰。

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