本記事は、上阪徹氏の著書『文章がすぐにうまく書ける技術』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
ビジネス文章は、結論をとにかく早く
要するに何なのか、早く知りたい
第1回で、起承転結では結論が最後になってしまうから、ビジネスや仕事の文章には向かない、と書きましたが、これは私が採用広告の仕事で痛感したことでした。
当時掲載していたのは採用広告ばかりで1冊の情報誌が構成された紙の媒体でした。めくってもめくっても採用広告ですから、「読み手」はじっくりと1つ1つの広告など、見てくれないのです。
パッと見て、すぐに手を止めてもらえるかどうか。それができなければ、応募にはつながらないのです。「読み手」が一番知りたいことを最初に持ってくる。そうでなければ、絶対に読んでもらえなかったのです。
採用広告の場合は極端な例だと思いますが、ビジネスや仕事では、誰もが同じような考えで文章に接しているはずです。要するになんなのか、早く知りたいのです。
皆さんも文章を読むことになったら、そう思うはずです。
いったいこの文章は何が言いたいのか、いつまで経っても結論が出てこないのでは、イライラしてしまいます。
だから、最初に結論を書く。構文を意識する必要もありません。
私はいつも言うのですが、書くのもしゃべるのも、コミュニケーションのツールとしては同じ。もししゃべって伝えるなら、どんなふうに話すか。それは日常的に誰もがやっていることですから、同じことを書く上でもやればいいのです。
実際、私はそんなふうにして文章を書いています。起承転結のような構文を意識することはまずありません。
それよりも、常に意識してきたのは、一気通貫でした。書き出しから読み始めたら、ついつい最後まで一気に読んでしまう。そういう文章構成をこそ、強く意識してきました。
みんな忙しいのです。読んでいて途中で止まってしまうようなものは、最後まで読んではもらえない。私はいまもそう思っています。
最初に「タイトル」を考える
要するに何が言いたいのか、をイメージするとき、最初に「タイトル」を考えてしまうといいと思います。
この文章につけるとすれば、どんなタイトルなのか。
「目的」と「読み手」を意識して、考えてみる。
見出しでもキャッチフレーズでもいいのですが、その文章を象徴する内容を短く言い表した言葉です。
それが最初にできていると、「読み手」にも、そして書いている自分にも、「つまり、何が言いたいのか」がはっきり見えてきます。
タイトルを意識しながら書き進めていけば、ぶれることもなくなっていきます。
以上が「ステップ1」となります。
ここで大きくマインドチェンジしてほしいのは、「書けなくて当たり前」ということと、文章は「どう書くか」以上に「何を書くか」が重要だということです。
それこそ「何を書くか」が正しいものになっていれば、文章が荒削りでも、充分に通用すると私は思っています。そして何より、スラスラ書けるようになるのです。