2023年度入りの4月に合わせ、社名を変更した上場企業は13社を数え、年明け1月の5社を大きく上回る。持ち株会社制への移行に伴う社名変更が6社とほぼ半数を占める一方で、持ち株会社制の廃止を理由とする企業も3社ある。業歴が1世紀に及ぶ「100年企業」も5社含まれる。さて、どんな顔ぶれなのだろうか?

社名からミシンを外し「PEGASUS」

社名変更した13社はいずれも4月1日付。このうち企業規模が最も大きいのがモーター大手の日本電産。今年創業50周年を迎えたのを機に、同社の製品ブランドである「ニデック」に社名を統一した。同社は1973年に社員4人で、現会長の永守重信氏が28歳の時に自宅納屋を改造し、モーター製造に乗り出した。今や売上高は2兆2000億円(2023年3月期予想)に達する。

工業用ミシン大手のペガサスミシン製造は国内外の縫製業界で浸透している「PEGASUS」ブランドに社名を統一した。自動車部品事業が経営の第二の柱に成長を遂げ、社名から初めてミシンを外す。同社は1914(大正3)年に美馬ミシン商会として創業したのが始まり。ペガサスはギリシャ神話に登場し、鳥の翼を持ち、空を飛ぶ馬とされ、同社のシンボルマークにもなっている。

菱電商事は昨年75周年の節目を迎えたのに伴い、ローマ字の「RYODEN」に改めた。商社という枠組みを超え、「事業創出会社」への変貌を遂げる決意を込めたという。同社は1947年に利興商会として発足。合併を経て1958年に菱電商事として再出発し、三菱電機系の技術商社として発展してきた。

M&A Online

(画像=RYODEN本社(東京・東池袋)、「M&A Online」より引用)

持ち株会社制、導入と廃止が交錯

持ち株会社化に伴い、「ホールディングス」や「グループ」を冠した社名への変更が相変わらず多い。チェンジ、月島機械、santec、東京通信、竹田印刷、西尾レントオールの6社に上った。グループ内の指令塔機能の明確化や、傘下の事業会社における意思決定の迅速化を通じて、経営の効率化やガバナンス強化などにつなげる狙いだ。

竹田印刷は来年創業100年を迎えるのに先立ち、持ち株会社「竹田iPホールディングス」を発足した。iはイノベーション(革新)、Pはパッション(情熱)の頭文字。小文字と大文字を組み合わせ、「異なる立場の者が共に新たな価値を創造する、コ・クリエーション(共創)の実現」を表現したという。

一方、三井E&Sホールディングス、キョーリン製薬ホールディングス、昭和電線ホールディングスの3社は社名からホールディングスを外した。理由は持ち株会社制の廃止。経営と事業運営の距離を縮め、戦略立案・実行スピードを加速させるのが目的だ。