同月に2件のTOBを実施

2022年6月には持ち分法適用関連会社の東洋刃物にTOBを実施し、完全子会社化すると発表した。当時、フェローテックは東洋刃物株の33.24%を保有。工業用刃物分野を強化し、主力の半導体装置関連、電子デバイスに続く中核事業に育てるのため子会社化に踏み切った。

買付価格は1株につき2254円で、TOB公表前日の終値1876円に20.15%のプレミアムを加えた。買付予定数は95万7331株。買付予定数の下限は所有割合33.43%にあたる47万9400株で、既保有分と合わせ3分の2を超える水準に設定した。買付代金は約21億5700万円。

東洋刃物は工業用刃物の専業最大手。1925(大正14)年に本多光太郎博士の提唱により、東北帝国大学附属金属材料研究所(現東北大学金属材料研究所)の研究成果の工業化を目的に設立。1961年に東証2部に上場(2022年4月に東証スタンダード市場へ移行)した。

さらに同月、TOBは続く。大泉製作所<6618>に対して子会社化を目的にTOBを実施すると発表した。第三者割当増資引き受けと合わせて、株式51%を取得。大泉製作所の東証グロース市場への上場は維持される。フェローテックは2021年3月、大泉製作所に28.76%を出資している。大泉製作所はTOBに賛同した。

買付価格は1株につき1300円で、TOB公表前日の終値1039円に25.12%のプレミアムを加えた。取得価額は総額27億6417万円(第三者割当増資引き受け8億円、TOB分が19億6417万円)。大泉製

大泉製作所は1939年に航空機の高性能電気接点の製造を目的とする日本接点研究所として創業。半導体セラミック技術、金属、プラスチック、ガラス技術の蓄積に基づき、各種温度センサーの開発・製造に強みを持つ。2012年に東証マザーズ市場に上場した(2022年4月に東証グロース市場へ移行)。


今後も積極的にM&Aを仕掛ける

2023年4月には傘下企業を通じて、半導体製造装置やFPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使われる真空装置を受託製造するコスモ・サイエンス(神奈川県平塚市)の全株式を取得し、子会社化した。

地政学的リスク分散などの観点から、生産拠点の「日本回帰」を進める中で、同社の買収により国内での生産能力や開発力の向上につなげる。取得価額は1000万円。

半導体などエレクトロニクス産業は技術革新が早く、常に技術を磨いていなければ生き残れないため、新たな技術や事業の拡大のためにはM&Aを有力な選択肢と捉えている。フェローテックが今後も積極的なM&Aを展開するのは確実だ。

フェローテックホールディングスのM&A年表

内 容
1999年 11月 Ferrofluidics CorporationをTOBで買収(2000年1月完全子会社化)
2001年 3月 石和通信(フェロコム)を買収
2002年 2月 テクノシリコンを買収
2005年 7月 ロシアのサーモモジュールメーカーSCTB NORDを買収
2010年 1月 英エドワーズ・バキューム社のテメスカル部門を買収
7月 Integrated Materials, Inc.(米国)を買収
2015年 7月 アドマップを買収
2016年 7月 朝日製作所を買収
2018年 7月 中国のLubi (Shanghai) International Trading Co., Ltd.を買収
2020年 9月 Hangzhou Semiconductor Wafer Co., Ltd.を持分法適用関連会社化
10月 ロシアの熱電マイクロモジュールメーカーRMT Ltd.を買収
12月 薄膜製造システムの米MeiVacを買収
2022年 6月 東洋刃物をTOBで買収
6月大泉製作所をTOBで子会社化
2023年4月真空装置受託製造のコスモ・サイエンスを子会社化

この記事は企業の有価証券報告書などの公開資料、また各種報道などをもとにまとめています。

文:M&A Online