賃貸と持ち家のどちらを選ぶべきか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
今回は、賃貸業界のアンケート結果、賃貸と持ち家のメリットとデメリット、生涯コストのシミュレーションなど、さまざまな観点から賃貸と持ち家を比較してみました。
賃貸派と購入派はどちらが多いかを比較
賃貸派と購入派はどちらが多いのでしょうか。
全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)が実施したアンケート*の結果では、持ち家派(購入派)が 77.9 %、賃貸派が22.1%と、持ち家派が圧倒的多数を占めていました。
世代別で見ると年代が上がるほど持ち家派が多くなる傾向にありますが、「モノの所有にこだわらない」といわれている20代でも持ち家派が67.9%を占めていました。
持ち家派(77.9%)の内訳を見ると、以下のように一戸建てを希望する人の方が多いです。
・持ち家派(マンション・集合住宅):17.4%
・持ち家派(一戸建て):60.5%
*住居の居住志向及び購買等に関する意識調査(2023年2月)
賃貸と購入のメリット・デメリットを比較
アンケートでは持ち家派が圧倒的多数を占めていましたが、多数派が正しいとは限りません。賃貸・購入のメリット・デメリットを比較してみましょう。
賃貸のメリット
初期費用が限定的で済む
賃貸の場合、入居するときに必要な初期費用は、敷金・礼金・仲介手数料・火災保険などを含めて、一般的な賃貸住宅であれば十万円単位で済みます。
引っ越しをしやすい
賃貸なら1〜2カ月前に退去予告をするだけで、引っ越すことができます。そのため、転勤や転職、同居する家族の増減などにも柔軟に対応しやすいでしょう。
固定資産税や修繕費がかからない
賃貸住宅は大家さんの所有物なので、入居者が固定資産税を負担する必要はありません。また、建物や住宅設備が傷んだり、壊れたりしたときの費用も大家さんが負担してくれます(入居者の故意・過失による破損を除く)。
賃貸のデメリット
家賃を支払い続けても資産にならない
住宅ローンと違い、家賃は何年支払い続けても資産を手に入れることはできません。家賃15万円の賃貸住宅に10年間住み続けた場合、支払い総額は1,800万円になります。これだけ高額な金額を支払っても自分の手元に資産が残ることはありません。
老後の住まいを確保できないことも
高齢になると、孤独死などのリスクから新規入居を断られるケースもよくあります。安定した職業に就いていても、高齢者というだけで住まい探しに苦労する可能性があるのです。
自由にアレンジできない
一般的な賃貸住宅は、入居者が勝手にリフォームをしたり、造作物を取り付けたりできません。DIYが可能な物件もありますが、数は少ないです。
購入のメリット
資産形成になる
家を購入した場合、ご自身の資産になります。住宅ローンを完済した後は毎月の負担なしで住み続けることができますし、将来、売却してお金を得ることもできます。
広い家を確保しやすい
賃貸住宅で広い床面積の家や、部屋数が多い家は限られます。子育てなどのために広い家に住みたい人は、購入した方が希望に合う家に住める可能性が高いでしょう。
老後の住まいを得られる
購入した家にずっと住み続ければ、老後の家探しに困ることはありません。ただし、広い家だと、子どもが独立した後に持て余す可能性があります。
購入のデメリット
初期費用がかかる
住宅を購入する場合、まとまった金額の初期費用が必要となります。初期費用の項目や金額は物件の種類や新築か中古などによって変わりますが、主に以下のような費用がかかります。
▽購入時の初期費用の例
- 住宅ローンの頭金
- 登記費用
- 不動産取得税
- 仲介手数料
- 固定資産税の精算金
固定資産税などがかかる
住宅を所有すると、固定資産税を毎年納めなければなりません。加えて、屋根・外壁・室内の壁や床・住宅設備などもメンテナンスしていく必要があります。
金利の影響を受けることもある
住宅ローンを変動金利で借りている場合は、金利の変動によって月々またはボーナス払いの返済額が変わる可能性があります。
賃貸と購入のメリット・デメリット比較表
賃貸と購入のメリットとデメリットを比較表にまとめると以下のようになります。
▽賃貸と購入のメリット・デメリット比較表
比較項目 | 賃貸 | 購入 |
---|---|---|
初期費用 | 数十万円 | 相当額かかる |
引っ越し | しやすい | しにくい |
修繕費 | かからない | かかる |
固定資産税 | かからない | かかる |
更新料 | かかる | かからない |
老後の住まい | 苦労する可能性あり | 住み続ければ問題なし |
資産形成 | できない | できる |
このように賃貸と購入それぞれにメリット・デメリットがあり、最終的に「どちらが自分に適しているか」という視点を持つことが重要だということが分かります。
どちらが得か比較!賃貸と購入を生涯コストでシミュレーション
「どちらを選ぶと生涯コストが安くなるのか」という観点から賃貸と購入のどちらを選ぶか判断したい人もいらっしゃるのではないでしょうか。日本経済新聞で紹介された試算では、賃貸と購入の生涯コスト(50年間の総費用)を比較すると、ほぼ同じという結果になっています。
この試算は、三井住友トラスト・資産のミライ研究所が2021年時点の首都圏を想定して賃貸と購入(持ち家)の50年間の総費用をシミュレーションしたものです。住居費だけではなく引っ越し費、固定資産税、修繕費(賃貸は2年ごとの更新料)などが反映された実態に近い試算になっています。
この試算の結果は、賃貸が8,235万円、持ち家が8,310万円。持ち家の方が75万円上回っているものの、これを50年間で割ると1年当たり1.5 万円しか差がないため、生涯コストはほぼ同じといえるでしょう。
▽賃貸住宅の費用総額(8,235万円)の内訳
家賃:7,800万円
更新料:300万円
入居費:75万円
引っ越し費:60万円
▽持ち家の費用総額(8,310万円)の内訳
ローン返済額:5,670万円
頭金 購入時諸費用:1,275万円
固定資産税:765万円
修繕費:600万円
どちらが得か比較!賃貸と購入を「200倍の法則」でシミュレーション
賃貸と購入を比較する方法としては「生涯コスト」のほかに「200倍の法則」を使う方法もあります。
200倍の法則は中古物件の検討に使える場合もある
200倍の法則とは、「その物件を購入した価格」と「その物件を借りた場合の家賃」を比較して購入すべきか否かを見極めるという考え方です。特に中古物件を検討する際に使える手法です。200倍の法則では以下のように判断します。
・物件価格が家賃の200倍以内:購入の方が得
・物件価格が家賃の200倍以上:賃貸の方が得
200倍の法則を使ってシミュレーションする際の家賃は、ネット検索で周辺相場を調べて参考にするとよいでしょう。実際にシミュレーションした事例を紹介します。
賃貸の方が得になるケース
〈条件〉
・購入を検討する物件価格:4,500万円
・上記物件の想定家賃:20万円
〈計算式〉
家賃20万円×200倍=4,000万円
4,500万円>4,000万円
〈結論〉
物件価格が家賃の200倍以上なので賃貸の方が得
購入の方が得になるケース
〈条件〉
・購入を検討する物件価格:4,500万円
・上記物件の想定家賃:23万円
〈計算式〉
家賃23万円×200倍=4,600万円
4,500万円<4,600万円
〈結論〉
物件価格が家賃の200倍以下なので購入の方が得
※ただし、200倍の法則は、土地、新築、築年数など様々な視点で考える必要があるので、参考の1つとして考える。
まとめ
賃貸と持ち家のどちらを選ぶか決める際は、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、どちらが自分に適しているかという観点から判断することが重要です。
家を購入したいけれど住宅ローンの支払いが心配な場合、賃貸併用住宅という選択肢を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
賃貸併用住宅とは、マイホームと賃貸住宅がミックスされた住宅のことです。毎月の家賃収入を住宅ローンの返済に充てられるため、住宅ローンの負担が大幅に軽減されます。また、マイホーム購入と同時に資産形成を始められるというメリットもあります。
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(提供:賢いくらし研究所)