戸建ての建築費を安く抑えるためのポイントは数多くあります。今回は、その中から特に重要な7つのポイントを紹介します。戸建てを建てたい人が知っておくべき建築費の相場や基礎知識についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
戸建ての建築費の内訳は?
戸建ての建築費は、建物工事費、付帯工事費、諸費用を合計した金額になります。それぞれの内容について説明します。
建物工事費(本体工事費)
戸建ての建物工事費とは、家の本体(構造・屋根・床など)をつくるための費用のことです。「本体工事費」とも呼ばれます。
一般的に、戸建てをつくる総費用のうち、建物工事費が占める割合は7割程度といわれています。例えば、戸建ての建築費の総額が4,000万円なら、建物工事費は2,800万円程度(4,000万円×7割)が目安となります。
付帯工事費
戸建てを建てるときには、建物工事以外に以下のような施工が必要です。
▽付帯工事の例
・照明器具の設置工事
・空調の設置工事
・エクステリア工事
・インテリア関連
・解体工事
・造成工事
・基礎補強工事
これらをまとめて「付帯工事費」といいます。戸建住宅を建てる総費用のうち付帯工事費が占める割合は2割程度といわれています。例えば、戸建ての建築費の総額が4,000万円の場合、付帯工事費は800万円程度(4,000万円×2割)が目安となります。
諸費用
戸建てを建てるときには諸費用も必要です。主な項目は以下の通りです。
▽諸費用の例
・登記費用
・印紙代
・住宅ローンの手続き費用
・火災/地震保険料
・各種負担金
これらに仮住まい費用や引っ越し費用を合わせると、戸建住宅をつくる総費用のうち諸費用が占める割合は1割程度となります。
木造戸建ての建築費の相場は?
戸建ての建築費を安く抑えたいなら、相場を知っておくことも大切です。相場と比較することで、業者から提示された建築費が安いか高いかを判断しましょう。木造の戸建ての建築費の目安を紹介します。
建築坪単価の目安:60万円前後
木造戸建ての建築費の相場は、どの情報元を参考にするかで変わってきます。ここでは一例として、国土交通省が毎年発表している「建築着工統計調査」をもとに計算しました。直近の木造戸建ての建築坪単価は60万円前後です。
建築坪単価の推移と傾向
注意したいのは、木造戸建ての建築坪単価が近年、上昇傾向にあることです。これは、2021年の世界的な木材の供給不足によるウッドショック、2022年以降のウクライナ侵攻によるロシア産木材の供給停止などが影響を及ぼしていると考えられます。今後も世界情勢の変化により建築坪単価が左右される可能性があります。
▽木造の建築坪単価の推移(2019〜2021年)
2021年:60.59万円
2020年:60.15万円
2019年:59.60万円
鉄骨造戸建ての建築費の相場は?
戸建ての主な建築方法は木造以外に、鉄骨造もあります。これは鉄骨を用いて、柱や梁などの骨組みをつくる工法です。こちらの相場も確認してみましょう。
建築坪単価の目安:80〜85万円程度
鉄骨造の建築費は、木造よりも高額な傾向にあります。国土交通省の「建築着工統計調査」に基づき計算すると、直近の鉄骨造戸建ての建築坪単価は80〜85万円です。
建築坪単価の推移と傾向
木造と同様、鉄骨造の建築坪単価も上昇傾向にあります。特に2021年は、鋼材価格が世界的に急騰したため値上げ幅が大きくなりました。これは主要生産国(オーストラリアやカナダなど)が新型コロナ感染や豪雨などの影響を受けたことにより、供給量が減少したことなどが原因です。
▽鉄骨造の建築坪単価の推移(2019〜2021年)
2021年:84.23万円
2020年:81.68万円
2019年:79.73万円
戸建ての建築費を安く抑える7つのポイント
戸建ての建築費を抑える方法はたくさんありますが、ここでは特に重要と考えられる7つのポイントを紹介します。
延床面積を無駄に広げない
戸建ての建築費を抑えるためには、延床面積を無駄に広げないことが大切です。広い土地を所有しているケースにありがちですが、必要以上に部屋数や延床面積を増やすのはやめましょう。戸建ての建築費は、延床面積が増えるほど使う資材や工事費が増えてしまい高コストになります。
「延床面積を減らすと、家が狭くなるのでは?」と感じるかもしれませんが、以下のような工夫をすることでコンパクトな空間でも開放感を感じやすくなります。
・広めの窓を設置する
・壁や床の色選びで工夫する
・廊下をなくす、または必要最小限に抑える
壁や扉の数を減らす
壁や扉を減らすことにより戸建ての建築費用を抑えるという方法もあります。具体的には、子ども部屋・寝室・衣裳室などを、カーテンや簡易の間仕切りで仕切るなどが考えられます。壁や扉を減らすと建築費が浮くことに加えて、家族の人数や用途に合わせて室内を柔軟に変えられるというメリットもあります。
給排水管を複雑にしない
「2階にトイレやミニキッチンが欲しい」「風呂の位置をここにしたい」などという要望によって給排水管が複雑になると、建築費は割高になります。建築費を安く抑えたいなら、水回りの位置をなるべく集中させましょう。また、2階に水回りを設置しない方が建築費を安く抑えられます。
和室をつくらない
仕上げ材のコストが増える分、和室の建築費は洋室よりも割高になります。和室をつくるとなると、柱・壁・細かい造作にこだわってしまうケースも多く、これも建築費を押し上げる要因になります。「どうしても和室が欲しい」という場合以外は、和室をつくるのは避けましょう。
上下階の間取りをなるべく合わせる
1階と2階の間取り(壁の位置)をなるべく合わせることで、工事の手間や資材が省けるため、戸建ての建築費を抑えやすくなります。戸建ては複雑な構造になるほど耐震性が低くなりやすいため、この点でも上下階の間取りを合わせた方がよいでしょう。
切り妻型の屋根にする
屋根の形状によっても戸建ての建築費は変わってきます。コストを抑えやすいのは一般的な屋根である「切り妻型」ですが、「片流れ型」を選択しても費用を抑えられることがあります。ただし、「片流れ型」は設計に影響を与える可能性があるため、選択する場合は事前に業者に相談しましょう。
相見積もりを必ずとる
「このハウスメーカー(または工務店)に戸建ての建築をお願いしたい」など、依頼する業者がほぼ決まっている場合でも、競合他社の見積もりを取ることをおすすめします。なぜなら、依頼先候補の会社の見積もりが割高なときには、競合他社の見積もりを材料にして値下げ交渉を行うことができるからです。ただし、本命と競合他社の見積もりの内容(仕様や設計など)が近くないと相見積もりにならないという点には注意しましょう。
まとめ
戸建ての建築費を安く抑えるためのポイントについて説明しました。
現在、材料の高騰の影響で木造・鉄骨造ともに建築費が値上がり傾向にあるため、建築費の上昇が落ち着いたタイミングで戸建てを建てた方が建築費を安く抑えられる可能性はあります。
しかし、国内では、材料費の高騰を価格に転嫁する動きや、人件費が上昇する流れもあるため、建築費が高止まりする可能性もあります。これから先の建築費の相場は読みにくい面もあるため、ご自身にとってベストと思われるタイミングで家を建てることを検討した方がよいかもしれません。
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(提供:賢いくらし研究所)