焼き肉チェーン店のあみやき亭<2753>がコロナ禍前の状態に戻る見通しとなった。同社は2024年3月期に売上高346億円(前年度比21.2%増)、営業利益18億円(同4.26倍)を見込む。
これはコロナ禍の影響のなかった2019年3月期の売上高(321億円)を超える数字だ。営業利益はコロナ禍前には届かないものの、コロナ禍の影響が少なかった2020年3月期(18億円)と並ぶ水準まで回復する。
この復活の要因の一つに同社が2023年4月に子会社化した焼肉やホルモン焼きのほか焼鳥専門店などを展開するニュールック(横浜市)の存在がある。
ニュールックをはじめとする同社のM&A戦略はどのようなものなのか。
M&Aで業容を拡大
あみやき亭は1995年に愛知県春日井市で創業した。5年後の2000年には店舗数は10店舗に増加。その後1年半ほどで倍の20店舗に増え、業容を拡大していった。
M&Aについては2009年に関東地区で焼肉業態とレストラン業態を中心に展開しているスエヒロレストランシステムを日本ハムから買い取ったのが始まり。スエヒロレストランシステムは当時、東京都や神奈川県を中心に焼肉店「炭火焼肉かるび家」のほか、レストラン「SUEHIRO」、居酒屋「楽市」など32店舗を展開していた。
関東地区への出店を加速していたあみやき亭にとっては、関東での営業拠点の拡充や、愛知県と神奈川県に設置していたセントラルキッチンの稼働率向上などで相乗効果が期待できた。
そのスエヒロは2023年3月末時点で、焼き肉店24店、レストラン17店、居酒屋2店などに関与しており、あみやき亭全店の17%近くを占める存在となっている。
このあとは2014年にすしチェーン「すしまみれ」や焼き肉店「ブラックホール」などを運営しているアクトグループを傘下に収めた。
当時、アクトグループは新宿などの都心部を中心に飲食店12店舗を展開しており、都心での店舗開発のノウハウを取得し、グループとしての成長を加速するのが買収の狙いだった。さらに、2019年には東京都内で「ホルモン青木」をはじめとしたホルモン専門店を展開する杉江商事を子会社化した。この買収も東京での出店加速を狙ってのものだった。
そして今回4年ぶりに企業買収に踏み切ったのがニュールック。同社はホルモン焼き店「野毛ホルモンセンター」などを、横浜市を中心に直営19店舗、FC(フランチャイズチェーン)9店舗を運営しており、2022年10月期の売上高は16億1000万円、営業利益は1500万円だった。
ニュールックが主力とする横浜市エリアでの営業基盤の強化や商品開発面での相乗効果などのほか、セントラルキッチンの稼働率向上などのコスト削減効果なども見込めるという。
このニュールックがコロナ禍からの脱却に一役買うことなりそうだ。