ヒューリック、国内初の敵対的TOBの標的に
みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行は富士銀行、第一勧業銀行、興銀の3行を母体とする。グループの系列不動産会社としては、旧富士系のヒューリック、旧第一勧銀系の中央日本土地建物グループ、旧興銀系の日鉄興和不動産などがある。上場企業はヒューリックだけだ。
そのヒューリックは富士銀行の店舗ビルを管理する会社として出発。2007年に現在のヒューリックに社名を変更し、2008年に東証1部(現東証プライム)に上場した。2012年に同じみずほグループ内の不動産会社の昭栄(当時東証1部)と合併した。
実は合併相手の昭栄はユニゾと同じく、かつて敵対的TOBのターゲットになったことがある。それも日本のM&A史に残る出来事として記録されている。20年以上前の2000年、日本におけるアクティビスト(物言う株主)の草分けである村上ファンド(当時)が昭栄に対して国内初の敵対的TOBを仕掛けたのだ。
不動準大手のトップ位置に躍進
ヒューリックはオフィス事業を主力とするが、近年、力を入れているのがホテル。2019年には浅草ビューホテルなどを運営する日本ビューテホテル(東証1部)を子会社化し、ホテル事業の全国展開にアクセルを踏み込んでいる。むろん、みずほ銀行との関係も良好だ。
ヒューリックの直近売上高(2022年12月期)は5234億円。三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングスの大手5社に続く準大手勢のトップランナーにつける。
ユニゾをめぐっては国内投資ファンドの日本産業推進機構(NSSK、東京都港区)がスポンサー支援を行い、再生を目指す運びとなった。NSSKは「十分再生可能であるだけでなく、今後のさらなる発展も見込める」としているが、いばらの道が待ち構えるのは間違いない。
文:M&A Online