年収800万円の人が住宅ローンを組んで家を購入する場合、どの程度の価格の家を購入することができるのでしょうか。
今回は、年収800万円の人が家を購入する場合の住宅ローンの返済額の目安や限度額について解説します。ローン返済額のシミュレーションや購入できる家の事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
年収800万円で家を購入する場合の住宅ローンの目安と限度額は?
住宅ローンの返済額の目安となる指標には「年収倍率」と「返済負担率(返済比率)」があります。この指標をもとに、年収800万円の人が家を購入するときの住宅ローンの目安と限度額を見ていきましょう。
住宅ローンの目安(年収倍率)
年収倍率とは、ローンの総返済額が年収の何倍かを示す指標です。一般的に、住宅ローンの年収倍率は7〜8倍程度が目安といわれています。ただし、この年収倍率の目安は以下の条件で変わってきます。
- 住宅の種類(建売・注文・マンションなど)
- 中古か新築か
- 住宅を購入するエリア
フラット35で融資を受けた人の平均的な年収倍率は以下の表の通りです。
▽年収倍率(融資区分別/全国平均)
住宅の種類 | 年収倍率 |
---|---|
土地付き注文住宅 | 7.5倍 |
マンション | 7.2倍 |
建売住宅 | 7.0倍 |
注文住宅 | 6.8倍 |
中古マンション | 5.8倍 |
中古戸建 | 5.7倍 |
上記の年収倍率をもとに年収800万円で家を購入する場合の「住宅ローン(総返済額)の目安」を計算すると以下のような結果になります。
▽年収800万円の住宅ローン(総返済額)の目安
住宅の種類 | 住宅ローン(総返済額)の目安 |
---|---|
土地付き注文住宅 | 6,000万円 |
マンション | 5,760万円 |
建売住宅 | 5,600万円 |
注文住宅 | 5,440万円 |
中古マンション | 4,640万円 |
中古戸建 | 4,560万円 |
住宅ローンの限度額(返済負担率、返済比率)
年収倍率で分かるのは、「住宅ローンの借入額の目安はどれくらいか」ということでした。住宅ローンの限度額を知りたい場合は「返済負担率(返済比率とも呼ばれる)」の指標が役立ちます。これは年収に占める年間返済額の割合を示すもので、以下の計算式で求めます。
返済負担率=年間返済額÷年収×100
金融機関は、この返済負担率を住宅ローンの審査時の指標として使っています。融資申込額があらかじめ決められた返済負担率を超えてくると(または近づくと)、家計破綻のリスクがあると判断されます。ただし、返済負担率は指標の一つでしかありません。最終的には、ほかの指標と組み合わせて融資の可否を決めることになります。
返済負担率の基準は金融機関によって異なります。一般的な民間の金融機関では、返済負担率の上限を30〜40%程度に設定していることが多いです。また、フラット35の場合は年収によって返済負担率の上限が異なり、年収400万円未満は30%、年収400万円以上は35%となっています。
返済負担率を使って「年間返済額の限度額」を求めることもできます。計算方法には、「年収の額面金額をそのまま使う方法」と「手取り金額を使う方法」がありますが、ここでは後者を選択します。
手取り金額は扶養人数や税金の控除額によって変わりますが、年収の75%~80%程度が目安といわれています。年収800万円の75%は600万円なので、手取り600万円、返済負担率35%で計算すると、210万円(年収600万円×返済負担率35%)が年間返済額の限度額となります。
年収800万円で家を購入する場合の住宅ローンの理想的な返済額
住宅ローンを無理なく返済していくことを重視すると、返済負担率は上限よりも低い20〜25%程度にするのが望ましいといわれています。年収800万円で手取りを600万円と仮定して返済負担率を20%に設定すると、年間返済額は120万円になります。
ここまでお伝えした内容のポイントをまとめると以下のようになります。
▽年収倍率や返済負担率に関するポイント
年収倍率 | ・物件の種類によって違う ・フラット35の場合5.8〜7.5倍程度 ・年収800万円で年収倍率7倍なら5,600万円 |
---|---|
上限の返済負担率 | ・一般的には30〜40%程度が上限 ・年収800万円(手取り600万円)で返済負担率35%なら年間返済額の限度額は210万円 |
理想的な返済負担率 | ・一般的には20〜25%程度が理想 ・年収800万円(手取り600万円)で返済負担率20%なら年間返済額の限度額は120万円 |
返済負担率を計算するときの注意点
金融機関が住宅ローン審査で返済負担率をチェックする際は、住宅ローンだけではなく以下のローンの借り入れ状況も含めて確認します。
- マイカーローン
- 教育ローン
- カードローン
- リボ払い
- クレジットカード支払い3回以上利用中
- スマホの分割払い
これらのローンの借り入れ額が多い人は、整理してから住宅ローン審査に申し込む方がよいでしょう。
年収800万円で家を購入・住宅ローン返済額シミュレーション
返済負担率をもとに、年収800万円で家を購入した場合の住宅ローン返済額をシミュレーションしてみましょう。
▽年収800万円(手取り600万円)で計算した場合
返済負担率 | 年間の返済額 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
20% | 120万円 | 10万円 |
25% | 150万円 | 12.5万円 |
30% | 180万円 | 15万円 |
35% | 210万円 | 17.5万円 |
年収800万円で購入できる家の実例
年収800万円で購入できるのはどのような家なのか、年収倍率を用いて考えてみましょう。
東京都内の戸建て(建売住宅の場合)
フラット35の建売住宅の平均的な年収倍率である7倍で年収800万円の借入額の目安を算出すると5,600万円になります。これに近い物件を不動産情報サイト「SUUMO」で検索した結果は以下の通りです。
▽検索条件
・東京都
・最寄り駅から徒歩10分以内
・新築(価格帯:5,500〜6,000万円)
▽検索結果の一例(2023年4月18日時点)
販売価格 | 所在地 | 間取り | 面積 |
---|---|---|---|
5,580万円 | 稲城市東長沼 | 4LDK | 84.04m2 |
5,580万円 | 大田区大森中 | 2LDK+2S(納戸)3LDK+S(納戸) | 115.61m2 122.5m2 |
5,580万円 | 墨田区八広 | 2LDK+S(納戸) | 85.68m2 |
東京都内のマンション(中古)の場合
フラット35の中古マンションの平均的な年収倍率である5.8倍で年収800万円の借入額の目安を算出すると4,640万円になります。これに近い物件を不動産情報サイト「SUUMO」で検索した結果は以下の通りです。
▽検索条件
・東京都
・最寄り駅から徒歩10分以内
・中古(価格帯:4,500〜5,000万円)
▽検索結果の一例(2023年4月18日時点)
販売価格/築年月 | 所在地 | 間取り | 面積 |
---|---|---|---|
4,599万円 1970年8月 |
新宿区西早稲田 | 3DK | 76.11m2 |
4,650万円 2018年1月 |
小平市花小金井南町 | 3LDK | 70.79m2 |
4,650万円 1998年8月 |
板橋区宮本町 | 3LDK | 75.6m2 |
世帯年収800万円の夫婦が住宅ローンを組む場合の注意点
パートナーの年収と合わせると年収800万円を超えるので世帯年収をもとに家を購入したいという夫婦もいらっしゃるでしょう。その場合の住宅ローンの選択肢としてはペアローンと収入合算があります。
▽ペアローンと収入合算の特徴
ペアローン | ・夫婦それぞれが住宅ローンを組む ・お互いに相手の連帯保証人になる |
---|---|
収入合算 | ・夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む ・収入を合算した人が契約者の連帯保証人になる |
これらを利用する際は以下の点にご注意ください。
ペアローンの場合
ペアローンの最大のリスクは、離婚したときの物件の扱い方です。対応策としては、どちらかが住み続ける、売却するなどがありますが、折り合いがつかない場合はトラブルに発展する可能性があります。
収入合算の場合
ペアローンの場合、ご夫婦のそれぞれが住宅ローン控除を利用できます。これに対して、収入合算の場合、住宅ローン控除を利用できるのは主債務者(契約者)だけです(連帯保証型の選択の場合)。
世帯年収800万円のご夫婦が家を購入する際に考慮すべき事項
世帯年収が800万円あれば比較的住宅ローンを組みやすいですが、家を購入する際は以下の内容を考慮した上で慎重に検討しましょう。
転職や転勤の可能性
家を購入した後に転職や転勤が決まると、単身赴任や売却などで対応する必要があります。転職した場合は年収が下がる可能性がありますし、転勤して単身赴任すると生活費が二重にかかることになります。
転職を予定している場合や、将来転勤になる可能性が高い場合は、賃貸を選択した方が無難かもしれません。
家族が増える可能性
家の部屋数や広さが現在の家族の人数にぴったりでも、将来、家族が増えると手狭になる可能性があります。今後、子どもが生まれたり、親と同居したりなどの可能性がある場合は、ゆとりのある広さの家や、家族の人数に合わせて柔軟に変えられる間取りを選ぶことをおすすめします。
子どもの教育費がかかる可能性
現時点では無理なく住宅ローンを返済できても、子どもが成長して教育費の負担が増えたら返済が困難になる可能性もあります。子どもがいる場合や子どもをつくる予定がある場合は将来のことを想定しながら住宅ローンの返済額を設定しましょう。
まとめ
この記事で紹介した年収倍率や返済比率は、あくまでも住宅ローンの目安でしかありません。最終的には以下のような事柄も含めて判断することが大切です。
- ほかのローンの借り入れ状況
- 生活費や教育費
- 資産形成をどの程度していきたいか
これらのことを考慮した上で、無理なく返済を続けられる住宅ローンの返済額を判断しましょう。
「マイホームを購入したいけれど、住宅ローンの支払いが心配だ」という場合、賃貸併用住宅という選択肢を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
賃貸併用住宅とは、マイホームと賃貸住宅がミックスされた住宅のことです。毎月の家賃収入を住宅ローンの返済に充てられるため、住宅ローンの負担が大幅に軽減されます。また、マイホーム購入と同時に資産形成を始められるというメリットもあります。
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