2020年を境に跳ね上がる

M&A Onlineが適時開示情報をもとに、過去10年の総会検査役選任の状況を調べたところ、2020年6社8件(ただし、乾汽船だけで年間3件)を境に件数が跳ね上がっていることが分かった。

それ以前は年間1~2件ペースで、2017年、18年がいずれもゼロ、19年2件だった。これに対し、2021年は7社8件(東芝が2件)、2022年は13社16件(東芝、三ッ星、富士ソフトが各2件)と明らかな増加傾向を示している。

物言う株主による株主提案の活発化に加え、敵対的買収や非友好的買収の広がりで、株主総会が紛争するおそれが高まっているのに伴い、検査役の重要性が一層増してことが背景にある。

2021年は関西スーパーマーケット(現関西フードマーケット)の買収をめぐるエイチ・ツー・オーリテイリングとディスカウントスーパーのオーケー(横浜市)の攻防戦が最高裁にもつれ込む異例の展開をみせた。このケースでは株主総会での白票の扱いが争点となった。

海外投資ファンドの経営介入を招いた東芝の株主総会では過去2年、開催のたびに検査役が選任された。

◎2023年:総会検査役の選任の状況(6月14日時点、臨時は臨時株主総会)

総会日 社名 申し立て
2/7 日本証券金融(臨時) 会社、対立株主
2/24 フジテック(臨時) 会社、対立株主
3/29 東京ソワール 会社
4/4 三京化成(臨時) 対立株主
6/21 フジテック 会社、対立株主
6/22 コスモエネルギーHD 会社、対立株主
6/22 日本証券金融 対立株主(申し立て中)
6/27 東洋建設 会社
6/28東洋証券会社
6/29 ナガホリ 会社、対立株主

文:M&A Online