企業がエシカル消費に取り組む際のポイント

エシカル消費を推進することは、これからの経営において必要不可欠といえそうである。しかし取り組む際には、以下のポイントに注意することが大切だ。

コスト増の可能性がある

エシカル商品の種類にもよるが、例えば農作物でいえば化学肥料不使用栽培は使う場合に比べて生産コストがかかる傾向がある。またエシカル商品であることを示す認証ラベルを取得するためには、第三者機関に認証検査の申請や費用の支払いが必要だ。

商品価格が高くなりやすい

コスト増は、商品価格に反映するのが通常だ。価格が高めでも安心・安全・エシカルな商品を購入したい消費者がいないわけではない。しかし価格次第では、購入意欲があっても購入できない消費者もいるだろう。企業の社会的責任が重要だとはいえ、消費者の購買力を顧みず高い価格をつけると企業イメージや信頼の面で逆効果になる可能性もあるため注意が必要だ。

エシカル消費取り組みに対するアピールと実態へのギャップに注意

認証ラベルや広告・宣伝などでエシカル消費の取り組みをアピールしたとしても、実態とのギャップがあれば、かえって不買運動など消費者離れにつながる可能性がある。先に紹介した「企業のエシカル消費通信簿」のように、目的は企業や社会にプラスになるためのものでも企業の実際の行動を調査し、評価として公表する動きはさらに広がっていくことも考えられる。

SNSでも、すぐに拡散される時代であることを意識しておこう。

業種別エシカル消費への取り組み事例

最後に事業者としてエシカル消費にどのような取り組みができるのか、すでにエシカル消費への取り組みをしている「アスクル」の例を紹介しよう。自社での取り組みへの参考としたり、事業内容によっては実際に参加したりするのもいいだろう。ぜひ参考にして欲しい。

商品破棄ロス削減の削減や物流の2024年問題に貢献する「アスクル」

アスクルは、BtoB向け通販サイト「ASKUL」と個人向けの通販サイト「LOHACO」の両輪で事業展開している企業だ。供給側でも消費側でも同社を利用している企業は多いかもしれない。同社は、未開封で品質上問題ないにもかかわらず、「パッケージデザインが古い」「売れ残った」などの理由で「商品を廃棄せざるを得ない」という多くの事業者に接していた。

そういったなか個人向け通販サイト「LOHACO」で「Go Ethical」を展開。品質に問題のない商品を廃棄せずに、シークレットセールとして販売することで廃棄ロスの削減につなげている。なお、その際には「特売セールで安価で買える」「破棄ロス削減(環境問題)で安価で買える」といった違いをGo Ethicalのなかでしっかりと説明し、消費者理解を得ることに努めている。

Go Ethicalのコンセプトに賛同する企業数も着実に増え、2024年2月20日時点で累計廃棄削減数は約130万個を超えた。

またYahoo!ショッピング内で展開しているLOHACOでは、消費者がお得にポイントを貯めたい気持ちと注文発送が多くなる物流事業者への負担削減の双方を調整すべく「おトク指定便」を提案。これは、注文をお得な日にして注文の配送日を柔軟に設定できるというもので、物流の2024年問題の削減に貢献している。