3.2023年第2四半期の注目トピックス
金額が1億円を切る超低額案件となったのが、8128(東京都世田谷区)による丸八ホールディングス<3504>に対するTOB。8128は丸八HDオーナー家の資産管理会社。同じく一族の資産管理会社で丸八HDの親会社である洋大(同)の株式を8128に集約したことが実質的な株式の買い付けに当たるとして公表した。
買付価格は1株当たり814円で、公表前営業日での終値814円と同額。買付予定数は351万4320株で、買付代金は約28億6000万円を見込んでいた。しかし、プレミアムが低いことから、応募があったのは買付予定数の約31分の1となる11万2860株で、金額は約9200万円に留まった。8128が買付予定数の下限を設けなかったため、TOBは成立している。
第2四半期のTOBは全て成立した。上期(1〜6月)のTOB件数は28件(不成立を含む)で、前年上期の33件を5件下回っている。今後は、7月13日にニデック<6594>が発表したTAKISAWA<6121>に対するTOBが敵対的な買収となるのかが注目される。TAKISAWAは9月13日に意見表明する予定だ。
第2四半期のTOBの目的は、完全子会社化とMBO、MBOを除く非公開化がそれぞれ18%と最も多く、次いで連結子会社化の9%だった。
4.買収プレミアムの推移
第2四半期の買収プレミアム(3カ月平均)は同27.94ポイント減の22.80%、ポジティブプレミアム平均は同21.67ポイント減の29.07%と、いずれも2年ぶりのマイナスとなった。
プレミアムが最も高かったのは、ピーシーデポコーポレーションがMBOで株式を非公開化した62.71%(買付価格480円、3カ月平均株価295円)。次いで三井物産がりらいあコミュニケーションズをTOBで完全子会社化した45.77%(同1465円、同1005円)、ハピネット<7552>がブロッコリー<2706>をTOBで子会社化した42.72%(同1500円、同1051円)の順。
5.買収プレミアムの分布水準
第2四半期は50%超の高プレミアム案件が全体の約15%と、前年同期比約35%を約20ポイント下回った。40〜50%が同±0ポイントの約19%、30〜40%が同約-5ポイントの約19%、20〜30%が同約6ポイント増の約16%、10〜20%が同約2ポイント減の約8%、0〜10%が同±0ポイントの約8%、ディスカウントプレミアムが同約10ポイント増の約15%だった。低プレミアム化が顕著な傾向にある。
【ご利用上の注意】
・2023年7月31日12時00分時点のデータです。
・2023年1月1日から2023年6月30日に公開買い付けが開始された案件を集計対象としています。ただし自社株TOBは対象外です。
・プレミアム算定に採用している株価は特に断りがない限り、公開日または基準日3カ月平均株価(終値)です。またプレミアムの算出は普通株式のみを対象としています。
・プレミアム算定に非上場企業、不成立、公開買い付け中の案件は含まれません。
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データ・文:M&A Online