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(画像=コネクテックジャパン株式会社)
平田 勝則(ひらた かつのり)
コネクテックジャパン株式会社代表取締役社長
1964年生まれ。松下電子工業(現パナソニック)入社後、電気製品における世界初鉛フリー実装技術を開発・ 事業化、高密度実装CSP事業化・普及促進、液晶用半導体事業化などに取り組む。
リーマンショック後の社会情勢の変化に、成長市場であるIoTにおける実装技術イノベーションで新たな雇用創出、 新市場創出を目指し、2009年コネクテックジャパン株式 会社を設立。代表取締役社長として現在に至る。
コネクテックジャパン株式会社
IoT市場における半導体実装技術課題を、世界初低温低荷重実装技術MonsterPAC テクノロジーをコアに、世界初受託開発ビジネスモデルOSRDAを展開。 国内外年間300件以上の受託開発を推進。

これまでの事業変遷について

―それでは、まず初めに起業の経緯についてお話いただけますでしょうか。

私自身は2009年までパナソニック社(旧松下電器産業)で半導体事業を担当し、世界初技術を武器に多くの新規事業を立ち上げ、数千億円規模の事業をコントロールしていました。2000年前後、日米半導体摩擦・リーマンショックを経て、日本半導体メーカーは縮小傾向が加速。リストラの名のもと多くの仲間たちが職を失する状況でしたが、それを横目に世界の半導体市場は成長を続けていました。そのギャップに疑問を抱き、成長産業で求められる新ビジネスモデル・新技術を武器に雇用創出を図れるのではと考え退職。フリーな立場で、世界の半導体トップメーカーを数百社訪ね回りました。その中で、日本の強みとは何か、生き抜くためのイノベーションとは何かを深く考え、そして、それが現在のビジネスモデルや技術の発想に繋がり、またそれに共感する仲間2人とともに起業をしたのがスタートです。

―その旅を通じて、日本の強みを発揮し、活かしていかなければならないという思いを強くされたのですね。資金調達の苦労や乗り越えた秘訣についてお聞かせいただけますか?

パナソニックを辞めた瞬間、投資・融資などをされる業界では、個人の価値が認められなくなり、数千億円の事業をゼロベースから立ち上げた経験が全く評価されないことに驚きました。

実際、最初の3年半は市場からの資金調達はほぼできず、仲間からの資金提供を頼りに生き延びるような日々でした。突破できたのは、志を共にする仲間たちの粘り強さがあったからだと思います。

土地担保もない中で、少額の資金を銀行から貸してもらえるようになり、リアルテックのビジョンを具現化し、その結果、資金調達の回転がついてきたというわけです。

―それは大変な努力だったと思います。その努力の後、徐々に事業が軌道に乗ったという印象を受けますが、何か変わった要素や、成功の鍵となった秘訣について教えていただけますか?

誰もやったことがない事業に挑戦するということです。私は既存の事業を手がけた経験はありません。松下では、ある予算と人材をもとに、3年後にどこまで成長したいかを立案します。技術の有無は関係なく、市場の成長性だけを見て、何で勝負するかを考えます。そして、それをバックキャストして、必要な技術を2~3年前に手を打ってタイミングを合わせます。

この会社も、技術ありきで作ったわけではありません。まずは、世界を回って、熱と圧力に弱いものが多いことに気づきました。そして、IoTの未来はその課題解決にあると考え、誰も着目していなかった熱と圧力にこだわった技術を開発しました。世界初・世界一の技術を持てば必ず勝てるという信念からです。資金調達する際も、投資家が注目するのは、現在の事業実績ではなく、そのマーケットの先見性に立った課題解決力だと考えます。

―事業の魅力はどのような点であると考えますか?

我々の事業の魅力は、成長性にあります。我々は、半導体という成長産業に携わっており、その中で独自の技術やサービスを提供しています。その魅力を伝えるためには、我々自身がその成長性を理解し、それを伝える能力が必要です。それが、我々の事業のDNAとも言えます。

自社事業の強みと成功実績・功績

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―素晴らしいですね。次に御社の事業の強みについて教えていただけますか?

我々は世界初・世界一の技術力と仕組みを持っていることが強みであると感じています。私はどちらか一方だけではなく、技術と仕組みの両輪を持つことが重要だと考えていて、技術については、単なる自己満足のためのイノベーションではなく、必ず未来のカスタマーの課題を解消するためのものです。

実際に、現在50名程度の会社ですが、国内外から300件を超える開発案件をいただいています。例えば、我々が手掛ける半導体実装技術は世界で唯一、80℃で実装できるため、この技術を用いると、例えば皆さんが今着ている服の素材であるPET、ポリウレタンなどにも半導体を載せることができます。これによって新たなIoTサービスへと展開されることも可能です。

仕組みについては、世界初半導体実装技術の受託開発を行うビジネスモデル「OSRDA」です。半導体の受託製造を行う企業は多く存在しますが、IoT市場が求めているものは、どんなところにも、どんなものにも半導体を実装したいという要求であり、これまでの受託製造では実現が難しいものばかりとなっていきます。我々が提供するOSRDAは要求に合わせた開発をフレキシブルに行える体制を構築し、お客様にご満足をいただける成果をあげています。

IOT市場は、従来のエレクトリックメーカーだけではなく、これまで半導体とは無縁だった材料産業、自動車産業や薬品産業など、IoT市場の成長性・収益性の高さを取り込みたいとお考えのお客様からは我々の受託開発モデルは非常に喜ばれています。

世界中からいただく開発依頼の中には、弊社だけでは完結できない難易度の高い案件もあります。これらにについては日本国内で提携する200社、1000名のエンジニアや200社と協力していくプロデュース&プロモートという仕組みを作り、開発推進しています。

この仕組みは、人・モノ・金が枯渇した戦後直後に産業勃興させた先人たちの知恵と実績からヒントを得たもので、企業同士が互いの得意分野を活かした協力関係を築くことで、世界に互する強みを出していきました。

我々はこれにならい全国の各企業が持っている技術を活用できるネットワークを構築。どんな開発要望にも短期間でお応えできるサービスを提供しています。

思い描いている未来構想や目指す世界観

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―最後に、御社の未来構想について教えていただけますでしょうか。

今は会社としての信用力向上もありつつ、リアルテックで収益を上げる構造ですが、今後は生産プロセスソリューションを全世界に提供し収益を上げる構造にしていきたいと考えています。それは、成長産業である半導体というマーケットの中で、消費財ビジネスではなく資本財ビジネスを仕掛けていくことで、私たちの会社もさらに加速して成長していけるのではないかと考えている からです。

数値目標として、私たちは5年後には100億円を超える企業に成長していきたいと考えています。その目標達成には資金力とエンジニアが必要です。事業方向性を同じにする企業提携、上場などの手段を通じて資金力を得ること。また、志を高くもつエンジニアを熱い思いで育成・求合し、世界が驚くイノベーションを、成長産業である半導体において起こし続け、雇用創出、地域発展に貢献していける企業を目指していきたいと考えています。

―とても壮大で未来が楽しみです。本日はありがとうございました。

氏名
平田 勝則(ひらた かつのり)
会社名
コネクテックジャパン株式会社
役職
代表取締役社長