総括
FX「つなぎ予算後の米国政府閉鎖とドル円相場、過去の例。日銀介入は?」
ドル円=147-152、ユーロ円=155-160、ユーロドル=1.03-1.08
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨11位(11位)、株価4位(4位)、9月はデータ通りドル円上昇。下半期10月は、介入はスムージング方式」
(米政府閉鎖とドル円相場は米ドルの項で)
9月はデータ通り、ドル円は上昇、9月月末週も例年通り上昇した。10月はそれほど偏ったデータはないので、テーマ、ニュースに即して動きたい。節目が好きなマスメディアが150円に近づいたことで、毎日「止まらぬ円安特集」組んでいる。一方、財務省は、鈴木大臣が、円安が進む中で為替介入に関する政府の方針を問われ、「防衛ラインがあるわけではない。変動というものに着目している」と述べた。その上で、急激な変動に対しては「あらゆることを排除せず適切な対応をしていくという従来の姿勢に変わりはない」とした。
イエレン財務長官は、日本に対して、「為替市場の急激な変動を抑えるスムージング・オペレーションであれば容認する」といった趣旨の発言があった。去年はドル円で30%程度の上昇があったが、今年は13%程度だ。また持続的に介入出来るかは疑問である。
戦後、20世紀では円は最強であったが、21世紀は円安相場となっている。大きな要因は31年連続で続いた貿易黒字が赤字となっていることだ。最大の円安要因は原油高。なかなか介入では長期トレンドを変えることは出来ない。ただ貿易赤字は縮小してきているが黒字基調に遠い。短期では金利の動きも影響する。日本の国債金利は0.76%まで上昇しているが、日銀総裁は依然、「わが国では、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、なお「出口」には距離がある」と金融緩和維持の姿勢を崩していない。
下半期の生保の投資方針、9月末に見られたGPIFの株売り動き、中国景気動向も併せて注視したい。
*米ドル「通貨4位(5位)、株価(NYダウ)14位(14位)、つなぎ予算の不安、インフレ低下、株安で利上げは難しいのでは」
現在の世界の焦点、2023年10月」米国が多く絡んでいる。財政負担も大きいが、米国の成長率も高い。国内でも切磋琢磨(時に無駄)しながら進んでいる。
*世界二極化、原油高、ウクライナ、
*UAWスト、米国政府閉鎖、米国難民増、米金利上昇での悪影響、
*中国景気減速、米中摩擦、中国回避、
*欧州景気停滞、経済力では米国に追いつけない
予算問題ではなんとか繋ぎ予算可決で先送り出来たがまだ不安あり。過去の政府閉鎖とドル円の動きは以下の通り
*2018年12月-2019年1月(35日間)ドル円下げて上げる (トランプ大統領、メキシコ国境問題 全面閉鎖ではなく一部閉鎖)
*2013年10月(16日間) ドル円下げて上げる (オバマ政権(民主党)の医療保険制度改革(オバマケア)を巡って紛糾)
*1995年12月から1996年1月(21日間)ドル円ゆっくり上昇 (クリントン政権(民主党)と上下両院を制していた共和党が歳出規模で合意できず)
さてFOMCのドットチャートでは年内あと1回の利上げが示唆されているが、フェッドウオッチでの予想では金利は据え置きのままだ。少し利上げ休止への発言やデータも出始めている。ウィリアムズNY連銀総裁は、インフレ圧力は依然として高いものの、目標の2%に向かって戻りつつあることから、利上げを終了する可能性があると述べた。
ミシガン大学調査の1年先のインフレ期待は3.2%。前月の3.5%からは低下した。5年先の期待インフレ率確報値も2.8%と、前月の3.0%から低下。8月の個人消費支出(PCE)コア価格指数の伸びが前年同月比3.9%と、前月の4.3%から減速し、2021年6月以降で初めて4.0%を下回った。CNNの恐怖と欲望指数(リスク関連指数)はピークの82から28まで下落し投資センチメントは最悪だ。11月もFF金利は据え置きではないだろうか。
*ユーロ「通貨6位(6位)、株価6位(7位)DAX)、対ドルで11週連続陰線(ただ円より強い) ドイツの憂鬱」
ユーロドルは11週連続週足陰線と弱いが、年初来では12通貨中6位で11位の円より強い。ユーロ円は年初来12.54%高だ。9月のユーロ圏消費者物価上昇率は前年同月比4.3%と、8月の5.2%から低下し、2021年10月以来の低水準となった。今回の統計は、金利が現在の引き締め局面のピークに達した可能性が高い。急激な利上げを受けて、一部の指標はユーロ圏が景気後退に陥る可能性を示唆している。
ただ独が問題児。独5大経済研によれば独の今年のGDPは前年比で0.6%縮小する見込み。4月はプラス0.3%と予測していた。ただナーゲル独連銀総裁は「インフレが予想以上に根強ければECBは政策金利をさらに引き上げる用意がある」と発言している。一方、他の中銀からは利上げ打ち止めや利下げへの言及も出てきた。
S&Pは、欧州の金利上昇と景気悪化により、企業、不動産会社、銀行の格付けが圧迫され、デフォルト率が上昇するとの見通しを示した。投機級(ジャンク級)企業の割合は、8月時点の3.4%から来年6月には3.75%へと、徐々に拡大すると予想し、厳しいリセッションに見舞われた場合には5.5%に達する可能性があるとした。
*ポンド「通貨3位(3位)、株価13位(11位)、コロナ前からのGDP回復度はEUより強い」
今年はユーロよりやや強く、スイスと2位争い。現在、保守党大会が開催されており、党内の一部からは次期議会選挙前に政府に減税を導入するよう求める声が上がっていることに対し、ハント財務相は、現時点ではこの点に関する計画はないと改めて述べるほど景気も回復してきた。
2Q・GDP確報値は前期比0.2%増で、速報値と変わらず。一方、新型コロナウイルス禍前の2019年4Qを1.8%上回わり、0.2%下回るとしていた8月の直近推計値から上方修正された。
ハント財務相は「英経済が誰も予想していなかったようなペースで回復している。これを疑問視する人々が間違っていたことが改めて証明された」と述べた。
コロナ前からの1.8%という英経済の回復ペースは、フランスの1.7%、ドイツの0.2%を上回っている。これもポンドがユーロより強い一因だ。
ロイター調査では、インフレが目標には及ばないが、低下傾向にあるこもあり、英中銀が少なくとも来年7月まで金利を5.25%に据え置くことを示している。金利が来年3Qと4Qにそれぞれ5.0%と4.75%に低下すると予想している。
*豪ドル「通貨9位(8位)、株価17位(15位)、政策金利は据え置きか。対中貿易関係改善」
豪ドルは年間ではNZドルに抜かれ9位に後退、9月に最強となったNZドルの勢いには勝てなかったが月間では6位とまずまずであった。9月末週は4位。今週の政策金利は4.1%で据え置き予想。8月の物価上昇率は前年比5.2%と、目標レンジの2-3%は超えている。雇用やGDPも改善していることから、今後、物価を制御する追加の金融引き締め策も議論されるだろう。
9月後半はLNG価格急騰や中国経済指標の改善も豪ドルを支えた。また中国政府が豪産大麦に課していた高関税を約3年ぶりに撤廃し、事実上の禁輸措置を解除したことも好材料。中国は今年に入り、豪産石炭の輸入を部分的に再開していた。
一方8月の小売売上高の伸びが小幅にとどまったことや、求人件数が6-8月は前期比マイナス8.9%と弱い材料も出ている。
*NZドル「通貨8位(9位)、株価19位(19位)、9月は後半に好材料出て月間MVP、今週は政策金利、10月14日に総選挙」
NZドルは9月に月間最強通貨となった。年間でも豪ドルを抜いて8位へ浮上した。9月下旬に好転した。力強い2Q・GDPや、22年4Qの上方修正でリセッションも消し去ったことがある。9月の企業信頼感は、高インフレへの懸念がくすぶる中でも、今後1年間の経済改善を予想した回答が悪化予想を上回った。改善すると回答した割合は差し引きで1.5%。8月は悪化すると回答した割合が改善予想を3.7%上回っていた。9月消費者信頼感指数も86.4と8月の85を上回った。さらには中国経済指標の改善があった。
今週は政策金利の決定がある。5.5%に据え置きの予想が多い。昨年7.3%まで上昇した物価は今年2Qに6.0%へ鈍化したが、目標の1-3%を大幅に上回っている。来年半ばごろには利下げが始まると予想されているが、先ずは10月17日の3Q消費者物価に注目が集まる。2Qの6%より低下して5.8%との予想だ。
さて10月14日の総選挙を控え、世論調査で苦戦している与党・労働党は経済の好転を歓迎。ロバートソン財務相は声明で「われわれの経済プランは国民を支援する強固な基盤を提供している」と述べた。
それでも6年ぶりに政権が交代する可能性が大きいが労働党と国民党の経済政策には大きな差異はないだろう。
テクニカル分析
*ドル円「例年通り9月は陽線、9月最終週も陽線」
日足、9月月末は下ヒゲが長くなった。ボリバン上位で推移。9月22日-29日の上昇ラインがサポート。9月28日-29日の下降ラインが上値抵抗。5日線。20日線上向き。
週足、4週連続陽線、月末週もデータ通り陽線となった。ボリバン上限。9月18日週-25日週の上昇ラインがサポート。22年10月17日週-23年9月25日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。雲の上。
月足、例年のデータ通り9月月足は陽線となった。8月-9月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年9月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線は上向き。
年足、2023年はここまで陽線。2022年の長い上ヒゲを駆け上る。21年-22年、12年-21年の上昇ラインがサポート。
*ユーロドル「11週連続週足陰線、日足は先週後半連続陽線(上ヒゲ長いが)」
日足、一時ボリバン2σ下限を下抜く。先週末は2日連続陽線も、週末は上ヒゲが長くまだ下値不安あり。9月28日-29日の上昇ラインがサポート。9月20日-29日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、11週連続陰線。一時ボリバン2σ下限を下抜く。8月28日週の長い上ヒゲが下押す。5週線、20週線下向き。22年10月31日週-23年9月25日週の上昇ラインがサポート。9月18日週-25日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、連続陰線。7月の長い上ヒゲが下押す。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。23年6月-7月の上昇ラインを下抜く。22年10月-23年9月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線下向き。
年足、陰転。2022年は2年連続陰線もボリバン2σ下限到達し反発していたが先週陰転。22年の下ヒゲが長く反発力あり上昇したが元に戻る。02年-22年の上昇ラインがサポート。21年‐22年の下降ラインを上抜くも元に戻る。
*ユーロ円「ボリバン下位から中位上抜く」
日足、ボリバン下位から中位上抜く。 9月28日-29日の上昇ラインがサポート。9月13日-29日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線下向き。
週足、ボリバン上位で高原上に推移。9月11日週-25日週の上昇ラインがサポート。8月28日週-9月25日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線上向き。
月足、スピード緩めるも年初来高値圏にあり。8月-9月の上昇ラインがサポート。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。5か月、20か月線は上向き
年足、3年連続陽線。今年はさらに大陽線。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。