中小事業者/ベンチャー経営者が知っておきたいファクタリングの注意点―ファクタリングサービス「PAYTODAY」はなぜ利用しやすいのか

中小事業者やスタートアップを中心に利用が拡大する企業の新しい資金調達方法「ファクタリングサービス」。前編では、AIの活用で利用者が拡大するファクタリングサービス「PAYTODAY(ペイトゥデイ)」を提供するDual Life Partners株式会社の田中美雪取締役に、ファクタリングサービスの現状やメリット・デメリットを中心にお話を聞いた。続く本稿・後編では、引き続きファクタリングサービスの現状の課題に加え、「PAYTODAY」の強み、スタートアップや中小企業にとってのファクタリングの上手な活用方法について、引き続き、田中取締役に聞く。

目次

  1. 取引先の承諾が必要な「3社間ファクタリング」は「2社間」より手数料が低め
  2. 最小で数万円。数千万以上の資金調達も可能
  3. ファクタリングは銀行融資を受けられるまでの橋渡しの役割
田中 美雪(Dual Life Partners株式会社 取締役)
話をお聞きした人:田中 美雪(Dual Life Partners株式会社 取締役)
大学で会計ファイナンスを学んだ後、銀行で法人営業を担当。フリーランスや中小事業者の資金調達方法が限られている現状を見て、2016年にファクタリングサービス会社のDual Life Partnersを設立。2020年に取締役に就任する。現代のライフスタイルの多様化に即した、フリーランスや中小事業者を支援するサービスを提供。

取引先の承諾が必要な「3社間ファクタリング」は「2社間」より手数料が低め

PAYTODAY特別インタビュー

――前編の終わりに、ファクタリングサービスのデメリットとして「取引先にファクタリングサービスの活用を知られることで、資金繰りが厳しいなどと疑問を持たれる可能性がある」という話がありました。これはどういうことですか?

そのお話の前に、ファクタリングサービスに対してあまり良くないイメージを持たれる方が一定数いるという前提があります。現在は貸金業法をはじめとした法律が厳格化し、違法な金利を設定する業者の多くが取り締まりの対象となります。しかしながら、かつてはファクタリング会社を名乗り、高金利でお金を貸す悪徳業者が横行していたのは事実です。

現在は、そのような事業者はほとんど見られなくなりましたが、ファクタリングサービスを「高金利な貸金ビジネス」と似た印象を持たれる方が少なからずいるのだと思います。

このような背景から「高金利な貸金業者からお金を借りるほど資金繰りが厳しいのか」と取引先に思われてしまい、今後の取引に影響がでると懸念されている方は少なくありません。

もちろん、ファクタリングサービス自体に違法性はまったくありませんし、高い手数料の案件ばかりではありません。とはいえ、サービスの利用を取引先に知られたくないという声は実際に存在します。

――ファクタリングサービスを利用すれば、サービス事業者から取引先に資金回収の連絡が行くことになると思うので、結局はサービスの活用を知られることになりませんか?

ファクタリングサービスには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。私たちファクタリング事業者と利用者の2社間で行われる「2社間ファクタリング」なら、サービスの利用状況を取引先などに知られることはありません。請求書によるお金が取引先から振り込まれた段階で、サービス利用者がファクタリング事業者に対して売掛金を支払うことになるからです。

一方、ファクタリング事業者と利用者に加え、取引先との「債権譲渡契約」を結ぶ「3社間ファクタリング」では、取引先との協議が必要になるので、サービスの利用が知られることになります。

この「3社間」は「2社間」よりも契約に至るまでに時間がかかる点には注意が必要です。その代わり、「3社間」は回収不可のリスクが減るため、手数料が安いというメリットがあります。

――ファクタリングサービスの手数料は1%以上、最大では20%のサービスもあるという話でした。相当に高い手数料になることもありますね。

ファクタリングは請求書が回収不可になることもあるため、事業リスクが低い業態とは言えません。そのため、当然、手数料には未回収リスクが上乗せされます。とはいえ、資金調達においてファクタリングサービスの手数料が突出して高いわけではなく、あくまで銀行融資と比較した場合の話です。

どうしても手数料に目が行ってしまいますが、そもそもファクタリングの一番の価値は即日入金も可能という銀行融資では不可能な調達スピードにあります。

ファクタリングは「ビジネスチャンスが来たけれども手元の資金がない」というような方が積極的に使うべきサービスであり、銀行融資の方が会社様の負担は低いのは明らかであるために、銀行融資が間に合うお客様であれば、銀行融資をお勧めしています。銀行融資が間に合わない、使えない方の“資金調達の選択肢“という位置づけです。

最小で数万円。数千万以上の資金調達も可能

PAYTODAY特別インタビュー

――これまでは、主に一般的なファクタリングサービスについてお話をうかがってきました。ここからは、御社のファクタリングサービス「PAYTODAY」についてうかがいます。大手銀行のファクタリングサービスへの参入もあって、今後は競争の激化が予想されますが、なぜこのタイミングで同サービスに参入されたのでしょうか。

私たちDual Life Partnersは、2016年に不動産会社として起業しました。不動産業界で情報交換をするなか、中小事業者や起業直後の経営者から「いい資金調達の方法はないか」と尋ねられることが多かったんです。やはり、中小事業者やベンチャー、スタートアップ企業は、財務基盤がぜい弱であることがほとんどです。もっと多様な資金調達の方法が求められているように感じました。

近年は「働き方改革」のもと、フリーランスやスタートアップで働く人が増えていますし、ますます事業者の資金需要は拡大するでしょう。

こうした背景から、2年前にファクタリングサービス市場の拡大を確信したことに加え、中小事業者の資金需要を支援したいという思いもあって、ファクタリングサービスに参入しました。

――新規参入が相次ぐなかで、御社のファクタリングサービス「PAYTODAY」の強みはなんですか?

まず、私たちは審査にAIを活用することで、審査のスピードを上げています。フリーランスや個人事業主に関しては、基本的にAIのみで審査を行っているため、即日対応できるのは大きな強みになると思います。

法人の場合は、AIの審査に加え人の目による確認も行っているため、個人事業主より多少の時間が必要になりますが、それでも数百万円から5,000万円程度の規模であれば、迅速な対応が可能になっています。すでに実績も積みあがっており、経験に基づいた判断が可能となっています。

――5,000万円程度までなら迅速に調達できるというのは、中小事業者にとって心強いですね。可能調達額の下限と上限はどれくらいでしょうか。

最小では、数万円程度をご希望されるお客様もおります。上限は特に設けておらず、その月の資金需要の規模によって変わります。数千万円以上のお取引がご希望の方でも是非お気軽にお問合せいただければと思います。

――御社のファクタリングサービスを利用するための、実際の流れを教えてください。

PAYTODAYは審査からお振り込みまで、オンラインのみの一括手続きが可能です。まずは弊社サイトにユーザー登録をしてから、サイトの「マイページ」上から申請していただくことになります。

▽PAYTODAY(https://paytoday.jp/

PAYTODAY
「無料新規登録はこちら」からユーザー登録できる

ユーザー登録には免許証などの身分証が必要です。申請には、個人事業主であれば確定申告書、法人は決算書の提出が必要で、あとは取引先との実績が確認できる預金通帳をご用意ください。

これらの書類は、すべてスマートフォンなどで撮影するか、スキャンしデータ化して、それをアップロードしていただきます。もちろん、買取の対象となる請求書も同様の方法でデータ化して、アップロードしていただく必要があります。

――審査の過程で問題点が発覚した場合は、どうなりますか?

法人の資金需要は、業種や業態によって、さまざまな形があります。そのため、スムーズに審査が進まなかったり、審査の過程で確認したい点が出てきたりした場合は、電話によるヒアリングを行い、各企業のニーズに可能な限り応えたいと思っています。

大手資本系列の会社などと比べると、窓口担当者と責任者の距離が近いので、顧客のニーズや相談に対して、迅速に対応できるのも私たちPAYTODAYの強みと言えるかもしれません。

――AIを活用することで審査がスピーディに行われる点、オンラインで手続きが完了する点も御社の強みと言えそうですね。御社の顧客は、やはり新興企業が多いのでしょうか?

比率でいうと、やはり老舗よりも新しい企業が多いですね。新しい企業の大半はパソコンやIT機器を利用されていると思いますが、私たちも可能な限り、オンラインで手続きを完了させたいと考えています。

一概には言えませんが、「パソコンの使い方をよく知らないから」という理由で、手数料が高い会社を利用されている老舗企業や地方の中小事業者もいらっしゃるようです。ぜひ、弊社のオンラインサービスをご利用いただきたいところです。

ファクタリングは銀行融資を受けられるまでの橋渡しの役割

PAYTODAY特別インタビュー

――先ほど、「3社間」の場合は1~4%程度、「2社間」の場合は6~8%程度の手数料になるとのお話がありました。競合他社と比べても手数料は低めに設定されているようですが、その理由を教えてください。

オンライン上で手続きが完了できることや、審査にAIを活用することで人件費を抑えられているのが理由の1つです。また、上場企業の場合は株主に対して利益拡大の責任が生じますが、私たちは未上場ですし、現時点では上場の予定もありません。もちろん、会社として利益を追求しないというわけではありませんが、これも手数料を低く設定している理由になるでしょう。

もう1点、あえて言うとすれば、「創業初期の会社が銀行融資を受けられるようになるまでの間の資金需要に応えたい」という思いがあるからですね。

――ブリッジファイナンスの担い手となるという社会的な意義も、低い手数料の理由になっているのですね。

スタートアップやベンチャー企業が多く育つ土壌ができれば、日本経済も活発化しますよね。そうなると、新興企業の資金需要が増え、ファクタリング市場は拡大するので、私たちのビジネスチャンスも拡大するわけです。

創業初期の急成長期には、ぜひ私たちのサービスをはじめとしたファクタリングを正しく活用していただき、売上高や取引実績を積み上げ、どんどん成長してもらいたいですね。そして、銀行融資を受けられる水準に成長できたら、ファクタリングサービスから卒業していただきたいと思っています。

――普通は、自社のサービスを繰り返し使ってもらおうとするところ、サービスからの卒業を促すメッセージは珍しいですね。

資金調達には、創業時や創業初期、急成長を遂げる時期、規模が拡大して銀行融資を受けることが可能な時期、さらに成長してIPO(株式の新規公開)を目指す時期など、さまざまなステージがあります。そして、そのステージによって適切な資金調達の方法も変わってきます。ファクタリングサービスは手数料が高いというデメリットがありますから、長期的に利用し続けるものではないと思います。

創業初期にファクタリングサービスを活用することで、次のステージに上る会社が増えれば、ファクタリングの知名度や信用度が上がり、新たな利用者も増えるでしょう。

――1社の利益を追求するより、市場全体の拡大が、より大きなビジネスチャンスや恩恵をもたらすということですね。

そもそも、ファクタリングサービス自体、まだ認知度が低いという業界全体の課題があります。中小事業者やスタートアップなどを対象に2年ほど前に行われたアンケート調査では、「ファクタリングサービスを知っている」という回答は1割程度でした。

大手銀行の参入が相次いだとはいえ、肌感覚としては、現在もそこまで知名度は上がっていないでしょう。今後も、ファクタリングサービスに対するネガティブなイメージを改善していくことはもちろん、業界全体でサービスの知名度を上げていく取り組みが不可欠だと考えています。

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ファクタリングサービスは、創業初期の企業の資金的なつなぎ役として最適な資金調達の手段である。その一方で、銀行融資と比べると手数料の高さはネック。1~数か月程度で、事業者によっては10%超、年換算で数10%の手数料が求められるケースもあるようだ。

その点、ファクタリングサービス「PAYTODAY」は、オンラインとAIの活用で経営コストを低く押さえることで、2社間サービスなら6~8%、3社間なら1~4%程度の低い手数料を示現している。また、数千万円レベルであればスピーディに調達することが可能だ。これなら、資金不足によるビジネスチャンスの逸失を大幅に減らせるだろう。

もはやファクタリングが持つ従来のネガティブイメージは払しょくされつつある。新しいファイナンス手法として適切に活用できれば、多くのスタートアップ企業の事業成長の一助として、有用なサービスと言えそうである。