この記事は2024年7月19日にSBI証券で公開された「波乱相場で買い好機?活躍期待の大幅増益銘柄は?」を一部編集し、転載したものです。
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目次
波乱相場で買い好機?活躍期待の大幅増益銘柄は?
東京株式市場は高値更新後に波乱の展開になっています。日経平均株価は7/2(火)、約4ヵ月ぶりに4万円台を回復すると、7/4(木)には過去最高値(3/22終値40,888円)を更新。7/11(木)には史上初めて42,000円台に乗せました。しかし7/12(金)以降は下落基調に転じ、7/18(木)には一時40,104円まで下落しました。
米国では景気・雇用指標等の鈍化が目立ち、インフレ懸念が後退し、金利低下期待が強まりました。そうしたなかで、テック株を中心に上昇基調が継続し、東京株式市場もその恩恵を受けました。また、米大統領選を控えたテレビ討論や、トランプ前大統領銃撃事件を経て、同氏の大統領再選確度が上昇したとみなされトランプ関連銘柄も物色されました。
ただ、メディアのインタビューなどを通し、トランプ氏の①ドル高に対する問題視、②大統領選前の利下げけん制、③半導体産業で台湾が強い地位を築いていることへの問題視、④同国防衛に対する米国関与への疑問視等が伝わり、トランプ氏の政策・考え方が株に良いことばかりでないことが判明してきました。さらに、バイデン政権が日本・オランダの半導体製造装置メーカーに対中規制強化を検討していることが伝わり、半導体株に悪材料が重なりました。
米国では7/17(水)・7/18(木)とハイテク株の多いナスダック指数が下落。日本でも日経平均株価は7/18(木)に971円安と急落し、7/19(金)は4万円割れで寄り付くなど、株式相場は波乱色が強まっています。とはいえトランプ氏の考え方は相当相場への織り込みが進んできたうえ、政策間の矛盾もあって実現性は不透明であり、過度な懸念は不要かもしれません。そうした中、米国では7/12(金)に大手銀行株の決算が発表され、4~6月期決算発表シーズンが本格的にスタートしました。東京市場でも7月下旬以降、同四半期の決算発表が本格化します。市場の関心は次第にマクロからミクロに移りそうです。
決算発表シーズンは、無論個別銘柄レベルで業績変動リスクが高まるので要注意です。
ただ逆に、決算発表が終わった銘柄であれば、当面業績変動リスクは小さくなるとみられます。実は、6月下旬から7/16(火)までは、年度末を2月、5月、8月、11月とする銘柄の24年3~5月期の決算発表シーズンでした。この時期に好決算を発表した銘柄は、これから決算発表を迎える銘柄を買いにくい分、値動きがよくなる可能性があります。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、東証プライム市場に上場する銘柄のうち、直近の決算発表で好業績を示した銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行いました。
(1)東証プライム市場に上場
(2)決算期末が2月または5月、8月、11月の銘柄で6/24(月)~7/12(金)に決算発表を実施
(3)予想EPSを公表しているアナリストが2名以上
(4)直近四半期(24年3~5月)営業利益が10億円以上、かつ前年同期比で黒字転換または20%超の増益
(5)来期市場予想営業利益(Bloombergコンセンサス)が今期市場予想営業利益に対し10%超増益見込み
(6)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記(1)~(6)の条件をすべて満たしています。掲載は、直近四半期の営業増益率が高い順(ただし黒字転換が最上位)としています。
一部掲載銘柄を解説!
霞ヶ関キャピタル (3498)~「不動産」×「金融」で急成長。物流倉庫・ホテル・ホスピス・海外(ドバイ等)
■「不動産」×「金融」。2011年の設立後、成長分野を見極め急スピードで拡大
コンサルティング型ディベロッパーとファンドマネジメントを融合したビジネスモデルの会社です。
2011年の設立後、2018年に東証マザーズ市場(現グロース市場)に上場。2023年には東証プライム市場に市場替えを行うなど、急拡大で成長を遂げてきました。
霞が関ではなく、仙台市で事業を開始。東日本大震災で被災したショッピングセンターの再生を目的としてスタートしました。2013年、ショッピングセンターの屋上に太陽光パネルを設置し、自然エネルギー事業を開始。翌2014年に不動産コンサルティング事業を始め、2017年7月に霞が関に本社を移転。その翌月が期初にあたる18.8期は、売上高が前期比約3倍と業績を急拡大させてきました。
現在では、国が定める再生可能エネルギー買取価格の下落や自社発電施設の売却により、自然エネルギー事業が全体に占める割合は縮小傾向です。そのため、23.8期から同事業は不動産コンサルティング事業の単一セグメントに統合されました。冷凍冷蔵倉庫にフォーカスした「物流倉庫」、徹底したローコストオペレーションにより低水準の稼働率でも黒字が見込める「ホテル」・高齢化社会の日本で需要が高まっている「ホスピス」の3つが主軸です。また、ドバイなど海外にも事業を進出しています。
主な収益源は4つあります。①仕入れた用地をプランニングなど付加価値をつけて開発ファンドに売却した収益(売却益)、②開発投資家のプロジェクトマネジメントに携わるプロジェクト管理報酬、③開発投資家から不動産投資家への売却益が目標を超過した際の成功報酬、④不動産投資家に対するアセットマネジメント報酬、です。また、21.8期から26.8期の中計では、霞ヶ関キャピタル2.0モデルとして、合弁会社を設立し、出資比率に応じた運用フィー及び開発利益を得るパートナーシップ型を新たなモデルとして始動しています。
■順調に株価・業績拡大。次回の本決算発表に期待
業績は3期連続で増収・営業増益を達成し、今期(24.8期)も更新される見通しです。今期3Q時点(23.9-24.5期)では、売上高335億円(前年同期比82%増)、営業利益36億円(同249%増)と増収増益。通期会社計画に対する進捗率は売上高65%、営業利益42%ですが、過去3期の営業利益は通期計画を上振れて、着地しています。
業績推移のグラフを確認すると、四半期ごとに偏りがあることが特徴として挙げられます。3Q決算発表翌日は、株価は窓を開けて大幅高しましたが、大口投資家とみられる売りが発生したことなどが影響し下落。新しい悪材料はないまま、同決算発表前の水準は維持している格好です。業績拡大に伴い、堅調な株価推移を辿ってきた同社の次回の本決算発表で、続けざまに高い成長見通しを示すことに期待感が募ります。
▽日足チャート(1年)
データは2024/7/19 (日足)11:00時点。
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
▽業績推移(百万円)
※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
サイゼリヤ(7581)~国内部門の採算改善で来期に最高益更新が視野に?
■グローバルに展開する「イタリアンワイン&カフェレストラン」
1967年に千葉県市川市において創業された個人店舗をルーツとしています。現在は国内1,038店舗、アジア(上海、広州、北京他)514店舗の計1,552店舗(24.5末)を展開するグローバルな「イタリアンワイン&カフェレストラン」が中核事業です。
他のファミリーレストランと比較しても圧倒的に安い価格戦略が競争力の中心とみられます。多くの外食チェーンが値上げに踏み切る中、値上げを良しとしない考えは企業文化と言えそうです。
ワインやオリーブオイルなどはイタリアから直輸入しています。衣料品業界で頭角を現した「製造直販業」を外食業において実現することを指向しています。すなわち、外食業として店舗を持つ一方、商品開発から食材の生産、加工、配送までを一貫して手掛けることを目指しています。たとえば主力商品であるハンバーグやミラノ風ドリアの生産のために、オーストラリアに自社工場を有しています。
■国内が改善、25.8期に最高益更新が視野に?
当社の業績の特徴は、売上構成面では国内が中心となっているものの、利益面では海外が中心という点であると考えられます。
7/10(水)に発表された24.8期3Q累計決算では、売上高1,632億円(前年同期比23%増)、営業利益100億円(同182%増)となりました。売上高の36%を占める「アジア」が、積極的な出店を背景に前年同期比30%増収となり、営業利益は82億円(営業利益構成比82%)と同66%増え、全体のけん引役となりました。これに対し、国内部門の営業利益は13億円と営業利益構成比は13%にとどまっています。人件費が上昇しやすいうえ、国内部門では円安や資源価格高騰が逆風になっています。
もっとも、国内「サイゼリヤ」の採算は改善しつつあります。四半期単位(3ヵ月)で営業利益をみると、23.8期2Qまではたびたび赤字に沈むことがありましたが、その後24.8期2Qまでは若干の黒字(1億円未満)が継続しました。そして、24.8期3Qは営業利益13億円を確保しています。
国内では24.8期3Q累計で出店9、退店26とスクラップ&ビルドを継続。すでに現金主義からキャッシュレスへの対応を進めていますが、さらにQRコードを利用した注文システム、店舗セルフレジ(8月までに全店導入計画)導入を進めるなど、効率化も進めています。これらの効果もあり、既存店売上高は23年後半以降おおむね前年同月比20%以上の増加を続けています。
24.8期通期では売上高2,110億円(前期比15%増)、営業利益131億円(前期比81%増)、純利益65億円(同26%増)が会社計画です。純利益の過去最高益は10.8期の78億円ですが、市場では25.8期にその更新を予想しています。
株価は7/10(水)の決算発表後、株主優待制度の廃止を嫌気して売られる場面もありました。しかしその後は、業績拡大期待と予想配当の増配が評価され、高値トライの展開になっています。好業績銘柄の一角として今後も上値追いの展開が期待されます。
反面、稼ぎ頭の「アジア」では、上海、広州で既存店売上高が減速気味である点に注意が必要かもしれません。
▽日足チャート(1年)
データは2024/7/12 (日足)11:30時点。
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
▽業績推移(百万円)
※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。