1970年 熊本県生まれ、大阪府出身。
野球に熱中するも成長期に投手として投げ過ぎたことから中学入学の頃から長く肘痛に悩まされた原体験を持つ。
早稲田大学教育学部卒業後、メルセデスベンツ日本法人に入社。
販売店ネットワークの経営改善業務に従事。
その後、米国ダートマス大学Tuck SchoolへMBA留学。
卒業後、アクセンチュア戦略グループに入社し大手製造業・流通業に対する経営戦略策定実行支援に従事。
2005年、独立しコンサルティング事務所を設立。
2008年に株式会社ユーフォリアを創業。
スポーツ選手のコンディション管理、ケガ予防のためのSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」、スクール運営のDXプラットフォーム「Sgrum(スグラム)」を開発・提供しています。
さらに、これまでスポーツ界で培ってきたノウハウを生かし、一般企業のビジネス課題の解決を行う事業も推進中です。
これまでの変遷について教えてください。
当社を創業したのは2008年ですが、創業当初からスポーツビジネスについて明確に視野に入れていたわけではありませんでした。ただ、創業時から当社がなぜビジネスをするのかという哲学、ビジョンについてはとても大切にしていました。
私個人の経歴を振り返ると、自動車会社に務めた後、海外留学の経験を経てコンサルティングの仕事に就きました。その後、企業再生に関わりたいと考えるようになり、多くの企業の再生に取り組みました。具体的にはプライベートエクイティファンドのアドバイザーになり、投資先の企業の再生業務を行っていました。ある会社の再生現場に長く携わったのですが、会社を立て直す過程で一部の従業員に辞めていただく必要が生じました。多くの方は年齢も高く、終身雇用を前提として働かれていた方々でした。その経験が非常に心苦しく、多くの人々が自立をして、各人のポテンシャルを引き出せるような会社を創りたいと考えるようになりました。
そして、さまざまな紆余曲折を経て、2012年にラグビー日本代表チームとの幸運な出会いがあり、スポーツテックへ進出することになりました。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
私が最も影響を受けたのは、「リーダーシップの旅」という本です。著者は金井壽宏さんと 野田智義さんの2人で、ともにリーダーシップ研究の専門家であり実務家でもあります。本の主なテーマは実践的なリーダーシップについてで、私のキャリアや人生に大きな影響を与えました。
初めて読んでから15年以上経過していますが、私は折に触れてこの本を何度も読み返しています。そのたびに新たな気づきや学びがありますし、それらが経営者としてのあり方や思考方法に大きく影響を与えています。また、本書には繰り返し多くの書き込みをしており、これまでに少なくとも30冊以上は購入して、本書が役に立つのではないかと思った社員や友人にプレゼントしています。誰かに差し上げた後はまた購入してイチから書き込みをしています。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
本書を読むことで、自分自身と対話をしながら深く考察するための良いきっかけとなりました。同じ本であっても、その時の自分の置かれた状況によって、まったく違った箇所が心に響いたりします。それによって自分自身の今の状況を知ることにもつながりますし、課題に取り組む姿勢を見直す機会にもなりました。
本書の中で、特に響いた言葉のひとつが「見えないものを見る」というものです。見えない未来を見て、それを実現するために旅をするのがリーダーである、という意味です。また、「事前の不確実性と事後の常識性」という言葉もありました。新たな事業などを立ち上げるときには先行きは不確実で様々な反対意見などが出てきますが、一旦それが実現されると人々の中では一転して常識になっていきます。リーダーは事前の不確実性が高い状況の中で、見えない未来を示して人々を引っ張っていくことが重要だと考えています。
経営において重要としている考え方を教えてください。
我々は「人とスポーツの出合いを幸福にする」というミッションを掲げています。スポーツによって自身の可能性が広がったという人を増やし、怪我や経済的理由、ハラスメントなどによってスポーツができなくなるようなケースを減らしたいと考えています。もう一つはスポーツ以外の一般社会にスポーツ発のサービスを広げていくことで、普段スポーツの外側にいる方々とスポーツとの出合いも幸福なものにしたいと考えています。
加えて、我々は「すべての人の可能性が生きる未来へ」というビジョンを掲げています。ユーフォリアがある人生とない人生がある中で、ユーフォリアに入社することを選んでいただいた社員のみなさんにとって、そのポテンシャルを最大限に引き出せる場でありたいと考えています。そのためにも、たとえどんなに経験のない若手メンバーであっても、この人の能力はこれくらいだろうなどと決めつけたりせずに、その人にある無限の能力を信じて、向き合っていきたいと思っています。
最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
目指す未来構想は、とにかく「すべての人の可能性が生きる未来をつくる」というビジョンを実現していくことです。また、そのために、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と協力して、今よりも遥かに多くの人たちの課題を解決していきたいと考えています。 ユーフォリアで一緒に働いてくれている従業員は、このビジョンを共有し、一緒に不確実な未来を作り出すことを選んでくれた人たちです。一度しかない人生の貴重な時間の中でユーフォリアを選んでくれたわけですから、彼ら彼女ら一人ひとりに、その能力を最大限に発揮していただきたいと考えています。
私たちの目指す未来像は、先に述べたビジョンを実現することですが、当然それは経済的な成功だけを追求するものではありません。ユーフォリアの事業を通じて、人々がその可能性を完全に発揮することができるようになることこそが目指す未来ですし、そのプロセスを通じてユーフォリアの従業員にもまた幸福になっていただきたいと思っています。そして、従業員一人ひとりの成長と共に、私自身も成長し続けたいと考えています。
- 氏名
- 橋口 寛(はしぐち ひろし)
- 会社名
- 株式会社ユーフォリア
- 役職
- 代表取締役Co-CEO