総括
FX「米中歩み寄る、中国景気減速も影響か」人民元見通し
(通貨7位、株価14位)
予想レンジ 人民元/円20.2-20.7
(ポイント)
*人民元円は年初来高値更新
*米中首脳会談、11月に開催か
*米中は核軍備管理でも協議
*10月PMIは悪化
*今週は10月貿易収支の発表
*中国の米国債保有高が8054億ドルに減少
*BYDが過去最高益
*香港3QGDPは改善
*1兆元の景気対策実施、財政赤字は増加
*碧桂園(カントリー・ガーデン)がデフォルト
*3Q・GDP、減速も予想を上回る
*9月の鉱工業生産、小売売上はまずまず
*輸出入は減少が続く
*株は弱い
*米が中国へ経済制裁。ウイグル族の強制労働で
*多くの国は中国の14億人の消費とは離れにくい
*対米貿易で首位陥落
(またもや年初来高値更新)
またもや年初来高値更新、20.663をつける。10月31日は大陽線となった。今回は元の要因ではなく、円において日銀が金融緩和を維持したことや、10月には介入が行われなかったという発表があったことによる。ただ昨日からは反落。
(米中首脳会談、11月に開催か。核軍備管理に関する協議も来週開催)
米政府高官は、バイデン米大統領と習近平国家主席の会談について、11月にサンフランシスコで実施することで両国が基本合意したと明らかにした。ただ、詳細については詰める必要があるという。
また、中国が米国と核軍備管理に関する協議を来週開催することで合意したと、WSJが報じた。実現すればオバマ元政権以来初という。
報道によると、協議は米中ロの軍拡競争回避を目的としているが、核兵器の制限に向けた正式な交渉開始を意味するものではないという。
(景気回復しつつあったが今週は減速)
10月発表された指標では3Q・GDPが2Qの前年同期比6.3%から4.9%へ減速したが、予想の4.4%を上回った。9月小売売上は5.5%増と8月の4.6%から改善、鉱工業生産は4.5%と8月と同値。9月貿易収支は輸出入ともに前年比で縮小幅を前月より改善した。
しかし、今週発表された10月PMIは9月比悪化した。
10月製造業PMI49.5(前月50.2)
10月非製造業PMI50.6(同51.7)
10月財新製造業PMI49.5(同50.6)
弱いPMIデータは、住宅市場の落ち込みとインフラ支出の鈍化に関連した需要低迷を一部反映している可能性がある。また輸出に底入れの兆しが出ているが、外需の力強い回復は難しいと見られている。
(今週は10月貿易収支の発表)
中国の貿易収支は輸出入ともに減少している。10月の予想は輸出が5%減少、輸入が5.5%の減少だ。米国の経済制裁も影響している。その問題を含めての米中首脳会談だろう。
(BYD、3Qは過去最高益)
中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)の2023年3Q決算は純利益が前年同期比82.2%増の104億1000万元と過去最高になった。売上高は38.5%増の1621億5000万元。
世界最大の自動車市場である中国で需要が軟化し、複数の競合メーカーが価格を引き下げる中で主導権を維持し、販売は堅調に伸びた。
BYDは今年9月、日本でEVの2番目のモデルの販売を始めた。
(中国の米国債保有高が8054億ドルに減少 14年ぶりの低水準に)
中国の今年8月の米国債保有高は前月比164億ドル減の8054億ドルで、2009年ぶりの低水準となったと伝えた。中国の米国債保有高は2013年にピークに達した後、10年間で40%減少した。中国は2019年に米国債の世界最大の保有国だったが、近年は安定的に減らし、日本の約1兆1100億ドルの保有高を下回り2位になっている。
日本は今年6-8月に米国債保有高を100億ドル以上増やしたが、5月には300億ドル減らしたため、全体的には減少している。
テクニカル分析(人民元/円)
年初来高値更新して反落
日足、20.663をつけ年初来高値更新、10月31日-11月1日の上昇ラインを下抜いて今日はスタート。10月30日-31日の上昇ラインがサポート。10月31日-11月1日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ上位で推移。10月2日週-16日週の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限は20.732。5週線、20週線上向き。
月足、今年はここまで右肩上りといってもいい動き。10月はボリバン2σ上限から反落でスタートも戻して陽線。9月-10月の上昇ラインがサポート。22年10月-23年9月の下降ラインが上値抵抗。
年足、3年連続陽線。23年も陽線スタート。ただ22年は上ヒゲが長い。20年-21年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
香港3QGDPは改善
香港の3Q・GDPは前年比4.1%増加した。インバウンド観光や個人消費が寄与し、伸び率は2Q(1.5%増)や1Q(2.9%増)を上回った。 政府報道官は、「インバウンド観光と個人消費が今年いっぱい経済成長を下支えし続ける」との見通しを示した。ただ地政学的緊張の高まりや金融引き締めという厳しい外部環境は引き続き財の輸出と投資・消費マインドを圧迫するとした。
政府は8月に23年の成長率予想を4.0-5.0%に上方修正した。先週、李家超行政長官は、不動産市場の活性化や企業・人材誘致を主眼とした支援措置を発表した。