2009年4月 シーエー・モバイル(現CAM)入社。スマートフォン向けアプリケーションの開発・運用を主な目的として2015年5月に東京通信を設立。5年で東京証券取引所マザーズ市場に上場。広告マネタイズやマーケティング戦略を得意とし、国内、海外問わず数々のヒットゲームアプリを生み出す。
創業からこれまでの変遷について教えてください。
創業のきっかけからお話すると、私は新卒でサイバーエージェント社の子会社に入社し、法人営業やメディアバイイング、新規事業開発、アドテク、アプリ開発など様々な経験を積んできました。その後退職し、一時期ノマドワーカーとして独立してアプリ開発をしていました。しかし、創業社長との再会を機に、再び組織で働くことを決意し、株式会社東京通信(現株式会社東京通信グループ)を創業しました。
独立当時は、スマートフォン向けアプリ市場の成長期にあったことから、その分野で事業を展開し、個人でプレーヤーとして活動していました。これを、法人格でも実現しようと思い、同じ市場で戦える組織を作ることを目標に当社を設立しました。その後、創業5年で上場を果たしましたが、当初から上場を目指していたわけではなく、組織の成長と共にファイナンスやガバナンスを含めて正しい経営を行いたいという思いから、上場を目指しました。上場後は、コーポレートメンバーを増員し、順調に事業を展開しています。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
私が深い感銘を受けた書籍は、「THE VISION あの企業が世界で成長を遂げる理由」という本です。この本を選んだ理由は、私が東京通信を上場させるための道筋を示してくれたからです。社外取締役の方から薦められて読んだこの本は、ビジネス成功のためのヒントが詰まっており、まさに私のビジネスにおけるターニングポイントと言える1冊となりました。
内容としては、主に「企業のビジョン策定方法」や「なぜビジョンが必要か」という背景について詳しく解説されている本です。特に、大手を含む他社のビジョン策定事例まで紹介されていて、それぞれのビジョンがどういう意図で作られて、対外的にはどう評価されているのかまで理解することができるので、とても興味深かったです。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
この本に出会うまでは私自身、企業理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について軽んじる傾向にありました。というのも、叶っていないことを語ったり、理想を大っぴらに広げることは、恥ずかしいことだという認識がありました。しかしこれは大きな誤解で、あるべき姿や未来像を外部に発信することは非常に重要で、自身も経営理念や方針に対して、しっかりとした軸を持つことが大切だとこの本から学びました。また、社内における方向性を設定し、それを全社員に明確に伝えることで、会社全体が共通の目標に向かって努力できるということもこの本は教えてくれました。
また、この本から得た経験や考え方を通じて、外部からの評価にも繋げることができました。私たちがビジョンを策定し、それを外部に発信したことで、私たちの会社が「どのような価値を提供しようとしているのか」、「何を目指しているのか」を伝えることができました。さらに2年に一度、MVVの見直しを実施する機会を設けて、時代や会社の目指すべきところに合った言葉選びができているのかを確認するようにしています。これにより、外部の方々が私たちの事業やサービスに対する理解を深め、信頼を築くことができれば良いと思います。
さらに当社では事業部やその中のセクション、職種単位でもMVVを設定しています。特にミッションやバリューに関してはボトムアップで設定することで、日頃の業務における意思決定や行動に直結させることができ、最適なリソース配分を行うことができます。このように、本から学んだビジョンを大切にするという考え方は、私個人だけでなく当社全体に根付いている文化となっています。
経営において重要としている考え方を教えてください。
私が経営において特に重視していることはコンセプトワークです。これはどういうコンセプトを選ぶかを意味するのではなく、そのコンセプトは「共感をうむのか」、「誰もが普遍的に同じように受け取れるのか」が重要だと考えています。
また、そのコンセプトも結局は人がどう感じるかが重要で、つまり受け取る社員の存在が重要になります。そのため、コンセプトを理解することができる人材の採用も非常に重要だと考えています。同時に、社員が自分の役割を理解し、その役割を通じて自分らしさを発揮できるような環境を整備し、個々の可能性を最大限に引き出すことも重視しています。そのために、私たちは社員一人一人に対する採用や教育、育成に大いに投資し、それぞれの才能と可能性を最大限に引き出すように努めています。
最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
当社は未来構想として、デジタルビジネス・コングロマリットを目指しています。つまり、我々がやりたいことを実現するため、多角的にデジタル事業を展開して時価総額を上げていきたいと考えています。この未来構想の実現のためには、スピード感があり、実行力が伴った組織が必要不可欠だと思うので、社員一人一人にはその環境を楽しんで、かつ個性を発揮して自分らしく挑戦するということを期待しています。そのための環境づくりや応援は惜しまず続けていくので、自分の仕事を通じて自己実現を図り、自身の成長を享受し、その成果を我々のビジョンに繋げてほしいと思っています。
- 氏名
- 古屋 佑樹(ふるや ゆうき)
- 会社名
- 株式会社東京通信グループ
- 役職
- 代表取締役社長CEO