2005年入行。リテール企画部門・システム企画部門を中心に歩み、非対面チャネルの企画開発プロジェクトを経験。インターネットバンキングや、スマートフォンアプリ、個人ローンを中心とした各種Web完結 サービスを企画・開発。また、当行のブランドスローガン制定等の業務にも携わる。2022年4月より経営企画部IT戦略室に異動し、現在、銀行の IT 戦略の改定やITガバナンス・IT投資・DX人材育成等を担っている。
1993年入行、営業店に配属されたのち、システム部門に異動。20数年在籍の間、勘定系システムの開発を経て、企画、運用部門と、一通りの業務を経験。その後、ITコンサルティング業務に携わることになり、現在に至る。今までのプロジェクト管理やITガバナンス、ベンダーコントロール、情報セキュリティなどの経験や知識を活かして、地元企業の課題解決のサポートを行い、地域のDX推進の一助となるよう取り組んでいる。
2011年の入行後、和泉寺田支店と平野支店でのリテール担当、住吉支店と岸和田支店での法人担当を経て、2022年にキャリアチャレンジ制度を活用し営業支援部 IT コンサルティングデスクに異動。IT コンサルティングデスクでは大企業や地元優良企業のお客さまに対し、経営課題解決に向けITを活用したコンサルティング支援に従事。
DXに関する取り組み
ー DXに関する取り組みについて教えてください。
経営企画部 IT戦略室 室長(取材当時、現営業支援部ITコンサルティンデスク部長代理)上野 祐嗣様(以下、役職・敬称略):当行のDXにおける変遷からご説明させていただきます。当行は、1895年の設立以来、1世紀以上にわたってより多くの地域の人々に貢献することをめざし、地域社会に密着した営業活動を通じて、業容の拡大と金融サービスの向上に努めてまいりました。
銀行はサービス業でありますが、各銀行とも古くから顧客サービスの向上、事務コスト削減等を目的に、IT化に取組んで参りました。弊行としても、特に1985年に紀陽ソフトウエアサービス株式会社(現、紀陽情報システム株式会社)を設立、1990年にケイ・アンド・ユー・ソフトウエア株式会社(2社が合併し現、紀陽情報システム株式会社へ)を設立する等、技術革新と併せて業容を拡大し、金融向けシステム・自治体向けシステム等の開発と支援を通じ、知見と経験を蓄積してきました。
直近では第6次中期経営計画の下で、2021年7月「デジタルストラテジー」を公表。「DX推進による価値共創の実現」をテーマに掲げ「銀行業の高度化」・「地域のDX推進」・「高度化人材の育成・確保・展開」をビジョンとして設定し取り組みを加速しています。
その取り組みの背景
ー 非常に長い歴史があり、地元に愛されている銀行だと感じます。IT分野に力を入れてきた背景や現在の取り組みについて教えてください。
上野: 当行がIT分野に注力する背景には、「システムを内製」している歴史があります。基幹システムを共同化している銀行とは異なり、当行は長きに亘り、自身の手でアプリケーションを開発する「自営」化を進めてきました。
また、IT分野への投資額も大きく、ノウハウが蓄積している企業として、地域にノウハウを還元しようということで、2019年4月より「ITコンサルティング」業務を開始しています。現在、紀陽銀行および紀陽情報システムが連携し、お客様のITにかかる課題解決に努めています。
ー BIPROGY様との提携のきっかけや取り組みについて教えてください。
上野: BIPROGY様とは、オンラインシステム稼働の時からのお付き合いになります。その後、長年のお付き合いの中で、強いパートナーシップを築いてきました。BIPROGY様の特長は、新たな技術に積極的にチャレンジされることです。具体的には、私どもの基幹系システムをWindows勘定系にオープン化したのは2010年ですが、これも銀行システムとしてかなり早い取り組みでした。また、2022年の10月には基幹系システムをクラウドに移行するプロジェクトもご一緒させていただいています。
地域との取り組みについて
ー 地域との関係性もこれまでしっかり作られてきたかと思いますが、地域企業の課題には、どのようなものがありますか。
営業支援部 ITコンサルティングデスク 主任 小林 達也(こばやし たつや)様(以下、役職・敬称略): 地域企業のIT化に関してはまだまだ課題が多くあります。 特に地域企業に「IT化のノウハウを保有している人材が少ない」点が大きな課題となっています。「我々が持っているIT化へのノウハウを地域企業に提供できないか」という視点で、地域企業に対する様々な取り組みを実施しています。
ー お客様へITコンサルティングサービスを提供するには高いノウハウが必要だと思いますが、具体的にはどのようなサービスを提供されているのでしょうか。
小林: システム化計画の策定・ITガバナンス構築・システム導入等のコンサルティングを実施しています。行内での実際の取組内容をノウハウとして、地域企業へ共有・提供しています。
一方で人材教育の観点では、弊行としても教育体制の整備はまだまだ足りていない部分があるため、中途採用で有識者を採用し、コンサルティング業務の高度化を図るとともに、行員に対してもコンサルティングの基礎やファシリテーション能力向上等、そのノウハウを浸透させ、スキル向上に努めています。
デジタル戦略について
ーデジタル戦略における現状の課題について教えてください。
上野: 銀行業の高度化においては、2022年10月に基幹系システムをパブリッククラウドであるMicrosoft Azureに移行しています。その結果、今後の当行が実現したい様々な顧客サービスや地域との連携等において、活躍する柔軟なシステムの下地が出来上がりました。
今後、その柔軟な基幹系システムを地域のお客様に対し最大限活かすための「デジタル戦略のスケールアップ」が必要となってきます。
営業支援部 ITコンサルティングデスク 調査役 岩中 昭典様(以下、役職・敬称略): ITコンサルティングにおいては、現在はDXが求められている時代ですが、各企業には経営に関する優先順位があります。基本的にはIT化は取り組まなければならない課題として認識されているものの、システム導入には相応の費用が必要であり、一方で効果が目に見えにくい部分もあります。
また、実際にITコンサルティング支援に至るまでの過程には時間を要することもあり、個社ごとの状況を捉えたうえで地道にやっていく必要があると思います。
ーITコンサルティング事業の強みについて教えてください。
岩中: 地域の金融機関らしく、お客様に寄り添った伴走型支援であることです。加えて、金融機関としてこれまで培ってきたお客様との信頼関係も大きな強みです。
他行は、ITコンサルティングを業務効率化のために提案していることが多くみられますが、当行は紀陽情報システムと連携することでシステム導入も含めた支援をしており、問題や課題の抽出や優先順位付けなど、他行ではあまり取り組んでいないことを伴走型支援を通じて提供しています。
ーそれ以外の成果についても教えてください。
上野 : 銀行業の高度化では、前述した基幹システムのクラウド化以外では、個人のお客様向けのスマートフォンアプリについて、既に29万人ものお客様にご利用いただいております。
加えて、銀行窓口の業務システムいわゆる「窓口タブレット」も我々で内製開発しました。業務を熟知しているからこそ実現できる工夫を盛り込んでおります。
また、自治体と連携したDX推進にも力を入れています。具体的には、和歌山県や堺市から業務を受託し、地元企業の皆さまが自社のデジタル化に対する現状と課題を把握することで、デジタル化による企業変革の必要性と今後の推進方針を認識する機会を提供する「デジタル経営診断」を実施しています。
今後の展望
ー 御行におけるDX推進について今後の展望をお聞かせください。
上野: 現在、DX推進の指標であるデジタルストラテジーのバージョンアップに取り組んでおります。基本的には従来からの取り組みを継続拡大していく予定ですが、銀行・紀陽情報システムにおける自治体様との連携を強化し、更なる地域活性化の一翼を担っていけるよう尽力してまいります。
- 氏名/役職
- 上野 祐嗣(うえの ゆうし)経営企画部 IT戦略室 室長(取材当時、現営業支援部ITコンサルティングデスク部長代理)/
岩中 昭典(いわなか あきのり)営業支援部 ITコンサルティングデスク 調査役/
小林 達也(こばやし たつや)営業支援部 ITコンサルティングデスク 主任 - 会社名
- 株式会社紀陽銀行