企業名アイキャッチ
(画像=TOKYO BIG HOUSE株式会社)
宮本 久美子(みやもと くみこ)
TOKYO BIG HOUSE株式会社 取締役兼人事責任者
学習院大学文学部卒業。2004年リクルートジョブズ入社。求人広告のコンサルティング営業担当として延べ1000社以上のコンサルティングを担う。「関東No1.営業」受賞実績あり。
2012年に不動産売買・企画設計・建築を行うTOKYOBIG HOUSE株式会社に転職。人事担当として当時6名の組織を数年で100名規模に急拡大。
2019年にはビジョン創造室を立ち上げ、ビジョン浸透や組織風土構築に取り組み、「働きがいのある会社ランキング8年連続受賞」「健康優良企業”銀の認定”」「健康経営優良法人ブライト500」などを取得。
2020年取締役に就任し、人事責任者を兼任。プライベートでは4児の母。
TOKYO BIG HOUSE株式会社
「TOKYO BIG HOUSEは住まいを通して人が持つ大きな可能性に貢献します」を経営理念に掲げ、千葉県をはじめ、関東を中心に年間約150棟の『新築戸建住宅』を供給しています。
累計供給棟数は1500棟を超え、オリジナルブランド「Tresure-BOX」や、単身者向けの規格住宅などを展開。 住まいを通して「こんな人生があるとは思わなかった!」という驚きや感動をお客様に提供しています。

貴社のこれまでの事業変遷と組織拡大の沿革

当社は現在18期目に入り、ここ3年間を第二創業期と位置づけています。私が入社したのは2012年で、その頃から新卒や中途採用を大量に行い、2017年には社員数が100名を超え、売上高も50億円に迫る勢いで急激に会社が拡大しました。

しかし、その過程で社内で混乱が起きたり、問題が発生したり、お客様とのトラブルが増えたりする事態が発生しました。 そこで、一度立ち止まり、体制を見直すことになりました。また、コロナの影響も受け、一部上場企業のグループに2年間参画させていただくことになりました。 現在の従業員数は40名で、会社が大きく変革期を迎えたタイミングで離れた社員もいました。

現在は売上高が31億円で、今期は37億円を目指し、次の段階で50億円に到達したいと考えています。このように、第二創業期として再び成長を目指している状況です。

企業名アイキャッチ
(画像=TOKYO BIG HOUSE株式会社)

これまでぶつかってきた組織課題と乗り越えるための施策

2017年に従業員が一気に100名になった際、組織の問題が発生しました。そのため、組織の形をしっかり作っていく必要があるという話が出ました。急速に採用が進んでいたことから、採用のミスマッチが多く、離職率も高かったです。また、メンバーが入れ替わってもスピードを止めないという考え方で、ビジョンの浸透が十分ではありませんでした。その言葉はみんな言えるものの、本当に気持ちの中で浸透しているかは別だと感じました。

また、当時は採用の計画がなかったことも問題でした。イケイケで稼いでいる時期だったので、非生産人員の採用もバランスが悪くなっていました。営業の人員が50名で、内勤が30人いるという状況で、組織が変な形になっていたと感じました。

さらに採用面以外にも、報酬の制度設計が問題でした。営業会社である私たちは、報酬をどうやって営業に還元していくかという点で、短期的な視点のものになっていました。従業員がビジョンにミスマッチなく入社したとしても、当時の報酬制度の中に入れば社員は短期的な視点になってしまっていました。長期的に会社が進んでいきたい方向性と異なり、報酬制度やインセンティブ制度を短期的に使っていたと今では思います。

今の時代に必要な従業員との向き合い方

私は、少しありきたりかもしれませんが、誠実に向き合うことが大切だと考えています。その誠実さの具体的な方法として、会社の数字を従業員と共有することが重要だと思っています。 売上高や一件あたりの利益、従業員の販管費など、経営判断に必要な情報を伝えることはもちろん、部署ごとの経費や車が一台増えるといくら経費が上がるかなど、細かい情報も含めて共有していくことが大切です。ただ、数字だけを見せても従業員には理解されにくいので、わかりやすく伝える工夫ももちろん必要です。

ただ、言葉だけで「大事に思っています」と伝えるのではなく、経営者と同じ世界観を共有することが信頼関係の土台となり、絶対に必要だと考えています。 その結果、現在の会社の風土や文化は、過去とは少し違った形で、ポジティブに動いています。それは、経験を経てきた今いる社員たちが強いことが大きな要因になっていると思います。

従業員の価値(人的資本)向上に向けて取り組んでいることやこれから取り組もうと思っていること

私たちは人的資本の向上を大切にしています。これには幅広い取り組みが含まれていますが、特に注力しているのは、従業員が経営者の感覚を持つことです。従業員が経営者目線で業務にあたれれば、これからの時代で必要になるフレキシブルさを身につけることができると思います。そのために、経営数字を公開していくこともそうですが、その際に経営陣が何を考えているのかを伝えて、それを聞いた従業員がどのように感じるかをヒアリングして、対話の機会を設けています。

具体的な施策ベースでは、次世代リーダー育成研修というものを行っており、現在は三期生が活躍しています。この研修では、各部署から1人ずつ、計7名ほどの新卒3年目以降の従業員に参加してもらい、経営課題に対して解決策を考えて発表し、それに経営陣がフィードバックを行うという、経営者の視点を身につけるための取り組みとなっています。さらに、今年からは会社主導で外部研修への参加も積極的に推進しており、社員により多くの経験を積ませることを目指しています。

これらの取り組みから、経営者と部長クラスが集まる執行部会に、この次世代リーダー育成研修を受けた3人のメンバーが参加しています。参加メンバーからは、研修がなければ自分は執行部会にはいなかった、参加したいとも思わなかったという感想も出てきて、研修をやる意義を感じました。今後も四期生、五期生とメンバーを増やしていきたいと考えています。

さらに、研修以外の取り組みで言うと、当社は期ごとに従業員向けのハンドブックを作成しており、この中に従業員の必読図書をまとめています。この必読図書は、新入社員からリーダーになるにつれて、少しずつ難易度が上がっていくようになっていて、中にはZUUさんの「鬼速PDCA」も含まれています。また、当社は等級制度を導入しており、昇進の際には、それぞれ等級ごとの必読図書の感想文を書かなければ昇格できないというルールがあります。これにより、従業員がしっかりと書籍を読んでいるかどうかを確認することができます。この施策は、単に従業員に本を読ませるためではなく、当社内での共通言語の構築や経営視座の共有に役立っており、今後も従業員の負担にならない範囲で続けたいと思います。

従業員へ期待すること

当社はもともと日本一売上高が高い不動産業を目指していましたが、現在は撤回し、日本一従業員の収入の高い不動産業を目指しています。 当社は決して大きい会社ではないので、この会社を選んで入ってくれた従業員には感謝をしています。 この感謝を還元するために、彼らが入社前に思っていた以上のものを得られる人生にしてもらえるよう、多くを稼いでほしいと願っていますし、この会社でしかできないような経験を積んでいってほしいと考えています。

以上のように、私たちの会社では従業員一人一人に対して高い期待を持っており、彼らが自分の人生をより良くするために会社を活用してほしいと願っています。 また、会社側も従業員のためにバックアップし、共に目標に向かって進んでいきたいと考えています。

氏名
宮本 久美子(みやもと くみこ)
会社名
TOKYO BIG HOUSE株式会社
役職
取締役兼人事責任者