この記事は2024年8月15日に「The Finance」で公開された「金融DX最前線:メガバンクDXの最新取組を紹介」を一部編集し、転載したものです。


本記事ではメガバンクのデジタルトランスフォーメーション(DX)に焦点を当て、その取り組みや影響、課題、そして今後の展望について詳しく解説します。

目次

  1. メガバンクとは?
  2. メガバンクが取り組むDXの事例
    1. 三菱UFJ銀行
    2. 三井住友銀行
    3. みずほ銀行
  3. メガバンクのDXがもたらす影響
    1. 顧客体験の向上
    2. 業務効率の改善
  4. メガバンクのDX推進における課題
    1. セキュリティとプライバシーの確保
    2. 従業員のスキルアップ
    3. 既存システムとの統合
  5. 今後のメガバンクのDX展望
    1. AIとビッグデータの活用
    2. フィンテック企業との協業
    3. 持続可能なDX戦略の構築

メガバンクとは?

金融DX最前線:メガバンクDXの最新取組を紹介
(画像=Slowlifetrader/stock.adobe.com)

メガバンクとは、巨額の資産を持ち、国内外で広範な金融サービスを提供する大手銀行を指します。
日本においては、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三社がメガバンクとして挙げられます。個人向けから法人向けまで幅広い金融商品やサービスを取り扱っており、預金、融資、投資、保険、為替取引など、多岐にわたる金融業務を行っています。

メガバンクの特徴として、都市部を中心に広がる支店網や、高度なITインフラ、国際的なネットワークの存在が挙げられます
これにより、国内外の経済活動に大きな影響を及ぼし、金融市場においても重要なプレーヤーとして機能しています。特に、企業向けの融資やプロジェクトファイナンスなど、大規模な資金調達が必要な場合において、その存在感は一層際立ちます。

また、メガバンクは、金融業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)においても先駆的な役割を果たしています。
DXとは、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルを革新し、競争力を高める取り組みを指します。メガバンクは、顧客の利便性向上や業務効率の改善を目指して、AIやビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの先進技術を積極的に導入しています。
こういった取り組みは、単に技術導入にとどまらず、企業文化や組織構造の変革とも密接に関連しています。

メガバンクはその規模と影響力を背景に、国内外での金融活動を支えつつ、デジタル技術を駆使した革新を進めることで金融業界においても重要な役割を果たしています。

メガバンクが取り組むDXの事例

三菱UFJ銀行

MUFGは、デジタル技術を活用して業務プロセスの効率化とビジネスモデルの変革を加速させ、金融・デジタルプラットフォーマーを目指しています。
2021年4月に設立されたデジタルサービス事業本部は、顧客軸と機能軸の二つの側面から全社的なデジタルトランスフォーメーションを推進しています。顧客軸では、国内の法人や個人顧客向けに非対面取引を強化し、機能軸では各事業本部の成長戦略と構造改革を支援しています。
顧客チャネルの最適化として、デジタル完結型の次世代営業店「MUFG NEXT」やグループ共同店舗「MUFG PLAZA」などを展開し、お客様のニーズに応じた多様な取引チャネルを提供しています。これにより、顧客満足度の向上と業務効率化を同時に実現しています。

また、外部事業者との連携を通じて新たなデジタル金融サービスの開発にも取り組んでいます。例えば、NTTドコモとの業務提携により、デジタル口座サービスの提供やデータを活用した新事業の開発を進めています。

さらに、「MUFG Digital アクセラレータ」プログラムを通じてスタートアップ支援を行い、オープンイノベーションを強化しています。海外では、AIやデータを活用した新たなビジネスモデルの構築も進めており、グローバルな金融イノベーションをリードしています。

参照:MUFGホームページ「業務のデジタルシフトとビジネスモデル変革を加速」

また、2024~2026年までの中期経営計画を策定しており、デジタル技術の進展やクリーンエネルギーへの転換、価値観の多様化などの社会変化を背景に、「成長」を主軸に置いています。

計画の3本柱は以下の通りです:

  1. 成長戦略の進化:既存ビジネスの強化と新しい商品・サービス・チャネルの拡大を通じて成長を目指します。
  2. 社会課題の解決:サステナビリティ経営を強化し、環境・社会の持続可能性に貢献します。
  3. 企業変革の加速:カルチャー改革や人的資本の拡充、AI・データ基盤の強化などを通じて経営基盤を強化します。

これらの取り組みを通じて、MUFGは「世界が進むチカラになる」というパーパスの実現を目指し、ステークホルダーの期待に応えていく方針です。

参照:MUFGホームページ「経営戦略」

三井住友銀行

SMBCは、グループビジョンである「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」の実現に向けて、DXを積極的に推進しています。

DXビジョンとして、(1)情報産業化、(2)プラットフォーマー、(3)ソリューションプロバイダーの3つの方向性を定め、様々な取り組みを展開しています。

主な施策として以下が挙げられます:

  1. オープンイノベーションによる新サービス創出
  2. デジタルサービスの強化によるビジネス生産性向上
  3. IT活用による業務効率化
  4. データ活用のためのIT投資とシステム構築
  5. グループ・グローバルITガバナンスの強化
  6. サイバーセキュリティの強化
  7. デジタル人材の育成

具体的なサービスとして、法人向けには「Web21ライト」「Sustana」「Biz-Create」「Amulet」、個人向けには「SMBCダイレクト」「Olive」「デジタルセーフティボックス」「ファミリーネットワークサービス」などを提供しています。

推進体制としては、デジタル戦略部と法人デジタルソリューション部からなるデジタルソリューション本部を中心に、全社的にDXを推進。また、全従業員向けのDXスキル学習プログラム「デジタルユニバーシティ」を展開し、人材育成にも注力しています。

参照:SMBCホームページ「DXの推進」

2023〜2025年度中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」は、グローバルな環境変化に対応し、「質の伴った成長」を目指す方針を掲げています。

基本方針として、以下の3つを軸に据えています:

  1. 社会的価値の創造:「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」を重点課題とし、10のゴールを設定。
  2. 経済的価値の追求:「Transformation & Growth」をキーワードに、ビジネスモデル改革と海外重点領域でのフランチャイズ確立を推進。
  3. 経営基盤の格段の強化:「Quality builds Trust」を掲げ、ステークホルダーからの信頼獲得を目指す。

財務目標として、2025年度までにボトムライン利益9,000億円、ROCET1 8%、CET1比率10%程度を目指します。また、事業ポートフォリオの見直しによる資源配分の最適化や、国内ビジネスモデル改革、低採算アセットの削減などを通じて、資本効率の向上とレジリエントな業務運営の実現を図ります。

この計画を通じて、SMBCグループは経済成長に加え、社会全体や人々の持続的な豊かさ、すなわち「幸せな成長」への貢献を目指しています。

参照:中期経営計画

みずほ銀行

みずほフィナンシャルグループは、パーパスである「ともに挑む。ともに実る。」を体現するため、DXを積極的に推進しています。

顧客利便性向上のため、デジタルチャネル完結型サービスやパーソナライズされたマーケティングを展開。1,000億円のデジタル投資を計画し、顧客体験価値向上を目指しています。
特に「金融DX」「ESG(SX)」「Tech起点」の3領域を注力領域とし、Blue Labなどの新規事業開発組織や、外部パートナーとの連携を通じて、オープンイノベーションの創出に取り組んでいます。さらに、DX人材育成や意識改革にも取り組み、グループ全体でDXを推進しています。

具体例として、パナソニックとのEV充電料金決済システム共同開発や、八丈島におけるスマートアイランドプロジェクトなどが紹介されています。

参照:みずほフィナンシャルグループホームページ「デジタルトランスフォーメーション」

2023〜2025年度の中期経営計画では、「お客さま、社会の課題に対し、様々な挑戦を繋ぎ、新たな解を創造する3年間」を基本方針とし、サステナビリティを軸とした事業展開により経営資源を最大限に活用することを目指しています。

ビジネス面での注力テーマとして、以下の5つを掲げています:

  1. 「資産所得倍増」に向けた挑戦
  2. 顧客利便性の徹底追求
  3. 日本企業の競争力強化
  4. サステナビリティ&イノベーション
  5. グローバルCIBビジネス

また、経営基盤強化のため、企業風土の変革、人的資本の強化、DX推進力の強化、IT改革の推進、安定的な業務運営に取り組んでいます。

目標として、2025年度までに以下の達成を目指しています
・連結ROE:8%超
・連結業務純益:1~1.1兆円
・エンゲージメントスコア:65%
・インクルージョンスコア:65%

参照:中期経営計画

メガバンクのDXがもたらす影響

顧客体験の向上

メガバンクのDXは顧客体験を大幅に向上させ、多様なニーズに迅速かつ的確に応える仕組みを構築しています。

技術/サービス効果/利点
スマートフォンアプリやオンラインバンキング顧客はいつでもどこでも銀行サービスを利用可能。口座残高確認や振込、ローン申請が簡単に行える。
AIチャットボット24時間365日のカスタマーサポートが実現。迅速な情報提供とサポートが可能。
パーソナライズされたサービスビッグデータとAIを活用し、顧客のニーズに合わせたサービスや商品を提案。
ブロックチェーン技術取引の透明性と信頼性が向上し、迅速かつ安全な取引が可能に。
顧客フィードバックの収集と分析サービス改善に迅速に反映され、顧客満足度の向上に寄与。

これにより、顧客はより便利で信頼性の高い銀行サービスを享受できるようになっています。

業務効率の改善

以下のようなDX施策により、メガバンクは業務効率を大幅に改善し、競争力を強化するための基盤を築いています。

項目詳細効果
ペーパーレス化書類の管理や処理のデジタル化物理的なスペースや時間の節約、戦略的な業務への集中
AIやRPAの導入定型的な業務やデータ処理の自動化人為的なミスの減少、作業速度の向上
クラウドコンピューティング各部署間でのデータ共有情報の一元管理、迅速な意思決定、リモートワークの環境整備
業務プロセスの最適化デジタルツールを活用した業務フローの見直し無駄な工程の削減、顧客満足度の向上
データ分析の高度化ビッグデータの活用業務パフォーマンスのモニタリング、問題点の早期発見・改善

メガバンクのDX推進における課題

セキュリティとプライバシーの確保

膨大な顧客データを取り扱う金融機関にとって、デジタル化によるデータの漏洩や不正アクセスのリスクは無視できません。特に、クラウドサービスの利用が拡大する中で、外部からの攻撃や内部の不正行為を防ぐための対策が求められます。

具体的には、高度な暗号化技術の導入や、セキュリティプロトコルの強化を進めています。また、AIを活用した異常検知システムの導入も進められており、これによりリアルタイムでの脅威の監視が可能となります。さらに、ゼロトラストセキュリティモデルの採用も検討されており、これにより内部ネットワークでも信頼性を保証しない前提でのセキュリティ対策が強化されます。

ゼロトラストに関して詳しく知りたい方はこちらを参照:デジタル時代の必須!ゼロトラストとは?金融業界での活用事例

プライバシー保護の観点からは、GDPR(一般データ保護規則)や日本の個人情報保護法などの法令を遵守するための仕組み作りが不可欠です。顧客の同意を得た上でのデータ利用や、データの最小化原則に基づく運用が求められます。また、データの匿名化や仮名化の技術を駆使して、個人情報が特定されるリスクを低減する試みも進められています。

従業員の教育も重要な要素です。最新のセキュリティ技術や法令に関する知識を持つことはもちろん、日常業務におけるセキュリティ意識の向上も図らなければなりません。フィッシング詐欺やマルウェアへの対策として、定期的なトレーニングやシミュレーションが行われることが一般的です。

このように、メガバンクのDX推進におけるセキュリティとプライバシーの確保は、多岐にわたる対策と持続的な改善が求められる領域です。技術的な対策だけでなく、法令遵守や従業員教育を含む総合的なアプローチが必要です。

従業員のスキルアップ

DXにより新しいテクノロジーやシステムが導入されると、従業員がこれらを効果的に活用するためのスキルや知識を持つことが求められます。しかし、多くのメガバンクでは従来の業務プロセスやシステムに慣れ親しんだ従業員が多いため、新しい技術に対する理解や適応が難しいケースが少なくありません。

まず、従業員のスキルアップを図るためには、体系的な教育プログラムの導入が不可欠です。
内部研修や外部専門家を招いたセミナー、オンライン学習プラットフォームの活用などが含まれます。特に、AIやビッグデータ解析、クラウドコンピューティングなどの新技術に関する知識は、DX推進において重要な役割を果たします。これらのスキルを習得することで、従業員は新しい業務フローに迅速に適応し、効率的に業務を遂行することが可能となります。

従業員のスキルアップを継続的にサポートするための環境を整えることも重要です。
例えば、定期的なスキル評価やキャリアパスの明確化を通じて、従業員が自己成長を感じられる仕組みを構築することが重要です。また、柔軟な働き方を推進し、リモートワークやフレックスタイム制度の導入を進めることで、従業員が自己学習に時間を割けるようにすることも効果的です。

最後に、従業員のモチベーションを高めるためのインセンティブ制度も考慮する価値があります。
例えば、スキルアップに成功した従業員に対する報奨や昇進の機会を提供することで、学習意欲を引き出すことができます。

このように、従業員のスキルアップはメガバンクのDX推進において非常に重要な要素であり、これを成功させるためには多角的なアプローチが必要です。体系的な教育プログラム、継続的なサポート環境の整備、そしてインセンティブ制度の導入を通じて、メガバンクはDXの波に乗り遅れることなく、持続的な成長を遂げることができるでしょう。

既存システムとの統合

メガバンクは長い歴史を持ち、その間に構築された多様なシステムが稼働しています。こういったシステムは、資産管理から顧客情報、取引履歴まで多岐にわたるデータを取り扱っており、それぞれが異なる技術基盤の上に成り立っています。そのため、新しいデジタル技術やプラットフォームを導入する際には、既存システムとの互換性を確保する必要があります。

まず、既存システムが古い技術で構築されている場合、新しいシステムとのデータ交換や通信プロトコルが異なるため、データの移行や統合が困難です。これにより、業務プロセスの中断やデータの整合性が損なわれるリスクが発生します。また、システムの統合には大規模な投資が必要であり、コスト管理とROI(投資対効果)のバランスを取ることが求められます。

次に、複数のシステムが連携する際のセキュリティリスクも無視できません。新旧システムが連携することで、セキュリティホールが生じる可能性があり、これがサイバー攻撃の標的となるリスクがあります。したがって、セキュリティ対策の強化も統合プロセスの一環として欠かせません。

さらに、既存システムの運用と新しいデジタル技術の導入を並行して進めるためには、専門知識を持つ人材の確保と育成が必要です。従業員が新しいシステムを理解し、効果的に運用できるようになるまでには時間がかかります。そのため、段階的な導入とトレーニングプログラムの整備が求められます。

実際に、みずほ銀行は2021年2月から9月にかけて、計8回のシステム障害を起こしました。これにより金融庁から業務改善命令を受け、約200項目にわたる改善策に取り組んできました。2024年1月、金融庁から定期報告が不要となり、業務改善命令が事実上解除されました。みずほは障害防止策、障害発生時の対応策、システムの保守・運用に携わる人材や組織の強化などを実施しています。また、企業風土改革にも取り組み、心理的安全性の向上や風通しの良さを目指しています。

総じて、メガバンクのDX推進における既存システムとの統合は、技術的な課題だけでなく、コスト、セキュリティ、人材育成など多方面にわたる問題をクリアする必要があります。これらの課題を克服するためには、戦略的な計画と綿密な実行が不可欠です。

今後のメガバンクのDX展望

AIとビッグデータの活用

AIは、膨大なデータを迅速かつ正確に解析し、予測モデルを構築する能力があります。これにより、顧客の行動パターンを分析し、個別ニーズに応じたサービス提供が可能となります。例えば、個々の顧客に最適な金融商品を提案するパーソナライズドマーケティングや、信用リスクの評価を高度化するクレジットスコアリングなどが挙げられます。

ビッグデータの活用もまた、メガバンクにとって革新的な変化をもたらします。膨大な取引データや顧客データを統合し、リアルタイムでのデータ解析を行うことで、迅速な意思決定が可能となります。これにより、市場の変動やリスクを即座に察知し、適切な対応策を講じることができます。

さらに、AIとビッグデータを組み合わせることで、詐欺検出システムの精度が飛躍的に向上します。異常な取引パターンをリアルタイムで検出し、即座に対策を講じることが可能となります。これにより、顧客の資産を守り、銀行の信用を維持することができます。

また、AIは業務の自動化にも大いに寄与します。例えば、チャットボットを活用した顧客対応や、ローン申請の自動審査など、単純作業をAIに任せることで、従業員はより付加価値の高い業務に集中することができます。これにより、業務効率が劇的に向上し、コスト削減にも寄与します。

これらの取り組みによって、メガバンクは顧客満足度を向上させるだけでなく、競争力を強化することができます。AIとビッグデータの活用は、メガバンクのDX推進において避けて通れない重要なステップであり、今後さらにその重要性が増していくことは間違いありません。

フィンテック企業との協業

フィンテック企業は、革新的な技術と迅速なサービス提供を強みとしており、これによりメガバンクが持つ従来の金融サービスを大きく進化させることが可能です。具体的には、以下のような協業が期待されています。

技術/分野効果/メリット
ブロックチェーン技術取引の透明性とセキュリティの向上、取引コストの削減、リスク管理の強化
デジタルペイメント多様な決済手段の提供、顧客満足度の向上
AIや機械学習高度なデータ分析、パーソナライズされた金融サービスの提供
ロボアドバイザー最適な投資プランの自動提案、新たな顧客層の獲得
API経由のシステム連携外部サービスとの統合、包括的な金融エコシステムの構築

以上のように、フィンテック企業との協業は、メガバンクがDXを推進する上で多岐にわたるメリットをもたらします。これにより、メガバンクは競争力を強化し、未来の金融サービスを先取りすることができるでしょう。

持続可能なDX戦略の構築

持続可能なDX戦略の構築は、単なる技術導入にとどまらず、企業の長期的な成長と持続可能性を見据えた取り組みが求められます。メガバンクが持続可能なDX戦略を構築するためには、以下の3つの要素が重要です。

  1. 組織文化の変革:DXを成功させるためには、技術的な革新だけでなく、組織全体の文化変革が必要です。トップダウンのリーダーシップだけでなく、全従業員がDXの意義を理解し、積極的に参加できる環境を整えることが重要です。これにより、変化に対する抵抗を減らし、スムーズな移行が可能となります。
  2. 持続可能な技術選定:選定する技術は長期間にわたって利用可能であり、将来的な技術進化にも対応できるものであることが求められます。クラウドコンピューティングやオープンソースソリューションなど、柔軟性と拡張性に優れた技術を採用することで、変化する市場や規制に迅速に対応できる基盤を築くことができます。
  3. ステークホルダーとの連携:DXはバンク内部だけでなく、顧客やビジネスパートナー、規制当局などの外部ステークホルダーとの連携も重要です。フィンテック企業や他の金融機関との協業を通じて、最新の技術や知識を取り入れつつ、顧客ニーズに即したサービスを提供することが求められます。また、規制当局との密なコミュニケーションを維持することで、法令遵守とイノベーションの両立を図ることが可能です。

以上の要素を統合的に取り入れることで、メガバンクは持続可能なDX戦略を構築し、長期的な競争優位性を確保することができます。持続可能なDXは、単なる技術革新ではなく、全社的な取り組みとして位置づけることで、その真価を発揮します。


[寄稿]TheFinance編集部
株式会社セミナーインフォ