新しい資本主義の担い手であるベンチャー企業。政府からユニコーン100社創出が宣言されたこの状況下において、「現在の成長企業・ベンチャー企業の生き様」は、最大の関心事項と言える。ジャンルを問わず、一社のトップである「社長」は何を思い、どこにビジネスチャンスを見出しているのか。その経営戦略について、これまでの変遷を踏まえ、様々な角度からメスを入れる。

株式会社SANN
(画像=株式会社SANN)
馬男木 由規(まなぎ ゆうき)――代表取締役
1999年に株式会社フルキャストへ入社。複数の知人と企業を決意し、2002年に医療系インターネットサービスを展開する会社へ創業役員として入社。取締役営業本部長として国内外の製薬メーカーへの営業活動に従事する。しかし「起業した感」を得られず、2005年9月に、業界を縛らずゼロからチャレンジできる会社を目指して株式会社SANNを設立。代表取締役就任。
株式会社SANNは、『企業と社会の課題を人とテクノロジーの力で解決する』をミッションに掲げ、デジタルマーケティングを中心にした企業課題へのソリューションや、福祉事業を中心にした社会課題へのソリューションを展開しております。近年では、障がい者グループホームをする中で見えた課題をテクノロジーの力で解決したいと福祉Tech事業を立ち上げ、障がい者グループホームに特化したクラウド型の業務支援サービス「ケア・オール」の開発・提供も行っております。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. ブレイクスルーとなった出来事や飛躍的な成長を遂げた秘訣
  3. 経営判断をする上で重要視している点
  4. 事業拡大の未来構想
  5. ZUU onlineユーザーへ一言

これまでの事業変遷について

——創業からこれまでの事業変遷についてご説明いただけますでしょうか?

株式会社SANN代表取締役・馬男木由規氏(以下、社名・氏名略): まず、私は若い頃から起業家になりたいと思っていて、就職活動する時も将来必ず起業すると面接で言っていました。そんな時、フルキャストという会社が私の意志を汲んでくれて、新規事業部に入れてくれました。そこで3年ほどビジネスを学びました。その後、25歳の時に臨床試験に参加してくれる方をオンラインで募集する会社を立ち上げました。そして、28歳で株式会社SANNを立ち上げました。

最初に取り組んだ事業は人材派遣業でした。順調に業績は推移していましたが、リーマンショックが起こり、売り上げが急激に減少しました。それをきっかけに、ITサービスや広告サービスなど、リスクを分散させるために新たな事業を立ち上げました。その後、福祉事業に取り組むようになりました。福祉の産業は市場規模が大きく、成長産業であることから、私たちの力で社会に貢献できると考えました。

福祉事業では、障がい者の方々の就労支援やグループホームの運営など、様々な事業を展開しています。現在は、福祉系のSaaSビジネスを立ち上げ、障がい者グループホームの運営を効率化するサービスを提供しています。今後は、この事業をさらに拡大していく予定です。

——現在の売上構成比は、デジタルマーケティング事業が売上高で一番多いのでしょうか?

馬男木: はい、そうです。デジタルマーケティング事業が一番多く、次に人材事業と福祉事業が続いています。

ブレイクスルーとなった出来事や飛躍的な成長を遂げた秘訣

——御社にとってブレイクスルーの転換点となったポイントを挙げるとするとどこになりますか?

馬男木:リーマンショックやコロナといった社会的情勢によって大きなダメージを受けた時ですかね。当時はとても苦しかったですが、ピンチになった時に事業を切り返していくことでより強くなっていったというのは体感としてあります。

——ピンチをチャンスにうまく切り替えていくことが大事なんですね。では、御社が成長を遂げた秘訣や一番の強みと言えるものはどこになりますか?

馬男木:私たちはDNAとして、チャレンジやプロフェッショナリズム、チームワークを掲げて、一貫して大切にしてきました。挑戦を続けることで成功は約束されませんが、成長は約束できると考えています。常に新しいことにチャレンジしていくことが重要だと思っています。

今ある事業が十年後にはなくなっていても構わないと思っていて、その代わりにその時代のトレンドにあったビジネスに転換できるかどうかがポイントだと思っています。柔軟性が未来を作っていくのだと思います。

経営判断をする上で重要視している点

——経営判断をする上での軸となるようなものがあれば、お伺いしてもよろしいでしょうか?

馬男木: まず戦略的な方法で言うと、最上段にあるのは我々に関わる全ての方が豊かになっていただけるかということです。社員にも物心共に豊かになっていただきたいと考えています。

その次でいえば、小銭を拾うビジネスよりも、しっかり育てられるビジネスで、どれぐらいの規模に育っていくかという観点が重要です。

また、三方良しというのは絶対的なので、我々だけでなく、お客様や社会にとっても良いビジネスであることが大切です。お金だけ儲かればいいというビジネスは全くやる気がないですね。

働くことによって得るものはお金と経験だと思いますので、新しい経験ができるとか、新しいチャレンジができるというのも大きな経営判断の軸だと思います。

株式会社SANN
(画像=株式会社SANN)

——やはり挑戦というところは大事にされているのですね。

事業拡大の未来構想

——今後の未来構想について、お聞かせ願えますでしょうか?

馬男木: 全体の戦略としては、ホールディングス化し、事業会社をどんどんカンパニー制にしていくことを考えています。私はビジネスマンの集大成として、社長を務めることが最適だと考えています。グループ全体として成長させていく一方で、個々の事業体においても、数字の成長が絶対ではないビジネスもあってもいいと思っています。

我々のグループでは、社長になっていろんなことにチャレンジできる環境が整っているので、100社100人の社長ができたら面白いと思っています。

IPOについては、単一事業の方が上場しやすいかもしれませんが、上場後にM&Aでいろんな事業を買収されることも考えられます。そのため、我々は先立っていろんな事業会社を作っておき、社長を経験することで一気に成長できるので、人材が豊富な会社になっていくと考えています。

——海外展開についてもお考えでしょうか?

馬男木: 福祉事業を海外に輸出したいと考えています。デジタルマーケティング事業部では、すでにベトナムで広告の運用を始めています。今後、ベトナムに拠点を設けて、デジタルマーケティングや福祉事業の可能性を含めて進出する準備を進めています。

——IPOと海外展開は同時に進めていかれるのでしょうか?

馬男木: 同時に進めていく予定ですが、大きな成長エンジンになるという意味では、2、3年かかっていくと思います。それでも、将来的にインパクトを出せる事業になっていくと考えています。

ZUU onlineユーザーへ一言

——メディアユーザーへ向けて一言お願いいたします。

馬男木: “福祉Tech”や”福祉テック”という言葉で検索していただくと、我々が競合している他社はあまりいません。福祉の産業をテクノロジーで変革し、利用者や働く皆さん、関わる家族の方々の生活を豊かで便利にしていくことを目指しています。福祉Techを、大きな業界を変える、社会を変えるサービスにしていきたいと考えていますので、ぜひ注目していただけると嬉しいです。

——学生の方々に向けてのメッセージもいただければと思います。

馬男木 : 学生の皆さんには、我々の会社が成長できる土壌やチャンスがある環境だと感じてほしいです。100人の社長を作るという目標に向かって、ポストが無尽蔵に出てくる会社です。これからの日本を支える若者にとって、学びの多い時代だからこそ、自分が何をしたいかという思いを持ってチャレンジできる会社で働くことが大切だと思います。

我々の会社へ、自分探しに来ていただいても全然大丈夫です。入社後に希望職種が変わることもあるでしょう。我々は様々なキャリアプランや成長ステージを用意していますので、ぜひチャレンジしてみてください。

——社会貢献や働く意味を求める若者にとって、株式会社SANNはどのような魅力があると思いますか?

馬男木 : 我々の会社は三方良しを掲げており、公益性も重視しています。我々が事業を行うことで、売り手も買い手も喜び、社会に貢献し、未来につながることを目指しています。そういった意味で、社会貢献にアンテナを持つ若いチャレンジャーには向いている会社だと思います。

——本日はお時間いただきありがとうございました。

氏名
馬男木 由規(まなぎ ゆうき)
社名
株式会社SANN
役職
代表取締役

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