株式会社エイチーム
(画像=株式会社エイチーム)
林 高生(はやし たかお)――代表取締役社長
1971年、岐阜県土岐市出身。1997年に個人事業としてエイチームを創業、ソフトウェアの受託開発を開始。2000年に有限会社エイチームを設立し、代表取締役社長に就任。2012年4月に東証マザーズ上場後、史上最短の233日で東証一部への市場変更を実現。
エイチームは、インターネットを軸に多様な事業を展開するIT企業として、日常生活に密着した比較サイト・情報メディア・ツールなどの様々なウェブサービスの企画・開発・運営、法人向けデジタル集客支援に関する事業支援サービスを展開する「メディア・ソリューション事業」、多様なジャンルのゲームやツールアプリケーションを運営する「エンターテインメント事業」、複数の商材を取り扱う「D2C事業」を運営しています。現在は、売上向上支援カンパニーへの変革を図るべく、M&Aを中心とした成長戦略を推進中。

目次

  1. 社長のこれまでの変遷について
  2. 読んだ書籍をどう仕事に生かしてきたのか
  3. 社長が経営において重要としている考え方
  4. 思い描いている未来構想や社員への期待

社長のこれまでの変遷について

——社長のこれまでの人生についてお伺いしたいと思います。まず、これまでの変遷をお聞かせください。

株式会社エイチーム 代表取締役社長・林 高生氏(以下、社名・氏名略)林 私の父親は有名な陶芸家でしたが、40歳でがんにより亡くなりました。その時、私は9歳でした。父の死後、家計は厳しくなり、私はお金を稼ぐことの重要性を強く感じるようになりました。小学5年生の時にコンピューターに出会い、ものづくりが好きだったこともあり、プログラミングでゲームを作ることに夢中になりました。

高校受験には失敗して中卒に。中学卒業後は、大検(大学入学資格検定)を受けて大学に進学しようと考えていました。その間、様々なアルバイトをしながらも、プログラミングは趣味として続けていました。結局、大学には進学せず、25歳の時に個人事業としてエイチームの前身を立ち上げました。当時はWindows 95が登場し、インターネットが普及し始めた頃でした。業務系のソフトウェア開発を請け負いながら、ガラケー(フィーチャーフォン)向けのコンテンツの開発も始めました。

——その時に感銘を受けた書籍があったとお聞きしましたが、どのような内容だったのでしょうか?

神田正則さんの「非常識な成功法則」という本です。この本には、目標を紙に書くと叶うとありましたが、特に印象的だったのは、やりたくないことを明確にしてからやりたいことを書くと良いという点です。さらに、目標達成のために期間を2年と決め、数値目標は「十倍」にするということが書かれていました。

当時、私たちは年商5,000万円の下請け会社でしたので、2年後に5億円にすることを目標に掲げました。そのためには、現状の延長線上では達成できないと考え、自社のサービスを作ることを決意しました。

読んだ書籍をどう仕事に生かしてきたのか

—— 一番感銘を受けた書籍についてお伺いしたのですが、それをどう生かしてきたのでしょうか?

具体的にどう仕事に生かしてきたかというと、まずは自分が嫌なことや将来どうなりたいのかを明確に紙に書き出しました。やってみることの重要性は感じていましたし、当時の私はとても困難な状況だったので、まずは実際に書き出しました。今も目標を先に決めて、それに向かって階段の高さを逆算して決めることが急成長のために不可欠だと考えています。

——その時に書かれた内容を覚えていらっしゃいますか?

覚えています。実際、その時に2年後の目標として、オリジナルコンテンツを作成することを書き出しました。具体的にはノーコードのホームページ作成ツールや課金システムを作ろうと考えていました。結果的にゲームがヒットし、そこからガラケーに関連するデジタルコンテンツ全般を作るようになりました。

——それがビジネスの拡大につながったのですね。

はい。あとは、ホテルや旅館の予約サイトである「一休」さん。このホテルの空いている部屋を安く提供して紹介料をもらうビジネスモデルに影響を受け、空いているトラックを安く提供する引っ越しサービスなどを考え始めました。これが送客ビジネスの始まりです。また、結婚式場や中古車の買取比較など、ライフスタイルに関するビジネスにも進出しました。

——まさに考え方がビジネスの基盤となったわけですね。もう一冊、重要な書籍があるとおっしゃっていましたね。

「金持ち父さん貧乏父さん」です。この本は資産に投資し続けることの重要性を説いています。私はサーバーを資産と捉え、24時間お金を生み出す仕組みを作りました。これがノーコードのモバイル作成ツールやガラケーのゲームにつながりました。

時間の切り売りをしないという考え方は、自分のコンセプトです。 基本的に労働集約型のビジネスはしないと決めています。

社長が経営において重要としている考え方

——社長が経営において重要視している考え方を教えていただけますか?

労働時間を切り売りしないという考え方です。

我々のサービスの本質について考えると、ゲームは新しいものが人気を集めます。これは人々が飽きて新しい刺激を求めるからです。安定した状態を不安定にすることが娯楽の本質だと思っています。例えば、感動する映画を観たいと思う気持ちと同じです。

ライフスタイルビジネスにおいては、不安を安定させることが重要だと考えています。我々のサービスも、引っ越しの比較など情報の網羅性を重視して、ユーザーが安心して選べるようにすることを大切にしています。

——社長が思い描く未来のビジョンや社員への期待について教えてください。

良い人を採用してきたこと、これを20年続けてこれた理由だと考えています。共通の価値観を“Ateam People”という言葉で明文化していますが、社員たちが幸せになれる会社を作ることが目標です。

また、困難を乗り越えた時代には社員が自尊心を持って働いてくれました。これからも強いエイチームを再び作り上げたいと考えています。業績も再び上がっていく予定ですので、皆で力を合わせていきたいと思っています。

思い描いている未来構想や社員への期待

——今後の未来構想についてお聞かせいただけますか。

これまで自社のメディアを通じて、引越し業者、結婚式場情報サイト、中古車買取業者など、集客に課題を抱える企業と連携してきました。これからは、さらに幅広くサポートを提供したいと考えています。具体的には、クライアント企業がインターネットで集客する際の全般的な支援を行いたいと思っています。

例えば、自社のオウンドメディアやSNSを立ち上げる際の集客方法も、私たちが自社のメディアを育ててきた時のノウハウを活かしてサポートします。その他にも効率的・効果的な集客を可能にする業務効率化の支援なども積極的に取り組んでいく予定です。

——IT企業としての強みも活かされるのでしょうか。

そうですね。私たちはIT企業として、ネットセキュリティや業務改善に役立つソフトウェアの知識も持っています。そのため非IT企業さんが、どのソフトウェアを選ぶべきか悩んだ時に我々の知識を提供し、集客だけでなく業務効率化ができるような支援もしていきたいと考えています。

今後は総合的に売上向上を支援できる会社を目指しており、「売上向上支援カンパニー」として、新たなステージに進もうとしています。この新たな変革に向け、現在は成長戦略として積極的なM&Aを推進しています。

——新たなステージとは具体的にどのようなものですか?

創業から上場までの期間を「エイチームの1.0」、上場後の12年間の成長を「エイチームの2.0」と呼んでいます。次のステージは、BtoB領域への進出です。従前は手を付けてこなかった分野ですが、クライアントの課題解決に貢献できると考えています。これを「エイチームの3.0」として、新たな次元に進みたいと思っています。

——30年目に向けての大きな変化ですね。

そうですね。クライアントのお困りごとに対し、私たちのノウハウを提供することができると考えています。

エイチーム中期経営計画(FY2025-FY2028)

氏名
林 高生(はやし たかお)
社名
株式会社エイチーム
役職
代表取締役社長

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