LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は10月15日、2024年12月期決算の7〜9月期の売上高を発表した。売上高は前年同期比で4.4%減の190億7700万ユーロ(約3兆1286億円)だった。LVMHは第3四半期の減収は、「主に円高による日本の成長の低下が原因」だとしている。LVMHは7月にフランスで開催された「2024パリオリンピック」でプレミアムパートナーを務めており、世界的に高い注目を集めたものの、業績に大きな貢献とはならなかったようだ。
部門別の売上高では、主力であるファッション&レザーグッズ部門は91億5100万ユーロ(約1兆5007億円、前年同期比6.1%減)、ワイン&スピリッツ部門は13億8600万ユーロ(約2273億円、同8.1%減)、パフューム&コスメティックス部門は20億1200万ユーロ(約3299億円、同0.9%増)、ウオッチ&ジュエリー部門は23億8600万ユーロ(約3913億円、同5.4%減)、セレクティブ・リテーリング部門は39億2700万ユーロ(約6440億円、同3.6%減)だった。
ファッション&レザーグッズ部門では、大きな人事もあった。「セリーヌ(CELINE)」のアーティスティック、クリエイティブ&イメージディレクターのエディ・スリマン(Hedi Slimane)が退任し、後任にはマイケル・ライダー(Michael Rider)が就任する。エディ・スリマンは、「セリーヌ」を引き継ぐと2019年春夏からウィメンズウエアに加えてメンズウエアもスタート、さらに自身初となるオートクチュール、そしてフレグランスまで統括し、絶大な支持のあった前任のフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が去った同メゾンの規模を一気に拡大した。
エディのあとを任されたマイケル・ライダーは、フィービー・ファイロ時代の「セリーヌ」でプレタポルテ部門のデザイン・ディレクターを務めていた。「セリーヌ」のクリエイティブ・ディレクターへの着任は2025年初頭を予定しているが、エディ路線を継承するのか、あるいは「セリーヌ」のこれまでのイメージを一新するのか注目が集まる。
地域別で見てみると、アジア太平洋地域(日本を除く)は前年同期から16%減の売上高で、最大のマーケットである中国国内の不振が大きく影響している。第1四半期では前年同期比が6%減だったが、第2四半期には同14%減に悪化し、第3四半期には16%減にまで沈んだ。中国マーケットは第4四半期も余談を許さない状況が続く。
一方、日本は前年同期比で20%増と2桁増だった。しかし、第1四半期の前年同期比32%増と第2四半期の同57%増と比べると成長が鈍化してきている。また、欧州は前年同期から2%増、米国は前年同期比で変動はなかった。
1ユーロ=164円換算(10月22日時点)