ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「トランプ2.0誕生後の実需の需給がどうなるかがカギ」

ドル円=154-159、ユーロ円=158-163、ユーロドル=1.00-1.05

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨首位(5位)、株価最下位(17位)、なかなか豊かになれない日本で利上げか、24年はマイナス0.2%成長予想。トランプ2.0誕生後の需給は」
(日銀氷見野副総裁、植田総裁、連発で利上げ示唆、円は最強に、株価は最弱の年初)
 ドル円が南アランドとともに月間首位に立った。日銀の氷見野副総裁、植田総裁の連続利上げ示唆にFRBから金融緩和発言で円買いが強まった。日経平均は売られ年初来3.62%安で世界の市場で一番弱い。10年国債利回りは1.2%。

(さあトランプ政策と需給)
トランプ次期大統領が、早速大統領令を出し、いくつかは驚くべきものもあり、市場は右往左往するが、中長期的には実需の需給にそれがどう表れるかどうかだ。
2024年は大ざっぱに言えば、貿易赤字は22年の約20兆円、23年の約10兆円から約6兆円程度に縮小しそうだが、約28兆円増加した外貨投信残高が約15兆円の介入を抑え、これだけでも19兆円の赤字。円安要因となった。
 トランプ氏の政策がこの需給を変えるのか否かで相場は決まっていく。

(マイナス成長でも利上げに疑問、なかなか欧米の豊かさに追いつけない)
日銀の植田総裁は、「金融政策決定会合で利上げを行うかどうかについて議論し、判断したいと思う」と述べた。賃上げに向けた動きについて、年初の企業幹部の発言や日銀の支店長会議での報告を踏まえ「おおむね前向きな話が多いように思う」と述べた。
 ただ日本の2024年の成長見通しはマイナス0.2%予想(IMF)、日銀が発表する基調的なインフレは1%台である。ガソリン代の補助がなくなり1ℓ160円から180円になってきたのが利上げの要因か。
世界の一人当たりGDPランキングではン本は34位あたりで韓国よりも下位にいる。トップクラスの半分以下の金額だ。国民が豊かにならないと国も繁栄しない。

(今年も外貨投信がカギ)
 日本の投信残高は2024年末で380兆円(公募258兆円、私募122兆円)、そのうち外貨投信残高は89兆円だ。非課税の新NISAを政府が推奨し、外貨投信へも資金が大量に流入した。2023年末の61兆円から28兆円増加した。ただ外貨投信は、貿易取引での輸出入のように売り切り買い切りではないので、投資家が利食い、損切りすれば円高要因となることは頭に置いておきたい。今のところはその動きはないが、日銀の利上げや大規模円買い介入があれば、ポジションを巻き戻す人も出てくるだろう。

*米ドル「通貨6位(3位)、株価(NYダウ)6位(15位)、さあ大統領令、不法移民、減税、債務上限撤廃、関税引き上げ、NATOの防衛費はどうなる」
(去年の覇者であるドルは年初は強くなく6位)
 去年の覇者であるドルは年初は強くなく6位。株価はNYダウが6位の2.22%高、ナスダックが8位の1.65%高。10年国債利回りは4.63%。本日のトランプ氏の大統領就任を前にして慎重となっている。

(さあ大統領令) 
 トランプ氏は米大統領就任初日に、不法移民の強制送還作戦に乗り出すと明言している。その他、減税政策、債務上限撤廃示唆、関税引き上げ、NATOの防衛費の各国負担増などを大統領令で打ち出すかが見どころ。トランプ氏の政策は時間がかかる。スピードが命だ。

(1月21日から債務上限を回避するための特別措置)
イエレン米財務長官は、債務上限問題に関して議会に書簡を送り、非伝統的債務上限に関するいくつかの措置について議会に通知した。財務省はトランプ次期大統領就任翌日の1月21日に異例の措置を発動する。 1月21日から債務上限を回避するための特別措置が講じられる。即時給付金の支払いを必要としない公務員退職・障害基金への投資は停止されるようだ。

(12月消費者物価は2.9%上昇 コアは鈍化し物価上昇圧力緩和の兆候)
 12月の消費者物価は、前年比2.9%上昇。伸びは前月の2.7%から加速し、7月以来の大幅な伸びを記録した。年内の米利下げ回数が当初見込まれていたよりも減少するという見通しを裏付ける内容となった。
一方コアは、前年比3.2%上昇、11月の3.3%上昇から鈍化し、物価上昇圧力が緩和されつつある兆候を示唆した。これを受け、金融市場では6月の利下げ観測が強まった。

(FOMC)
ウォラーFRB理事は、インフレは引き続き緩和し、予想よりも早くより速いペースで利下げする可能性が高まるとの見方を示した。インフレ率は目標である2%に近づいていると述べた上で「こうした数字が続くなら、今年前半に利下げが行われると考えるのが妥当だ。デフレーション傾向は続き、おそらく他の人が考えているよりも少し早く2%に近づくと楽観している」とした。インフレの動向次第では今年最大3-4回の0.25%ポイントの利下げがあり得るとも述べた。

*ユーロ「通貨10位(10位)、株価2位(4位)DAX)、12通貨中10位と弱い。ラガルド総裁講演あり。独は2年連続マイナス成長」
(12通貨中10位と弱い)
 12通貨中10位と弱い。今年は対円でも弱く3週連続週足陰線。対ドルでは先週は7週ぶりに週足陽線となった。通貨が安いので株は強く、独DAXは年初来4.99%高。独10年国債利回りは2.5%で米英とは約2%低い。

(ラガルドECB総裁が講演2回)
今週は2回ラガルドECB総裁の会見がある。政策金利決定は1月30日。また1月ZEW景況感調査 製造業・サービス業PMIの発表がある。

(金融緩和を継続の意見)
 最新のECB理事会の議事要旨によると、政策担当者らは一段の政策緩和が行われる可能性が高いが、慎重かつ段階的に行う必要があるとの結論に達した。
ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は、ECBは一連の利下げを通じて金融緩和を継続すべきだと述べた。 米国などが新たに保護主義的な政策を導入すれば、ユーロ圏の緩やかな経済成長が損なわれ、インフレ率が目標を下回るリスクがあると発言。

ロイター調査によると、ECBは少なくとも今年6月まで、毎会合ごとに利下げを決めるとの予想が優勢だった。足元で低迷し、トランプ次期米政権による輸入関税で新たな痛手を受けかねないユーロ圏経済を支える狙い。

(独は2年連続マイナス成長)
2024年の独GDPは暫定値で前年比0.2%減だった。マイナス成長は2年連続だ。ロシアの資源や中国市場への依存が構造不況を招き、2月の総選挙では経済政策が最大の争点になる。
独経済はユーロ圏20カ国のGDP全体のおよそ3割を占める。

*ポンド「通貨12位(12位)、株価3位(6位)、ポンド最弱、小売売上が予想外のマイナス」
(ポンドは年初来最弱)
 英国の財政不安と米国の金利上昇でポンドは年初来最弱だ。対円でも対ドルでも3週連続の陰線。ただ通貨安で株価は強く年初来4.06%高の3位。10年国債利回りは4.89%まで上昇し先週末は4.66%へ低下した。

(小売売上が予想外のマイナスで24年4Qはマイナス成長か)
 12月の小売売上高は前月比0.3%減少で予想外のマイナスとなった。予想は0.4%増。 24年4Qがマイナス成長となるリスクが浮上した。24年12月の消費者物価上昇率は前年同月比2.5%と、11月の2.6%から予想外に減速来月の利下げ観測をさらに強めそうだ。

(今週の焦点)
今週は11月雇用統計と1月製造業・サービス業PMIの発表。

(IMF見通しは改善も今年の4回利下げを予想)
 IMFは、半年ごとの世界経済評価の最新版で、今年の英国の成長見通しを引き上げた。2025年に1.6%成長するとの見通しを示し、これまでの1.5%の予測を上方修正した。
IMFは、労働党の投資支出の増加、家計の改善、英中銀の一連の金利引き下げが、今年の英国経済に上向きの影響を与えると判断した。しかし、2024年の英国の成長率は、前回予測の1.1%から0.9%に下方修正した。
今年4回利下げを行い、総合金利を4.75%から3.75%に引き下げるとした。先々週まで金融市場は2回の利下げのみを予想していたが、インフレ率が2.5%に低下し、クリスマス前の小売売上高が低調だったことから、今年少なくとも3回の利下げが行われる可能性が高まった。

労働党の予算規則は政府が長期的に英国の債務削減に取り組んでいることを示していると述べた。
リーブス財務大臣は「英国は今後2年間で欧州主要国の中で最も急速に成長する経済国になると予測されており、米国を除けばG7諸国の中では唯一、今年の成長予測が上方修正された国だ」、「私は賢明な投資と不断の改革を通じて成長という使命をさらに加速させ、変革計画を通じて英国全土の生活水準を向上させるという約束を果たします」述べた。

*豪ドル「通貨5位(8位)、株価9位(昨年5位)、来月の利下げ予想に不確実性」
(年初来、豪ドルは強くもなく弱くもない)
 先週の豪ドルは対ドルで陽線となった。9月30日週以来、3回目の週足陽線。対円で3週連続陰線。12通貨中5位。株価指数は年初来1.63%高、10年国債は4.51%。

(来月の利下げ予想に不確実性)
 豪の12月の失業率は4%に上昇したが、雇用創出も力強く増加しており、労働市場の堅調さを示しているが、来月の利下げ予想に不確実性を生み出している。
求職者が増えたため、就業者は5万6300人増加した、求職活動家を追跡する指標である労働参加率も67.1%と高い数値を記録した。
RBAはデータを受けて金利引き下げを急ぐことはないだろうと見られている。2月に政策金利が0.25%引き下げられ、4.1%になる確率は73%と見込まれている。

 11月消費者物価はコアインフレ率の指標として注目される中銀トリム平均値は前年同月比3.2%上昇し、前月の3.5%上昇から伸びが鈍化。早ければ来月にも利下げが実施される可能性が高まっていた。
 
(トランプ政策の豪への影響)
 豪と米国の貿易はそれほど大きくない。米への輸出は年間約200億ドルで中国の約10分の1、米からの輸入は約480億ドルで中国の約半分。ただ米国の制裁相手、関税引き上げの相手は中国なので、中国を貿易の最大取引相手とする豪は間接的に影響がある。
中国が国内の弱さを好転させることができず、関税によって輸出が打撃を受け、消費も弱まれば、豪も同じように弱体化する。
 良い面は豪の大手鉱山会社は米国でプロジェクトを展開しており、規制緩和の恩恵を受けるだろうし、年金基金は米国に多額の投資を行っており、米国経済が好況を続ければ加入者により良い利益をもたらすだろう。我々は、経済論争が一元的なものではないことに注意する必要がある。

*NZドル「通貨8位(7位)、株価15位(16位)、対ドルで7週ぶりに週足で陽線の要因は、今週はCPI」
(10年国債利回りで再び米英を抜き返す)
 年初は8位と強くはない。対ドルで7週ぶりに週足で陽線。対円では3週連続陰線。株価(NZ50)は強くはない。10年国債利回りは米英に抜かれていたが、先週は抜き返し4.77%。

(対ドルで7週ぶりに週足で陽線)
 NZ国債は、通貨安と企業心理の改善により、来月さらに大幅な利下げを行うとの見方が後退し2カ月ぶりの大幅下落となり利回りが4.77%まで上昇した。
4Qの企業信頼感指数がプラス16、のマイナス1から改善した。企業が経済に対してより楽観的になっていることが示されたため、先々週ほぼ確実としていた0.5%の利下げの予想を現在76%の確率に引き下げている。

(今週は4Q消費者物価の発表)
今週は4Q消費者物価の発表がある。予想は前期比で0.4%上昇、前年比で2.1%上昇。 前回の0.6%上昇、2.2%上昇から若干鈍化する。
インフレの緩和は、非貿易インフレの低下によって推進されている。これは主に、経済状況の顕著な軟化と余剰生産能力の増加の結果としての住宅およびサービスインフレの上昇鈍化を反映している。

(2025年の経済見通しは、慎重ながらも楽観的)
NZの2025年の経済見通しは、慎重ながらも楽観的だ。2024年の経済収縮にもかかわらず、中銀のインフレ抑制の取り組みの成功とそれに続く金利引き下げにより、消費者と企業の信頼はいくらか回復した。金利は引き続き低下すると予想され、住宅ローン金利の見直しにより多くの世帯が住宅ローン返済額の減少に直面することから、金利引き下げの経済への影響はより顕著になる可能性が高い。しかし、労働生産性の低下、人口の高齢化、予算黒字化の遅れなどの根強い課題は、回復が緩やかになることを示唆している。地政学的リスクを含む世界的な不確実性が見通しをさらに複雑にしている。