本記事は、桑原晃弥氏の著書『ドナルド・トランプの名言』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=DETHAL / stock.adobe.com)

やってみればいいではないか。
失うものが何かあるのか

―― 「大富豪トランプのでっかく考えて、でっかく儲けろ」

人が新しいことへの挑戦をためらう理由は「失敗」への恐れからです。慣れたやり方であれば失敗のリスクも小さく、成果も計算することができます。一方、経験のない新しいことというのは当然失敗の恐れがあるし、もし失敗して上司から怒られたらいやだとか、みんなから「だから言わんこっちゃない」などと言われたくないからです。

新しいことに挑戦して失敗するくらいなら、慣れ親しんだ、よく知っている世界で慣れたやり方をやり続ける方がいいというのが多くの人の考え方です。こうした考え方に「ノー」を突き付けながら成功してきたのがトランプです。トランプは父親が成功を収め、トランプ自身もよく知る、慣れ親しんだ地区を離れ、マンハッタンでの不動産ビジネスに挑戦したことで分かるように、失敗を恐れることなく新しい事業や分野に果敢に挑戦し続けています。

トランプの名前を全米中に知らしめることになったテレビ番組『アプレンティス』への出演依頼はトランプにとってまったくの未知の世界でした。テレビの常識からいけば成功よりも失敗のリスクの方がはるかに高いものでした。

50を超えるネガティブな声(「明日の成功者」)の中にはこう忠告する人たちがいました。

「番組が失敗した場合、君のイメージダウンは計り知れないものになるぞ」

言われてトランプはこう答えています。

「もともとひどいイメージで見られているんだ。これ以上悪化したとして、何の不都合がある?」(「でっかく考えて」)

結果は大成功で、トランプの人気を不動のものにしています。

あるいは、プロレス団体WWEの会長ヴィンス・マクマホンに誘われ、「億万長者対決」と呼ばれる髪切りマッチへの参戦を表明した時も、周囲は反対の声ばかりでした。プロレスが好きなことと、その試合に自分の髪の毛を賭けるのは別物です。しかし、トランプはこう言って反対の声を押し切ります。

「キャラがどうした? やってみればいいではないか。失うものが何かあるのか」

トランプが不動産王の名声に固執していたなら、いずれも実現しなかった企画ばかりです。

究極は誰もが反対したアメリカ大統領選挙への出馬ですが、トランプは「それなら、やってみればわかるじゃないか」と言って出馬を決意しています。トランプはあえてリスクを取ることで新しいことに挑戦し、大きな成功を手にしています。大きな成功を望むなら、リスクを前に「やってみればいいではないか」と言い切ることも大切なのです。

ワンポイント
リスクはあって当たり前。あえてリスクを取るからこそ成功できる。

自分自身と競争せよ。
成功した後も、それをさらにしのぐ成功を達成する方法を探せ

―― 「トランプ 最強の人生戦略」

何か大きなことを成し遂げた人には2つの道があります。

1つは成し遂げたことに満足してその後は悠々自適のゆったりとした人生を楽しむ道と、もう1つは「今」に満足することなく「より良く」を追い求める道です。

トランプは若くして大きな仕事を成し遂げています。トランプ・タワーはマンハッタンを代表する建物となり、その時代を象徴する建物の一つとなりました。若い頃から「いつかマンハッタンで大きな仕事を」と願っていたトランプは1983年、わずか36歳でその夢を叶えたことになります。しかし、この時トランプはこう考えていました。

「トランプ・タワーが完成し商業ビルとして大成功した時、これはほんの始まりに過ぎないと私は思っていた」(「明日の成功者」)トランプ・タワーの成功の後も、トランプはトランプ・ワールド・タワーの建設やカジノ施設、航空会社トランプ・シャトルの創業、さらにはミス・ユニバース機構の買収やテレビ番組『アプレンティス』の大ヒットなど飽くことなき事業意欲を見せています。こうした多彩な活躍はトランプによれば、「自分の実績に満足することなく、自分の可能性に蓋をしなかった」(「明日の成功者」)お陰だといいます。トランプは言います。

「もうすべてやり尽した、ベストを尽くしたとはゆめゆめ思ってはいけない。そんな考えは、安易にあなたの可能性を損なうだけだ。死なない限り、できることはまだたくさんある」(「明日の成功者」)

「限界」とか「満足」は自分が決めるものです。自分で自分に「もう十分だ」と言わない限り、人はどこまでも挑戦することができます。トランプは言います。

「高みを目指す者は1つのことを達成してもそこに甘んじない。そこが始まりとなる。高みを目指す者は常に前進している」(「明日の成功者」)

結果、トランプはアメリカ大統領にまで上り詰めるわけですが、もしトランプ・タワーが完成した後、「若き不動産王」という名声に酔いしれていたら、それは決して実現することはありませんでした。当時からトランプは「自分自身と競争せよ。一発屋で終わってはならない。成功した後も、それをさらにしのぐ成功を達成する方法を探せ」と次なる挑戦を続けました。トランプによると、自己満足は人をむしばみ、「能力」を発揮できなくさせるといいます。どれだけ成功しても、さらなる高みを目指す。それがトランプ流の成功し続けるための生き方なのです。

ワンポイント
何かを成し遂げたら、そこで満足せず、さらなる高みを目指す。
『ドナルド・トランプの名言』より引用
桑原晃弥(くわばら てるや)
1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。一方でスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、イーロン・マスクなどの起業家や、ウォーレン・バフェットなどの投資家、本田宗一郎や松下幸之助など成功した経営者の研究をライフワークとし、人材育成から成功法まで鋭い発信を続けている。
著書に『トランプ108の言葉─読むだけで人生に革命が起きる』(すばる舎)、『ドナルド・トランプ勝利への名語録─世界を揺るがす90の言葉』(PHP文庫)、『限界を打ち破る 大谷翔平の名言』『藤井聡太の名言 勝利を必ずつかむ思考法』『世界の大富豪から学ぶ、お金を増やす思考法』『自己肯定感を高める、アドラーの名言』『不可能を可能にする イーロン・マスクの名言』(以上、ぱる出版)などがある。

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『ドナルド・トランプの名言』
  1. やってみればいいではないか。 失うものが何かあるのか――ドナルド・トランプの名言
  2. 行動を起こす前に、100%機が熟すのを待ってはいけない――ドナルド・トランプの名言
  3. お金を稼ぐことを第一の目標にしてはならない。 お金は自分の成功のご褒美――ドナルド・トランプの名言
  4. 私は飛ぶ鳥を落とす勢いの起業家風の服装をした――ドナルド・トランプの名言
  5. 失敗を終焉とみなしてはいけない――ドナルド・トランプの名言
  6. 相手がどう接するかが、そのまま私の相手に対する接し方になることもある――ドナルド・トランプの名言
  7. 声に出して『なんてすてきな1日だろう』と言ってみよう――ドナルド・トランプの名言
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