人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「米中関税交渉を終えて景気は? ハンセン指数強い」人民元見通し

(通貨10位、株価11位=上海、香港ハンセンは3位)

予想レンジ 人民元/円 19.7-20.2

(ポイント)
*今年の中国は株=ハンセンが好調。金利横ばい。人民元安い
*米中貿易戦争の中での経済指標は
*最優遇貸出金利、昨年10月以来の引き下げ
*香港年金基金に米国債強制売りのリスク
*EU、少額貨物に最大2ユーロの手数料導入検討
*依然、デフレ圧力が続いている
*米中首脳会談はあるか
*4月のPMIはすべて悪化
*中国は関税戦争が世界経済の秩序損なうと主張
*1Q・GDPは予想を上回る5.4%の伸び
*成長目標5%前後維持 財政出動で内需拡大

(今年の中国は株=ハンセンが好調。金利横ばい。人民元安い)
5月は米英・米中関税交渉で当面の合意がありリスク選好の流れとなっている。月間では
人民元が3位、米ドルが9位といつになく乖離している。中国が貿易黒字を背景に関税交渉もあり気を遣っているかもしれない。ただ年間では人民元が10位、ドルが11位とピッタリ寄り添っている。
 株価ではハンセン指数が強く年初来18.78%高、上海総合指数は1.07%高、日経平均は6.51%安。10年国債利回りは1.67%。

(米中貿易戦争の中での経済指標は)
4月の鉱工業生産は前年比6.1%増と、3月の7.7%増から鈍化した。予想の5.5%増は上回った。
4月の小売売上高は5.1%伸びたが、前月の5.9%増から鈍化。予想は5.5%増。 米国との貿易戦争で世界第2位の経済大国の勢いが鈍化する可能性があるが、米関税による経済への影響はまだ大きな痛みとして表れていない。
国家統計局は「中国の対外貿易は困難を乗り越え、着実な成長を維持しており、強い回復力と国際競争力が示された」と指摘。米中貿易摩擦の緩和が二国間貿易の拡大と世界経済の回復に寄与するとの見方を示した。
1-4月期の固定資産投資は前年同期比4.0%増と、予想の4.2%増を下回った。1-3月期は4.2%増だった。
4月の新築住宅価格は前月比横ばい。住宅セクターを安定化させる当局の取り組みにもかかわらず、下落圧力が続いていることが示された。

(最優遇貸出金利、昨年10月以来の引き下げ)
人民銀行は5月20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を昨年10月以来初めて引き下げた。一方、国有銀行は預金金利を一斉に引き下げた。中銀が米中貿易戦争が国内経済に及ぼす影響を和らげる措置を打つ一方で、銀行は利ざやの保持に動いた。
1年物が3.1%から3.0%に、住宅ローン金利に影響する5年物は3.6%から3.5%へそれぞれへ0.1%引き下げられた。

(香港年金基金に米国債強制売りのリスク)
香港の年金基金運用者はムーディーズが米国の格付けを引き下げたことを受け、保有する米国債の強制売却に追い込まれる可能性を指摘している。
  香港の年金制度、強制積立基金制度(MPF)の下で運営される合計1兆3000億香港ドル 相当のファンドは、米国が承認された格付け機関からAAAまたは同等の格付けを受けている場合にのみ、資産の10%超を米国債に投資することを認められている。先週のムーディーズによる格下げ後、AAA級格付けを付与しているのは日本の格付投資情報センター(R&I)のみとなった。
  香港法の定める非常に厳格な投資規制に、米国債が抵触するリスクが浮き彫りになった。米国債へのエクスポージャーを持つ可能性のある債券ファンドと混合資産ファンドは、2024年末時点での運用資産が4840億香港ドルに達している。