
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年7月2日9時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 中村勉
目次
▼1日(火)の為替相場
(1):日銀短観を公表
(2):中国財新PMI 好不況の分岐点を上回る
(3):ユーロ圏HICP 伸び加速
(4):FRB議長 利下げについて語る
(5):米経済指標発表
(6):「大きくて美しい法案」米上院で可決
(7):日米相互関税 合意にならない可能性
▼1日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:労働関連指標の結果次第/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
1日(火)の為替相場

期間:1日(火)午前6時10分~2日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀短観を公表
日銀は6月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表。大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は13と市場予想(10)に反して前回(12)から改善した。一方で、大企業非製造業DIは34と予想通りに前回(35)から悪化した。前回は1991年以来の高水準だった。
(2):中国財新PMI 好不況の分岐点を上回る
中国6月財新製造業PMIは50.4と市場予想(49.3)や前回(48.3)を上回った。
(3):ユーロ圏HICP 伸び加速
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.0%と市場予想通りに前月(+1.9%)から伸びが加速した。同コア指数は+2.3%で予想通り前月から横ばいだった。これより前に発表された独6月失業率は6.3%と市場予想(6.4%)に反して前月から横ばい。同失業者数は1.10万人と予想(1.50万人)以上に前月(3.30万人)から減少した。また、欧州中銀(ECB)調査のインフレ予想は1年後が+2.8%と予想や前月(ともに+3.1%)を下回り、3年後のインフレ予想も+2.4%で予想や前月(+2.5%)を下回った。
(4):FRB議長 利下げについて語る
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、ECB主催のフォーラムで、「インフレは夏にかけて上昇すると予想」と話し、ただその影響が「想定よりも高いのか低いのか、あるいは遅いのか早いのか、様子見しさらに情報を集めるのが賢明だと思う」との見解を示した。また労働市場については「緩やかに冷えつつある」との認識を示し、「7月が利下げ検討に早すぎるかどうかは言えない」としつつ、「どの会合も選択肢から排除しない、データ次第だ」と語った。
(5):米経済指標発表
米6月ISM製造業景況指数は49.0と市場予想(48.8)以上に前月(48.5)から改善。輸入指数や支払価格指数が上昇した一方で、新規受注指数や雇用指数は低下した。同時に発表された米5月JOLTS求人件数は776.9万件と昨年11月以来の高水準となった。
(6):「大きくて美しい法案」米上院で可決
米上院はトランプ大統領が「大きくて美しい法案」と呼ぶ3兆3000億ドル(約474兆円)規模の税制・歳出削減法案を可決。この法案は今後下院にて審議、決議される。同法案は連邦税を大幅に引き下げ、国家安全保障関連の予算を増やす内容。一方で、財源を確保するため、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)などセーフティーネットに関連したプログラムは過去数十年で最大の削減となっている。
(7):日米相互関税 合意にならない可能性
トランプ米大統領は「7月9日に迫った相互関税の一時停止期限を延長することは考えていない」とし、日本に対しては「合意をまとめられるとは思えない」「日本は30%や35%もしくは我々が決めるどんな関税率でも支払うことになる」と発言した。