この記事は2025年7月2日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:参議院選挙の政権与党の獲得議席の推計モデル」を一部編集し、転載したものです。

■ 1998年からの9回の参議院選挙の結果とNHKの世論調査を基に、参議院選挙の政権与党の獲得議席率(獲得議席の改選議席に占める割合)は、内閣の不支持率、政権与党の合計の支持率、無党派率、投票率で説明できることが分かっている。参議院の定数は248議席である。自公政権の非改選議席は75である。参議院で過半数を維持するためには、自公政権は50議席の獲得が必要だ。改選議席数は125である。改選議席の過半数である63議席を獲得できなければ、政権が信認されたとは言えない。
■ 6月のNHKの世論調査と、前回並みの投票率を前提とすると、自公政権の獲得議席推計値は54となる。自公政権はなんとか参議院の過半数を維持できるが、改選過半数を大きく下回るとみられる。昨年の衆議院選挙、6月の都議会選挙、今回の参議院選挙と、主要選挙で三連敗となり、石破首相の政治的求心力は大きく減退していくとみられる。まずは緊縮財政派として消費税率の引き下げに強行に反対している森山自民党幹事長を石破首相が交代させるなどして、人事を含めて積極財政の方針に転じない限り、政権はもたないとみられる。投票日までに、NHK世論調査がアップデートされた後、獲得議席推計値を見直す。
1998年からの9回の参議院選挙の結果とNHKの世論調査を基に、参議院選挙の政権与党の獲得議席率(獲得議席の改選議席に占める割合)は、内閣の不支持率、政権与党の合計の支持率、無党派率、投票率で説明できることが分かっている。参議院の定数は248議席である。自公政権の非改選議席は75である。参議院で過半数を維持するためには、自公政権は50議席の獲得が必要だ。改選議席数は125である。改選議席の過半数である63議席を獲得できなければ、政権が信認されたとは言えない。6月のNHKの世論調査と、前回並みの投票率を前提とすると、自公政権の獲得議席推計値は54となる。自公政権はなんとか参議院の過半数を維持できるが、改選過半数を大きく下回るとみられる。昨年の衆議院選挙、6月の都議会選挙、今回の参議院選挙と、主要選挙で三連敗となり、石破首相の政治的求心力は大きく減退していくとみられる。まずは緊縮財政派として消費税率の引き下げに強行に反対している森山自民党幹事長を石破首相が交代させるなどして、人事を含めて積極財政の方針に転じない限り、政権はもたないとみられる。
獲得議席を最も大きく左右する基礎は、政権与党の合計の支持率である。政権与党の合計の支持率が1標準偏差6.9%上昇すると、獲得議席率は5.8%上昇する。内閣の支持率は大きな影響は与えず、不支持率が高い場合、政権運営に批判的な票が野党に流れ、政権与党に不利に働く。内閣の不支持率が1標準偏差の13.7%上昇すると、獲得議席率は5%低下する。無党派率の高さは、野党に支持が集まっていないことで、消極的な政権政党への支持であるとみられる。無党派率が1標準偏差9.2%上昇すると、獲得議席率は2.4%上昇する。政権運営に満足していれば、政治への関心が低下して投票率は低下、政権運営に批判が大きければ、政権を変えようとして投票率が上がるとみられる。投票率が1標準偏差の3.2%上昇すると、獲得議席率は3%低下する。
投票率が前回並みの52%程度だとすると、政権与党の獲得議席数推計値は54となる。2標準誤差の範囲で、下限は48、上限は60となる。投票率がこの期間の最高の58%程度だとすると、政権与党の獲得議席数推計値は47、下限は41、上限は53となる。投票率がこの期間の最低の48%程度だとすると、政権与党の獲得議席数推計値は59、下限は53、上限は64となる。家計の貯蓄率が史上最低水準まで低下し、国民の生活は困窮している。給付も減税もと主張する野党に対して、給付か減税かという対立軸を強引に作り出そうとしている自公政権には、財政再建を優先して国民の生活に向き合っていないと、選挙当日に向かって批判が高まっていくとみられる。トランプ関税の交渉が失敗しつつあることも逆風だ。一方、投票日の7月20日は、三連休の谷間であり、期日前投票が大きく進まなければ、投票率が下がる可能性がある。投票日までに、NHK世論調査がアップデートされた後、獲得議席推計値を見直す。
政権与党議席率(%)=73.0 -0.4 内閣不支持率(%)+0.8 政権与党合計支持率+0.3 無党派率(%) -0.9 投票率(%); R2=0.98
図1:内閣不支持率と政権与党支持率

図2:参議院選挙の政権与党獲得議席の推計値

図3:参議院選挙後の政治シナリオ

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