本記事は、三冨 正博氏・中谷 昌文氏・川島 優貴氏の著書『AI時代!「ワクワク仕事」の成功法則』(セルバ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

人工知能とインテリジェントオートメーションIAテクノロジー
(画像=タダミチ / stock.adobe.com)

「やりたいこと」が定まればAIは最良の相棒になる

AIの「乗り方」や「遊び方」、そしてAIとの対話を通じて「言語化能力」を磨くことの重要性の根底に共通して流れているのは、「AIは使う人間次第で、その価値を大きく変える」という、きわめてシンプルな真実です。

そして、その「人間次第」という部分の核心をなすのが、「自分は何をしたいのか」という目的意識に他なりません。

AIは、驚異的な計算能力と膨大な知識を持つ、きわめて優秀なアシスタントです。しかし、アシスタントである以上、主役である私たち人間からの「指示」がなければ、その能力を発揮することはできません。

そして、その指示の質が曖昧であればあるほど、AIのパフォーマンスもまた、曖昧なものになってしまいます。

逆に言えば、私たちの「やりたいこと」が明確であればあるほど、AIはその目的を達成するための、これ以上なく頼もしい「相棒(パートナー)」となってくれるのです。

「カーナビ」と「目的地」の関係

AIと私たちの関係は、よく「カーナビ」と「ドライバー」の関係に例えられます。最新のカーナビは、渋滞情報や道路状況をリアルタイムで把握し、目的地までの最短ルートや最適なルートを瞬時に計算してくれます。

しかし、どれほど高性能なカーナビであっても、「どこへ行きたいのか」という「目的地」をドライバーが入力しなければ、その機能は何の意味も持ちません。

AIも全く同じです。「業務を効率化したい」「新しいアイデアが欲しい」「キャリアについて相談したい」。こうした私たちの「目的地」が明確に設定されて初めて、AIはその膨大な知識と能力を駆使して、そこに至るための最適な「ルート」を提案してくれるのです。

「とりあえずAIを使ってみよう」という姿勢は、目的地を決めずに車に乗り込み、ただやみくもにハンドルを握っているようなものです。

それでは、ガソリン(時間とエネルギー)を無駄に消費するだけで、どこにもたどり着くことはできません。

まずは、「自分はどこへ向かいたいのか」という内なる声に耳を澄まし、自分だけの「目的地」を設定することです。

それこそが、AIという高性能なカーナビを最大限に活用するための、最初の、そして最も重要なステップなのです。

「やりたいこと」の解像度を高める

「そうは言っても、自分には明確にやりたいことなんてない……」。そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、心配はいりません。「やりたいこと」は、必ずしも最初から壮大なビジョンや、明確な目標である必要はないのです。

むしろ、それは日々の生活や仕事の中で感じる、ささやかな「こうなったらいいな」「もっとこうしたいな」という「願い」や「願望」の断片であることがほとんどです。

  • 「毎日の報告書作成、もっと楽にならないかな……」
  • 「お客様にもっと喜んでもらえるような、新しい提案がしたいな……」
  • 「自分の趣味である写真をもっと多くの人に見てもらいたいな……」
  • 「子どもの教育について、もっと色々な考え方を知りたいな……」

こうした小さな「やりたいこと」の種を見つけ出し、それをAIに相談してみることから始めてみましょう。

例えば、「毎月の売上報告書の作成を効率化したい。グラフ作成や分析コメントの草稿をAIに手伝ってもらうための、具体的な手順とプロンプトの例を教えて」といったように、自分の「やりたいこと」をできるだけ具体的に言語化し、AIに問いかけるのです。

すると、AIはあなたの意図を汲み取り、具体的な解決策やアイデアを提示してくれるでしょう。

そして、AIとの対話を重ねるうちに、最初は漠然としていた「やりたいこと」の輪郭が、徐々にはっきりとしてくるはずです。

「報告書作成が楽になったら、その時間を使って新しい企画を考えたいな」「お客様のデータを分析したら、こんな新しいニーズが見えてきたぞ」。そんなふうに、1つの「やりたいこと」の実現が、次の新たな「やりたいこと」へと繋がっていく。その連鎖こそが、AIと共に成長していくことの醍醐味なのです。

AIは、あなたの「ワクワク」を増幅させる

「やりたいこと」が明確になり、それを実現するためのプロセスに「ワクワク」を感じられるようになると、AIは単なる便利な道具から、あなたの情熱や創造性を増幅させてくれる「触媒」へとその役割を変えていきます。

例えば、あなたが「子どもたちがプログラミングを楽しく学べるような、新しい教材をつくりたい」という「ワクワクする目的」を持っていたとします。その想いをAIに伝えれば、AIは世界中の教育事例や最新の研究成果を元に、革新的な教材のアイデアを無数に提案してくれるでしょう。

「ゲーム感覚で学べるアプリ」「物語仕立てのコーディング教材」「AIキャラクターと一緒に学ぶ対話型プログラム」……。AIとのブレインストーミングは、あなたの想像力を刺激し、1人では決して思いつかなかったような、ユニークで魅力的なアイデアへと導いてくれます。

さらに、教材の具体的な内容作成、イラストやキャラクターのデザイン、プロモーション用のキャッチコピー作成に至るまで、AIはその能力を駆使して、あなたの「やりたいこと」の実現を強力にサポートしてくれます。

かつては、専門的な知識やスキル、多くの仲間や資金がなければ実現できなかったような壮大なプロジェクトも、AIという強力な相棒がいれば、個人レベルでもスピーディーに、そして低コストで形にできる時代が到来しているのです。

「相棒」との信頼関係を築くために

AIを「最良の相棒」として迎え入れるためには、私たち人間側にも1つ、大切な心構えが求められます。

それは、AIを盲信するのではなく、常に主体的な判断力と批判的な思考を持ち続けることです。

AIは、時に驚くほど的確な提案をしてくれますが、その一方で、事実と異なる情報を生成したり、文脈を完全には理解できていなかったりすることもあります。

AIからのアウトプットを鵜呑みにするのではなく、「これは本当に正しいのか?」「もっとよい方法はないか?」と、常に自分の頭で考え、検証する姿勢が不可欠です。

そして、AIとの対話においても、ただ答えを待つのではなく、「もっとこういう視点で考えてほしい」「この部分を、さらに具体的に説明してほしい」といったように、粘り強く、そして主体的に関わっていくことが重要です。

そうした人間からの積極的な働きかけがあってこそ、AIはその学習能力を最大限に発揮し、より質の高い応答を返してくれるようになります。

AIと人間、それぞれが得意なことを活かし、互いの弱点を補い合う。そんな相互の信頼と尊重に基づいた関係性を築くことができたとき、AIは単なるツールを超え、あなたの「やりたいこと」を実現し、人生を共に歩んでくれる、かけがえのない「相棒」となるのです。

そして、そんな心強い相棒がいれば、AI時代という変化の激しい時代も、きっとワクワクしながら乗り越えていけるに違いありません。

AI時代!「ワクワク仕事」の成功法則
三冨 正博(みとみ・まさひろ)
1987年青山学院大学経営学部卒業後、アーサーアンダーセン東京事務所に入所。1919年から9年間、アーサーアンダーセンのサンフランシスコ、シアトル、アトランタの3拠点で公認会計士として経験を積む。2000年に日本に帰国、ベンチャー企業でCFOとして部門を統括する。2001年に株式会社バリュークリエイトを共同創業。ベンチャー企業から大企業まで企業の規模・業種を問わず、経営者に企業価値創造の視点を提供している。慶應義塾大学大学院経営管理研究科非常勤講師、株式会社SUMCO社外取締役。日本とアメリカの公認会計士の資格を持つ。 「ワクワクtoできる」の2軸のマッピングは、大学受験に失敗した19歳からひたすら自分のワクワクを追求する中で経験した自身の成長を見える化したフレームワーク。
中谷 昌文(なかたに・よしふみ)
長年にわたり教育現場で指導にあたり、さらに米国・英国・中国への留学経験を通じて経営学や金融学、教育学を深めてきました。教師時代の経験を礎に、社会起業家として数々の教育・ビジネスプロジェクトをスタート。NIKEのエアマックスを日本に広めた経験や、児童支援として続ける「ランドセル基金」など、社会に貢献しながら結果を出す活動を続けています。
川島 優貴(かわしま・ゆうき)
AIパートナーズ株式会社 代表取締役
経営者や従業員のAI教育分野を中心に、AIを活用した学びとビジネス支援に取り組む。
子ども向けAI教育「ロジカルAIスクール(ロジスク)」を主宰し、小学生を含めた幅広い世代にAI時代を生き抜く力を育む活動を展開。
企業研修や講演も多数行い、実践的かつわかりやすい指導に定評がある。 最新のAI活用法をわかりやすく伝えることで、多くの人が「ワクワクする未来」を切り開くことを目指している。

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